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LOCAL CAREER SHIFT-1stシーズン- 第3回「田舎の価値を創造する地域商社という仕事」を開催しました!

2021年6月4日(金)、LOCAL CAREER SHIFT-1stシーズン- 第3回「田舎の価値を創造する地域商社という仕事」がオンラインで開催されました。
トークセッションのゲストは、大手IT企業で働いた後に、地域の価値を生み出し発信をする地域商社を起業した社会起業家の古林拓也さんです。現在の活動をはじめた経緯や、大切にしている価値観、これから実現したいことなど、古林さんの経験と視点を伺いました。インタビュー後には対話の場を用意し、参加者同士で意見や感想を共有。各自のキャリア観を深めてもらいました。そのときの様子を、古林さんご本人によるグラフィックとともにお伝えしていきます!

<こんな方におすすめ>
・将来の進路選択に悩んでいる学生
・キャリアチェンジや将来のあり方を模索している社会人

本日のゲスト

フリーランスのライター兼イラストレーターのヤマシタナツミです。LOCAL CAREER SHIFT(以下、LCS)のnoteライティングチームのメンバーとして、また一人の参加者としてイベントを体験してきました!今回のテーマは地域資源としての山菜や、地域で暮らす人たちの魅力を引き出していくことです。ゲストの古林拓也さんのお話、また今回は古林さんご自身のグラフィックもお借りして、イベントレポートをお届けしていきたいと思います!

イベントプログラム


LCSは、ご参加いただくことで「自分の価値観をアップデートし、自分軸を持って主体的に生きる。その人たちが面白い社会をつくる。」ということを目指すプログラムです。プログラム構成は次のようになっています。

流れ


1.ゲストプレゼン:ゲスト本人より「現在」の活動をお聞きする。
2.ライフヒストリーインタビュー:ライフヒストリーチャートを活用した、ゲストの「過去」についてインタビューする。
3.トークセッション:ローカルキャリアのこれから、「未来」の可能性についてセッションする。
4.対話・質疑応答タイム:参加者同士で意見や感想などの思いを共有し、キャリアについて主体的に考える。参加者から、ゲストに聞いてみたいことを直接質問する。

プログラム開催の背景については以下の記事に詳しく書きましたので、気になった方は読んでみてください。


1.ゲストプレゼンから今の活動を知る

あらためて1stシーズン- 第3回ゲストをご紹介します。

<古林拓也さん>
GUEST | 株式会社いろむすび | 特定非営利活動法人都岐沙羅パートナーズセンター | 特定非営利活動法人村上ohanaネット | 村上市

社会起業家として「いろむすびの宿」や「いろむすび山菜屋」を経営し、村上市内外でご活躍されている古林さん。大手IT企業での勤務経験、MBAを取得していることもあり、わたしの乏しい想像力の中で「ビジネスマンらしいカッチリした雰囲気のトークになるのかな?」と想像していました。ところが!

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「みなさんの前でお話させていただいているんですけれども、実態は、山菜屋と宿屋のおやじでございます。」とお話された古林さん。その横では長女めぶきちゃんがちょっと恥ずかしそうに、好奇心いっぱいの表情。古林さんの優しい声を聞き、親子で並んでいる姿を見ていたら、村上のお宿にお邪魔してくつろいでいる気分になりました。その時の古林さんとめぶきちゃんの様子が微笑ましく、自然と手が動き…お二人のお顔を描いていました。

古林さんめぶきちゃん

続いて、古林さんが手がける「いろむすびの山菜屋」の動画を拝見!

締めくくりの言葉に古林さんの思いがぎゅっと詰め込まれていました。

山の空気とか温度とか光とか
いろんな条件が揃って この環境が揃ってまして
本当にこの瞬間しか食べられない 旬の山菜っていうのが
私たちの売り 魅力ですので
是非そのおいしい山菜を食べていただいて
少しでも心が豊かになっていただければ嬉しいなと思っています
是非食べてみてください

唯一無二の、豊かな自然環境で育った天然の山菜。その魅力をブランド化した商品がこちら「翡翠のワラビ」なのだそうです。

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深みのあるグリーンでおいしそう…その上、このワラビは冷蔵で賞味期限が製造後120日間もあるというから驚きです!もともと5日間しか持たないものを、長く食べられる商品にすることで、たくさんの人に届けられるようになったのですね!

