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ライダーへの志望動機②:「好きな人と、感動を共有したい。」

悲しいことがあると焼肉が食べたくなる、れもん牛乳です。
肉は人を幸せにする。…たぶん。

早速本題ですが、前回書かせていただいたのはバイクに興味を持ったきっかけ。
それから免許を取ろうと決意するまででした。
なんて言いつつも焦点を当てたのは主に幼少期〜中高生の頃まで。

サクサクと時間軸を飛ばしてしまった高校入学以降ですが。

正直、進学や勉強、16歳でデビューしてからは仕事のことでも頭がいっぱいになり、あまりバイクについて考える時間がなかったのも事実です。

毎日毎日忙しく、始発で家を出て終電で帰ることもありました。

………いや、学業と仕事の両立、難しすぎる。普通に辛かったので訳の分からない体調不良も頻発。
朝、よく真っ青な顔で学校にたどり着き、保健室で寝かせてもらった時は死んだように眠っていたとのちに保健の先生から聞いています。

このあと大学受験に失敗して浪人することになるとは露知らず、この頃の私の口癖は「人生の春休みが欲しい」。
そしてあわよくば免許が欲しい。

時間に終われず自由になって、

バイクに乗って出かけたい。

でも…。

そう思いながら高校を卒業、浪人を経て進学し、気がつけば壮絶な数年間が過ぎ去っていたある日のこと。

学生生活最後の年です。
卒業試験が終わり、また、21歳最後の数週間を謳歌しようとふらふら遊び歩いていた2月でした。

いつものように同期の女の子と2人で遊んでいて、偶然飲みに行った居酒屋で近くの席に居たのが今の彼氏である、れいくん(仮名)。
かくかくしかじかあって、その日知り合ったれいくんとお互いの友達も含めてみんなで雑談していたのですが、ふと見ると彼のスマホの待ち受けは、結構ガチなバイク。

※画像はイメージです。

(わー、バイクじゃん…。しかも普通にすごい速そうなやつ…。)

のちにそれがYAMAHAのYZF R-25であることを知りますが、この時の私は単純に、かつて憧れていた〝バイク乗り〟という人種が目の前にいることにとても感動していました。

「バイクに乗ってるんですか!? 私、バイクが好きなんです」

「ーーーほんとですか?」

「はい、全然詳しくないですけど…」

「ーーーじゃあニハンとか、ナナハンとか分かる感じで…?」

「排気量ですよね!」

「ーーーまじか! それ分かってくれるだけでもめちゃくちゃ嬉しいです!」


これが彼との、一番最初のバイクに関する会話でした。

れいくん曰く、自分のスマホの待ち受けを見てバイク好きだと自己申告してくる私に対して、当時は絶対に男ウケを狙ったウソだと思ったそうな。

ファーストインプレッション、
イマイチすぎる。

れもん牛乳、いずれは人並みに結婚もしたいしので。
普段から恋愛コラムを読んだり、メイクやファッションを研究して自分を磨いてきたつもりでしたが。

ファーストインプレッション、イマイチすぎる。(2回目)

ーーーーーーでも、たしかに。
今思えば、私が男性ライダーだったとしても、初対面の女がそんなことを言ってきたらそう思うかもしれない…。

カフェ巡りとか、旅行とか、もっと女の子が入っていきやすい趣味で意気投合するならまだしも。
バイクって、おい、バイクだよ…? と、思ったに違いないと今なら分かります。

当時、今よりもさらに無知を極めていた私が排気量に関して色々知っていたのは祖父のおかげでした。
バイクを使った仕事をしていたことのある祖父が、ナナハンバイクを乗り回していたという話をよく聞いていたからです。

ありがとうおじいちゃん。

おかげさまで、最初の会話でちょっとだけ話しが通じるやつなんじゃないかと認められた私。
れいくんのツーリングの話をたくさん聞かせてもらい、その日はラインを交換して解散するほどの盛り上がりでした。

その後2人で何度か会い、今に至るわけなのですが。

れいくんはよく、愛車に私を乗せて色んなところへ行ってくれます。
バイク乗りの人たちがよく行くツーリングスポットから、銭湯や温泉、ご飯を食べるところ、買い物…。
それまでのバイクの二人乗りといえば、女友達が運転する125ccのPCXで買い物にでかけたり学校まで乗せてもらうのが私の経験の全てでした。

