見出し画像

「風」

言葉の先に、それが結ぶ像をイメージする

何も考えたくないとき、頭の中で風が吹いている

それはどこかで見た風ではない、どこかで受けた風ではない

何かで読んだ景色の中で、その風はいつも吹いていて

黄色い光が左端にあって、露出を最高にした写真のように全体は白んでいる

何も聞こえなくなるほどの強い風ではないが、聞こえるのは風の音だけ

たくさんの風がそこにはあって、強弱はあっても止むことはない

そうして、草原のイメージに移る

黄色い白んだ景色は風が生まれる場所で、それは草原を駆けて、やがて岬にやってくる

イメージの中、風はいつも、海からでなく、海に向かって吹く

そうして私は、岬のへりに立つ荒屋の暖簾をくぐる

食堂 最北端



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?