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地方の人材不足状況の対策と各地方事例について

今、人材不足は深刻な課題です。東京圏への人口流出が続く中、若い人が残らない地方は人材そのものを確保するために様々な工夫をして、魅力を発信する情報があります。
人材不足そのものは、少子高齢化が加速している以上、絶対数はどうしようもないとしても工夫次第で人材不足に対処すること自体は不可能ではありません。
本記事では、中小企業がどのようにして人材を採用しているのか、その具体的な取り組みと成功事例について紹介します。


地方の人材不足の現状

日本の地方中小企業は、人口減少・高齢化といった社会変化により、ここ数年急激に深刻な人材不足に直面しています。一時期は、業態によって異なるような報じ方もされていましたが、コロナ以降は全ての業態で人が不足していると言って良いでしょう。
総務省のデータによると、2022年には地方の人口は全国の全体で2.5%減少しており、この傾向は今後も続くと予測されています※1 。
さらに、地域によっては人口の流出が特に顕著で、若年層の確保が大きな課題となっています。
内閣府の報告書によると、地方企業の約70%が適切な人材を確保することが困難であると感じており 、特に専門技能を持つ若年層の確保が急務とされています※2。


※1 総務省 ー 「人口動態調査」より出典
※2 内閣府 ー 「地方創生に関する報告書」より出典

地方企業が直面する人材獲得の課題

地方企業が人材を獲得する際の主な課題として、以下の3つがあります。

  1. 都市圏との競争

    1. 多くの若者は都市圏に進学、そしてそのまま都市圏(主に東京都)で就職する流れができています。仕事の多さもそうですし、都市圏の企業は高い給与や充実した福利厚生を提供できることから、どうしても選択肢の上位にくるのではないかと考えます。そういう意味で地方企業はこれに対抗するための資源が限られています。

  2. 認知度の低さ

    1. 地方中小企業の多くは、知名度が低いため、人材にアプローチすることそのものが課題でもあります。特に地方の中小企業は、大企業に比べてリソースが限られているため、効果的な採用マーケティングを行うことが困難です。

  3. 地域の魅力不足

    1. 地域の生活環境やインフラが整備されていないと、都会からの移住を促したとして「不便さとの天秤」がネックになります。地方のライフスタイルや文化が魅力的であっても、利便性の欠如や、魅力発信が不足しているケースが多いです。

人材不足解消に対する戦略

地方の人材不足に対処していくには、以下の戦略が効果的です。

1. 地域の魅力を活かしたブランディング
地方企業は、地域の特色や魅力を前面に押し出すことで、興味を引くきっかけにすることができます。例えば、自然豊かな環境や地域の文化を強調することで、都会の喧騒から離れたいと思っている人材に訴求でき、それを自分ごとに想像を描かせることで地方に呼び寄せやすくなるということです。
事例:株式会社しんせつ様
岡山県に本社を置く株式会社しんせつは、地域の自然と調和したライフスタイルを強調した採用活動を行っています。こちらの企業は地元の特産品や観光地を積極的にプロモーションし、都会からの移住者を積極的に受け入れています。結果として、地方に移住した若者の中には、しんせつでの生活に魅力を感じ、長期的な雇用に繋がるケースも見られます。

2. リモートワークの導入
テクノロジーの進化により、リモートワークは多くの業界で現実のものとなりました。地方企業は、リモートワークを活用することで、地理的な制約を超えて優秀な人材を採用することができます。
事例:北海道のIT業
北海道のIT業態である中小企業は、リモートワークを推進することで全国から優秀なエンジニアを採用しています。彼らは地方の魅力を訴求しながら、東京や大阪などの都市部からも人材を引きつけることに成功しています。

3. 人材育成とスキルアップの機会提供
地方中小企業は、スタッフのスキルアップを図ることで、人材リソース不足に効率化という形で対処できます。社内での教育プログラムや外部の研修を活用することで、従業員の能力を高め、会社全体の競争力を向上させることが可能です。
事例:長野県の製造業
長野県に拠点を置くある製造業の企業は、従業員のスキルアップに積極的に投資しています。社内の研修制度を充実させるだけでなく、外部の専門家を招いたセミナーも定期的に開催、この取り組みにより従業員の定着率が向上し、企業全体の生産性もアップできているそうです。

地方の人材不足を解決するための国や自治体の支援について


国や地方自治体も、地方企業の人材不足を解消するために様々な支援策を提供しています。

1. 補助金と助成金

地方自治体は、企業が新しい人材を採用する際の費用を軽減するための補助金や助成金を提供しています。これにより、企業はより積極的に採用活動を行うことができます。

例:愛媛県の「えひめ創業支援補助金」
愛媛県では、新規雇用を促進するための補助金制度が設けられており、地元の中小企業が新たな雇用を創出する際に、費用の一部を補助しています。この制度を活用することで、多くの企業が新たな人材を迎え入れています。

2. マッチングサービスの提供

国や自治体は、企業と求職者のマッチングをサポートするためのプラットフォームを提供しています。これにより、企業は自分たちに最適な人材を見つけることが容易になります。

例:厚生労働省の「地方創生人材支援プロジェクト」
厚生労働省は、地方企業と人材をマッチングさせるためのプロジェクトを推進しています。これにより、地方企業は全国から適切な人材を採用するチャンスを広げています。

まとめ

人材不足は、この先も大きな課題として長きにわたる問題だと考えます。
しかし、地域の魅力を活かした戦略やリモートワークの導入、人材育成の強化など、様々な取り組みを積極的に取り入れることで、対策の糸口が見えてきます。
また、国や自治体の支援を活用することで、より効果的に人材不足に対処することができます。地方企業は、自社の強みと地域の魅力を最大限に活かし、未来に向けた持続可能な成長を目指しましょう。

本日はここまで、次回もよろしくお願いします!

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