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心に付けるトリアージ

死にたい人たちの声を全てキャッチするのは難しい。
災害時、怪我人を全て助けられないのと同じくらいに。

自殺志願者たちにトリアージはできない。
客観的なバイタルの数値、所見、症状と、主観的な訴えまでも総合的に捉えて看護師や医師が判断すること。
心の痛みを数値化するのは難しい。
変動の激しい精神の病で「この人やばいから即手当てを!」なんていうのは無理がある。(保護室が人口の数だけあり、スタッフ数や人権配慮が整っている、自傷他害のリスクが高ければ別。でもその判断も難しいし本人が望んでなかったりする)

心の経過は十人十色で、それ自体が病状なことも多い。
軽快に見えていたのに数時間後には自死を選んでしまった人もいる。

心にトリアージタッグは付けられない。
🟩緑(軽傷・自力で動ける)が
🟥赤(重症・最優先)に付け変える隙も与えず
⬛️突然黒(死亡・助けられない)になる。
逆に言えばみんなが緑で、黄色で赤で、黒になり得る。

『あなたの声を聞かせて』
というよく見るSNSでの問いかけ、いざ助けを求めると繋がらない。それが絶望の引き金になってしまったりする。

「あぁ、画面の向こうですら救いはないのか」
でもそれは誤解だ。
抑鬱状態でよく陥る誤認だ。

肩がぶつかりそうになり、すみませんと言ったけど無視された…コンビニの店員さん、自分にだけ声小さかった…歩行者にポケットティッシュ配ってるのに自分だけもらえなかった…自動扉が認識してくれなかった…自分は存在してはいけない人間なのだ…死ぬべきなんだ…
とまぁ、私もわけのわからない誤認をして苦しんだものだ。振り返ると滑稽すぎて笑える。
平穏な精神状態であれば、「たまたま」って言葉でおわりなのに。

いのちの電話等に繋がらないのも、たまたまでしかない。でもそうだとしても納得できないよね。
彼らは「自分だけの声を聞いてくれる何か」を渇望している。
見知った人には言えない心の内を、自分には無関係な優しい人にただただ許してほしい。
それが叶わなかった瞬間「やっぱりこの感情は許されないのか。悪なのか」と失望してしまう。

はちゃめちゃによくわかるのでとても悲しい。
死にたいも辛いも苦しいも怖いもみんな正しいよ
大丈夫だよ。

誰かに聞いてもらえなかった声は文字にしてみようよ
声に出すより簡単だったりするよ
まとまらない思いのままでいい
誰にも言えない言葉のままでいい
小説の中ではどんな残酷なことが起こっても誰も責められないでしょ
物語の中で、善の存在がギッタギタにやられたっていいんだよ
妬みも恨みもどんなに根暗な言葉でもいい
文字にして、誰にも読まれたくないならビリビリに破いて燃やしてしまえ
あ、火の取り扱いには気をつけてね(やらかしそうになった人です)

誰かに聞いてもらうのはとても大切
気持ちを言葉にして伝えるのは本当に大事で必要
でも相手を選ぶこともすごく重要

だけど
期待通りの言葉や反応が返ってこなくても
どうか傷付かないで
怯えたりしないで
きみがきみの気持ちをありのまま伝えられたことに意味がある
絶対にある

繋がらないいのちの相談相手なんか頼らなくていい
そんなのチョコボールのエンジェル当たった方が良いし
お気に入りの配信者にコメ返してもらえた方がツイてるし
そのラッキーはここで使わず取っておけ
文通相手いる?(時代…
SNSにリアル以外の友達は?
ペットは?
植物やぬいぐるみはどう?

私はいつもここにいるよ。

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