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アート作品について

販売するアート作品についての概要

ー内容
 ボンボンショコラ2つのレシピ(素材と分量)を1枚の紙に書いたもの。額装。

ー価格
 ¥550,000(税込)

ーショコラ自体も希望があれば4種類

1) この作品(レシピ)の説明
2) そもそもこれがなぜアートであり、価値があるのか

2つの視点からなるべく丁寧に書いていく。
(購入を検討いただける方には個別で対応させていただきますので質問や希望等InstagramのDM: https://instagram.com/tomo.enmel?igshid=MjEwN2IyYWYwYw== までお願いします。)

1) この作品(2つのレシピ)の説明

 このふたつのショコラは人間を表現している。人が共通していることはなにかというと、同じ素材でできていること生物学的に男か女かに分けられていること生まれていつか死ぬこと。この3つをベースに構成していて、それ以外は曖昧なもので本来自由であり、優劣つける基準を持たない。みたいなことを象徴的なメッセージとしてショコラで表現したもののレシピを書いた。

 人間というものを、主な構成要素である水素・炭素・酸素・窒素・ミネラル(その他)、そこに精神・思考の概念を追加した7種類で捉えることからこの作品作りは始まりました。具体的にはホワイトチョコ、ミルクチョコ、ブラックチョコ1-2、茶葉1-3の7種類。WhiteからBlackまで、そのグラデーションとして、ひとつに共存していること、茶葉のブレンドによって複数の香りを内包することで口に入れたときに感じとる視点を自由にした。
 同じ7種類の素材を用い、それぞれの配合比率を変えることで全く異なるショコラを表現した。誰もが生まれて唯一必ず持つ属性が生物学的に男か女か。このショコラは、属性に優劣つけず縛られず自由であることをメッセージとしているが、自由であるにも基準が必要だ。スタート地点を設定することでそこから自分の視点を探していく設定にしている。ふたつのショコラはきちんと乳化して口溶けのよいものと、視点の曖昧さやその不完全さも人の持つ美しさとして、あえて分離させたものの4つがある。
 人はほとんど水分でできていて、生まれて死ぬまでの水分量は75ー55%(個人差あり)に推移するらしく、この数字を反映して人の一生を重ねた。具体的には4つのショコラ(34,40,64,66%)を混ぜたあとのカカオ分を55%、乳化率が75%になるように水分量を調整している。僕のものづくりは、才能やセンスみたいなものをなるべく排除して徹底した細分化と丁寧な観察に基づいている。レシピ上では分からないけれど(下図)今回のテーマに合うように反映した。

ボンボンショコラ(レシピ入力時の相関関係)

2) そもそもこれがなぜアートであり、価値があるのか

 前提としてアートとはなにか定義するのはすごく難しいんだけれど、僕なりの解釈は、物理的・精神的、対象は問わず、現時点で自然に見える(個人的な背景、先入観、社会や文化的影響等含めその時点で自然であること)ものに加えて、表現者なりの視点や提案を表現したものである。
 さらに、その表現が時代を超えて評価され理解を得るためには、自己のアイデンティティや個性をベースに、歴史の新解釈、新しい視点や仕掛けの提案、確信的なルール破りなど、業界の歴史や時代の文脈に沿ってプレゼンテーションすることが求められる。一見すると訳のわからない作品も文脈の中で価値を持ち、芸術の基本姿勢である知的な仕掛けやゲームを楽しむ人々に受け入れられてきた。
 要は、表現してその表現が自分だけのものにならないように説明してこそ作品に価値が生まれる。現時点でレシピが持つ自然に対し僕なりの視点を加えて、食業界の文脈に沿ったプレゼンテーションをもとにアート的価値を証明する必要がある。今回僕から提案するレシピの内容は前述の通り。今あるレシピとどう視点が違うのか。

 レシピが持つ現時点での自然とはなにか

 レシピは広義で、作る工程の説明部分まで含まれることもあるが、今回は素材とその分量を記述した根幹の部分のみをレシピとする。レシピ自体には著作権がない。今回作品にするにあたり弁理士さんにもお時間いただいてあらゆる角度から模索したがレシピ自体に著作権を、というのは難しいらしい。アイデア、事実、データ、のため創作物とは認められないとのこと。ちなみに、レシピをもとに実際の商品やその過程を文字や写真で表現したりそれらを複数まとめたレシピ本等には著作権があるが、レシピ自体には価値がない、というのが現実であり自然だ。
 レシピってそもそもなにかっていうと、一般的な美味しいの指南書であり、個人的に好む味や状態になるように素材と分量を決めたものである。100回以上の試作を繰り返し、唯一無二のレシピができた、とか、1g単位の調整を加えてようやく納得いく味になりました、とか、このように聞くとものすごいこだわりがあって行き着いた素材と分量はとても創造的にみえる。グラニュー糖は13gではなく14gじゃないといけないんです、と言われると、14という数字はとても個性的にみえる。しかし、レシピというのは確率のようなもので、ある一定の範囲で自分の好みを探した点にすぎない。下の図はスポンジ生地のレシピを集めて分析したものなんだけど、好みの味や状態を求め唯一無二に見えたレシピもこの面積の中に収まる。グラニュー糖14gという数字は最終的にこれがいい!と行き着いたもので、もちろんその人にとって絶対的なものだけれど、事実やデータであることに矛盾はない。

分析 #スポンジ生地

 レシピがもつ自然というのをまとめると、創作に必要な単なるデータであり、それ自体が創造的価値があるものではない。それは面積の例からもわかるようにレシピにある素材や分量はその人個人の好みに沿って無作為に最終的に決まった数字に過ぎないからだ。
 僕の試みは、レシピ自体に価値を持たせることでありその素材や数字が創作物だと提案すること。著作物とはなにかというと、「思想または感情を創作的に表現したもの」である。1) この作品(2つのレシピ)の説明で記述したように、従来のモノづくり(レシピの自然)とは数字の作り方が全く違う。要は、作成者の好みに基づいたものではないということ(もちろん、ショコラは美味しい!)
 ちなみにトレンドみたいなものでいうと、情景・テーマみたいなものを設定して、料理(川辺,夕陽,山の恵み,,,)やケーキ(朝露,愛,泉,,,)の見た目や味に反映させているものもある。今回の僕の提案は、これらと同じなんじゃないかという意見もあるけれど、好みや意図によって最終的にレシピとして数値化されているだけで、本質的にはこの食感になるように作ってます、という従来のものと同じ。
 今回のふたつのボンボンショコラは5年前に作ったものなんだけど、僕自身それ以降作っている生菓子も基本的には前段のレシピ作りと同じ。このショコラだけ異質なものであり、アート作品として、また、食のシーンに新しい概念を打ち出す価値のあるものだと思う。
 才能やセンスみたいなもので神格化された商品も、徹底した細分化と丁寧な観察に基づくと、その一体感や美しさは可視化(参考: https://note.com/lnias/n/nf44690be1196)できる。そこから離れて、新しい視点の提案とルールを持ったモノづくりを反映したレシピとしてアートに変える。

 アート購入を検討いただける方には個別で対応させていただきますので質問や希望等InstagramのDM: https://instagram.com/tomo.enmel?igshid=MjEwN2IyYWYwYw== までお願いします。

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