それに対してれいくんのR25。
MT車のギアチェンジの音、エンジンの暖気…すべてが新しい世界です。
R25のタンデムシートはPCXと比べるとずいぶん小さく、れいくんとの距離も遠いし車高も高い。
正直一番初めにタンデムする時、怖くないわけではなかったのですが。
バイクを好きな気持ち、これさえあればどこへでも行ける、自由になれるからと強くそれを望んでいたかつての感情がどんどん蘇ってきました。

でも、二人乗りには限界があります。

運転者も同乗者も思ったよりも疲れるのがタンデムの弱点。
また一人で乗るよりも重くなるので、通常よりも悪条件に弱くなります。(風が強い、道が狭いetc.)
子供の頃に強くなりたいと思った時、「行きたいところに行ける自分」も強さの条件に入っていたはずなのに。

もはや誰だから、ということもなく。
バイクという乗り物において、〝乗せてもらう立場〟では文字通り、誰が乗ろうとすべからく〝お荷物〟なのです。

誰も悪くないけれど、バイクという乗り物の特性、そして宿命だと思います。

そのうちれいくんは大型のスーパースポーツバイクに乗り換えました。
見た目的に狭い・乗りにくいと思われるこの類の車種のタンデムシートですが、座り心地は格段に快適になります。
(このあたりはまた機会があれば記事にしますが、シートが肉厚でふかふかなのです。)

ただ二人乗りは更に大変になったことも確かですし、れいくんの大変さを察してはいます。
でも、頭で理解していてもバイクを運転することが出来ない私は、なぜそこまで大変なものなのかも体感することができないでいました。

このままでは、いけない。

れいくんと同じ世界が見てみたい。



なぜ、なにが大変なのか、

どうして楽しいのか、


れいくんの大好きなバイクは、なぜれいくんを惹き付けてやまないのか。

いつか免許を取ったら、一緒にどこへでも走りに行けるんじゃないか………

…………………考えはじめたら止まらない、乙女思考(笑)

恋人として、女の子として大切にしてもらっていること、もちろんすごく感謝しています。
私は今、心底幸せですよ。れいくん。
家庭環境も良いとは言えない、ろくな人生を歩んできてもいない私は両親にすらこんなに大切にされたことがないので。
唯一特別に思ってくれるのがれいくんです。

だけど時々、れいくんの恋人である上に、仲間でもありたいと欲深く思ってしまうのです。


一緒にバイクで走って、

遠くに行って、

「やばい!!! 疲れた〜〜〜〜!!」

とか言いながら、

同じ景色が見たい。


私がれいくんと同じくらい、

バイクに乗れて、

弱くなくて、

そしたらもっと気兼ねなく…


もう一歩、踏み込めるんじゃないかと。

ーーー…自覚があるのでもう一度言いますが、女の子扱いで大切にしてもらっておきながら、別のポジションも欲しがるなんて完全なわがままです。
でも本格的に免許を取ろうと思った背景にはこんな思いがあったという、記録なので。

恋人でありながら、時には友達であり、仲間でありたいという、なかなかにヤバめな独占欲。
……ヤバめというか、ヤバ。

昔、小学校の時に仲がよかった女友達に、とにかく嫉妬深い謎の女がついて回っていました。
友達とクラス替えでクラスが離れ、逆に私と新しいクラスで仲良くなったことにめちゃくちゃ腹を立てて来た、謎の女。
放課後突然呼び出されて、女友達との親友関係を解消しろと迫ってきた、小学生のくせに金髪でヤンキー感丸出しだったあの女…。

今でもかなり謎だけど、その当時〝独占欲〟という感情をすでに知っていた彼女は、今にしてみればかなり大人だったのかもしれないと思ったり。

と、話が逸れましたが。

…教習所に入校する時は、誰にも相談はしませんでした。

これくらい、

これひとつくらい、

自分で決断しないと、と思ったからです。

ーーーーーーこうして私の、波乱万丈教習生ライフが幕を開けるのでした。


【⠀ライダーへの志望動機シリーズ ~完~ 】

#日常 #恋愛 #バイク #二輪免許 #教習所