小説家のエッセイ 夫が嫌いなら離婚すればいい

SNSでよく見る夫への愚痴投稿には、だいたい、
「そんなに夫が嫌いなら離婚すればいい」
というコメントがある。

子育てへの愚痴を書けば、
「子育ては大変なものだ、それでも出産を選んだのはお前のエゴだろ」
「そんな気持ちで育てられる子供がかわいそう」
「それぐらい受け入れろ、自分で子供産む事を選んだんだから」
と書かれ、

仕事がきついとか書けば、
「そんなブラック企業にしか就職できなかったお前が悪い」
「そんなにきつい仕事なら辞めれば?」
「その仕事を選んだのは自分でしょ」

子育てと仕事の両立がきついと書けば、
「甲斐性ナシの旦那を選んだのは自分だろ」

妊娠中で体調が悪くて辛いとこぼせば、
「そんなに辛いなら避妊すれば良かったのに」
「選択子無しにすれば良かっただけの話」
「じゃあ避妊しろよ」
「妊娠を選んだお前の責任」

親の介護がきついと言えば
「育ててもらったんだからそのぐらい自分で面倒見ろよ」
「そんなに辛いなら老人ホームに入れれば?」

辛いなら○○しなければ良かった。
そういう可能性があるとわかってて○○したのは自分だろ。
○○したのは自分の責任。

正論だ。

面倒事が嫌なら結婚しなきゃいいし、愚痴るぐらいなら妊娠出産育児なんかすべきじゃない。大変なのは独身でもわかる事だから。

・・・・・・。

でも、いつも正論をぶつけるのが正しい事なのか。

私自身がこういう正論ばっかり言ってきたし、他者にも、自分自身にも向けてこう言ってきた。

独身の時は本気でこういう正論を考えていた。

結婚したり妊娠したりして、少し考えが変わったりもした。

だけど、基本的には独身の時の自分の考え方の方が正しいと思ってるから、

「あぁ、やっぱり妊娠しなければ良かった」
とよく思っている。

「この子が居ない方がより良い人生だったかもしれないのに、妊娠してしまった」
とか思ってしまう。

お腹の子供の事を愛しているのにも関わらず。

何が正解なんだろう?

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