「こういった高品質化、付加価値化に加えて物語を添えてお届けすることを試行しているところです。」という古林さんから、このような地域商社を立ち上げた、きっかけの物語をお聞きしました。

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突然、パンチのある1枚の写真…。このサングラスの、タバコを片手にして、ヤンキー座りしているのはどなたですか??

「こちらは妻方のおばです。3年前に村上市に行った時、この方から『フルタクくん、私と一緒に仕事をしないか?わたしは40年間山菜の仕事をしてきたので、この山菜を使って地域とつながる仕事をしてみないか』とそんなことを誘われました。おばは東京都中野区で山菜の移動販売をする「さんさい屋」を営んでいました。」

と、ここで古林さんから出題!「あなただったらどんな仕事をしますか?そしてその会社が提供する価値とは何だと思いますか?」

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その実現のために、使える資源はこちらです!経済的自立と地域との繋がりといった社会性も大事です。わーどうしよう…参加者一同、真剣に考えています。ヤマシタは、めぶきちゃんの一声「4ばん」に釣られて4を選びました。

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そんな謎かけを残したまま、プログラムはライフヒストリーチャートへと進みます!


2.ライフヒストリーチャートから過去のキャリア観を学ぶ


京都府南部、自然に囲まれた環境でのびのび育った古林さん。少年時代は丸刈りの素朴な少年だったそうです。ところが同級生や周囲の人たちの影響で、人と比べられる競争社会の流れへ。希望通りの高校に入った後、大学受験では思い通りの結果にならず「ただただ面白くない日々」だったとか。そんな日々の中で出会ったのが、フィリピンへの海外ボランティアや、京都の地域にある思想でした。

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LCSモデレーターの山本より、古林さんにキャリアに関するインタビューを行いました。

Q.競争社会の中にいた時、ご自身を支えていたものは何ですか?

しょうもない自負心ですね。負けたくないという…。与えられたものをこなしていくように勉強をしていました。
Q.大学時代、フィリピンでのボランティアや地域で出会ったもので、影響を受けたものはありますか?

フィリピンの現場で、痛みを持つ方と接し感じるものがありました。また現場で課題解決をする人同士の横の繋がりは大きな学びになりました。受験の頃とは違って、大学では自分自身で課題を設定して答えの無い問いに向かう機会を得て「こういう考え方になるのか」と発見がありました。
Q.どうやってキャリアの方向性を定めたのですか?

大学院で電子系技術の工学修士を取ったので、そこで学んだことを生かして世の中のインフラ、社会の仕組みを作っていき、これからも良くしていきたいと思い、長距離国際通信をしているIT企業に入りました。
Q.IT企業に入ってからはどのような思いで働いていましたか?

世界中の方々とやりとりをするスケールの大きさに醍醐味があったのと、自分たちが止まると社会が止まるという使命感ですね。24時間365日止めてはならんという。
Q.今のキャリアになっていく分岐点はどんなものでしたか?

ひとつは、社会の仕組みを支える重圧とハードワークで体を壊し入院したことがありました。もう一つが東日本大震災で、帰宅難民になり、何で東京には様々なものが一箇所に集まっているのか?と思いました。またもう一つは家族を持ったことです。特にこどもに対して自分の背中を見せたいと思えるか?という問いが生まれました。こういった分岐点が30代前半にありました。
Q.どのようにキャリアを変化させていきましたか?

本当の意味で自分自身の力をつけ周りの人を幸せにしていく力をつけるため、会社で働きながら経営の大学院に入り1600時間学びました。こどもを背負いながら勉強した時間も含めて1600時間ですね。

その後、日本の地域がもっと分散的になるように貢献していきたいと思っていたので、島根県の雲南市という日本の社会課題最先端地域で医療支援の仕事ができるようにと動いていました。その同時期に村上市のおばさんから「私と働かないか」と。

結果として村上で働くことを選択したのは、自分に家族がいたことも理由の一つです。またもう一つの理由としては、誰かを支援する事業ではなく、0から1を立ち上げ自分で事業をするという意味で、村上の山菜屋の仕事に魅力を感じたこともあります。


