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 消費税における適格請求書等保存方式の導入は、中小企業や小規模事業者にとって正面からDX(デジタルトランスフォーメーション)と対峙する大きなきっかけとなる。単に適格請求書等を電子化することがDXではないが、適格請求書等をどうするかの検討をすることは、中小企業や小規模事業者がDXに取り組むための大きな第一歩となるであろう。

 適格請求書等を電子データとして作成するにあたり、考えておかなければならないことがある。
 電子帳簿保存法だ。cf. 電子帳簿保存法関係|国税庁
 電子帳簿保存法(電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律)は、納税者の国税関係帳簿書類の保存に関する負担の軽減等を図るために、その電磁的記録等による保存等を容認しようとするものだが、納税者による国税関係帳簿書類の保存が申告納税制度の基礎をなすものであることから、あらかじめ税務署長等の承認を受け、かつ一定の要件に従った形で電磁的記録等の保存等を行うことが条件とされている。
 電子帳簿保存法の概要は次のとおり。
⑴ 国税関係帳簿書類のうち電子計算機を使用して作成している国税関係帳簿書類については、税務署長等の承認を受けた場合には、一定の要件の下で、電磁的記録等による保存等が認められる
 また、取引の相手先から受け取った請求書等及び自己が作成したこれらの写し等の国税関係書類について、税務署長等の承認を受けた場合には、書面による保存に代えて、一定の要件の下で、スキャン文書による保存が認められる
⑵ 所得税(源泉徴収に係る所得税を除く)及び法人税の保存義務者がいわゆるEDI取引やインターネットを通じた取引等の電子取引を行った場合には、電子取引により授受した取引情報(注文書、領収書等に通常記載される事項)を電磁的記録又はCOM若しくは書面により保存しなければならない
 ここで電磁的記録とは、情報(データ)それ自体あるいは記録に用いられる媒体のことではなく、一定の媒体上にて使用し得る(一定の順序によって読みだすことができる)情報が記録・保存された状態にあるものをいう。
 具体的には、情報がハードディスク、コンパクトディスク、DVD、磁気テープ等に記録・保存された状態にあるものをいう。

 電子帳簿保存法では、自分で最初の記録段階から一貫して電子計算機を使用して作成することが求められている。
 多くの場合、通常の会計ソフトを使用していればこの規定は充足されると説明されるが、消費税の適格請求書等保存方式への適合を考えると、既存の会計ソフトを前提とした電子化では不十分だ。
 適格請求書等への記載が求められる情報の多くは、会計ソフトの入り口と出口の外で作られるからである。
 それが会計ソフトと切れ目なく連動して機能する受発注システムが必要となる所以である。

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