インタビューを通じて、古林さんのキャリア観が変わっていった様子を生々しく知ることができました。この後、古林さんが事業開発を進めていくために行った自己分析、対話についてお話を伺ったのですが、その深度・表現力に一同驚愕!当日見せていただいた資料の一部をここでご紹介します。

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この図は、村上にある地域資源を使って社会に届けていきたい価値を定義するため、ご自身の原体験、社会の中で人間性を欠損した経験、人間性を取り戻していたた経験を、グラフィック化したものです。こちらが前提にあり、いろむすびのビジョン・ミッションが生み出されました。

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価値定義の際、こんなやさしいタッチのイラストも。なるほど、と思うだけではなく誰かを思うやさしい気持ちが伝わってきます。

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頭と心を揺さぶられるグラフィックに驚き、「どうしてこんな表現ができるのですか」と伺ったところ、「グラフィックファシリテーション」を学んで来られたたとのこと。こういった頭や心の中を見える化する力を磨いてきたことも、過去の経験を今のキャリアにつなげる力になったのでは?と感じました。

3.トークセッションから未来の可能性を学ぶ

ここ最近の社会の情勢ーコロナの影響等ーの中で、どんなことを感じていらっしゃるかを伺いました。

(古林さん)コロナの影響で売り上げが落ちた部分はあったのですが、その後、たくさんの方にとっても助けていただいて、会社を持続できています。私が一番感じたことは、人様の絆のようなつながり、お客様や事業者を含めて家族のような世界観がコロナの後に出てきたと感じています。また地方というのは「支援されるもの」という見られ方をしてきた面もありますが、今後は「積極的に価値を見出すもの」に変わってきているように思います。


Q.これから地域の中にあるチャンスとはどんなものとお考えですか?

地域の中にある唯一無二の財があります。また、そこに価値を見出していく世の中…世界が成熟してきて、地域の価値に目を向ける人が増えてきているのかなと思います。そういった価値について、レゴの人形が繋がるように、人様と繋がって互いの価値を理解していく、これが目の前の人たちを幸せにしていくための力だと思っています。
Q.これから自分の進路を考えたい、という方に伝えたいことはどんなことでしょう?

限られた人生の中ではありますが、改めて感じるのは、本当に強い方というのは誰かを論破する人ではなくて、人の痛みがわかる、助けてあげられる人なのかなと思います。ですから、みなさまには人と協力してい生きていく、誰かを助けてあげるし、誰かに助けてもらえる、そんなやさしい関係性を作っていっていただけたらと思います。

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最後に暖かく力強いメッセージをいただきトークセッションが終了。参加者同士の対話の時間になりました!

4.対話を通じ、キャリアについて主体的に考える

今回もブレイクアウトルームを使用し、4,5人のグループに分かれて対話を行いました。簡単な自己紹介、ゲストの話の中で印象に残った言葉、自分が考えたことなどを自由にシェア。その一部をこちらでご紹介します。

<印象に残った言葉など>
・前半の話が刺さりました。これまで人と比べる競争の中で仕事をしてきていて、今後キャリアを見直すために人と比べるのではなく、自分軸にシフトしていきたい。そのためにどうしたらいいかを考えていきたいと思っています。
これまでの知識と経験を生かして地域のリブランディングをされていること、素晴らしいなと思いました。ブランドを広げていくためにどんなことをされているかも、お聞きしたいと思いました。


最後に、古林さんからご参加いただいたみなさんに向けてメッセージをいただきました。「今回機会をいただいて、改めて足元半径5m以内の身近な人たちが幸せになる生き方をしていきたいと、確認しました。みなさまの明日からのご活動・学びの充足・幸せをお祈りしております」

古林さんの地域と人へのまっすぐなやさしさを改めて感じ、第3回のイベントの幕が閉じました。終了時の集合写真がこちらです!

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最後までお読みいただきありがとうございました!

イベント本編での出会いはもちろんのこと、プレイベントの運営メンバーの他にも全国で多様なキャリアを築いているメンバーが関わっているので、参加の際は是非私たちのと出会いも活用してください。

アグレッシブに働き方を考える皆様との出会いを、楽しみにしています!

▼興味を持たれた方は、ぜひイベントの趣旨や関係者のキャラなど、より深くチェックしてみてください。

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