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ライダーへの志望動機①:「強い女の子になりたくて。」

はじめましての方ははじめまして。
そうでない方にも改めまして、れもん牛乳と申します。

私は現在、学校を卒業してフリーランス1年目。
舞台の上で華やかに仕事をこなす23歳。
ただし普段は、悲しいかな夜遅くまでアルバイトの二重生活。
恥ずかしながら胸を張れるようなことは何も無い、悲しい人生を歩んでいます。
芸は磨きたいけれど人並みに結婚もしたい。
そのためにお金を貯めながら日陰でちまちまと活動中…。

今回はそんな私のしょぼい人生の話は置いておくとして、私の憧れた〝強い女の子〟のことを書き留めておきたいと思っています。

そもそもなぜ、強くなろうとしたのか。

ーーーーーー幼少期に極度の泣き虫だった私。


強くなれば、
もう泣かないと思ったから。


シンプルに、これ。

これなんです。

強くなれば、自分の中の小さいモヤモヤーーーー特に自分の力でどうにもできないことーーーーを解決する術が身につく、あるいはそんな小さなことは気にしなくなるんじゃないかと思ったから。

そして漠然と強くなりたいと思う中に現れる強い女像、〝クレア・レッドフィールド〟。

ご存知ない方のためにしっかり解説しますが、今リメイク作品のリリースで話題のゲーム版「バイオハザード2」。
そこに登場する女主人公こそが、そう、クレアなのです。彼女は警察官の兄の影響で、掘っ建て小屋程度なら木っ端微塵になるような激しめな銃の扱いからピッキングまで、様々なサバイバル戦術が身に染み付いた驚異の19歳。
いや、めちゃくちゃ強い。

父のプレイするバイオ2を見て、その鮮烈な姿に惚れ惚れしたのは今でも覚えています。

そして極めつけはオープニング。

クレアが颯爽と現れる時跨っているもの。


それが、バイクでした。

元々一人っ子だったこともあり、大勢が力を合わせて活躍する戦隊モノより、断然一匹狼のライダー派だった私。
外遊びが好きで、ディズニープリンセスよりもニチアサ特撮を楽しみにしていた私。

クレアがバイクに跨る姿に、一瞬で骨抜きにされてしまったのでした。

このとき、れもん牛乳、4歳。

4歳児の目の前でバイオ2をプレイする父親、今にして思えば何考えてたんだとかはこの際突っ込まないことにして、私とバイクの関係はここから始まりました。

一度だけ連れて行ってもらった仮面ライダーショーにライダーのバイクが登場しなかった時、心の内で大層落ち込んだのは今でも覚えています。

あまりにも小さかったため、ネイキッド、アメリカン、スーパースポーツ…その中でこれに乗りたい! という拘りはなかったけれど。

いつかあの乗り物を自分の力で動かすんだ、という確かな自我が芽生えたのです。
それは今にしてみれば、遠い遠い昔のことでした。

そしてもうひとつ、決定的な理由があります。

それは、留守がちな父親のこと。

ーーーーー幸か不幸か両親と同業を選んだ私。
仕事が不規則で売れっ子の父はほとんど私の生活時間帯に家にいないことが当たり前でした。

父とは対照的にほぼ専業主婦の母とふたりきり、家に取り残された私の遊び場は限られたところだけ。

友達と遊びに行く近所のプール。
ペーパードライバーで車が運転できない母が
自転車で連れて行ってくれる、
ショッピングモールや公園。

長期休みも当然父は家に居らず、お休みあるあるであった、ママ友同士から始まる「こんどは○○ちゃんママ(またはパパ)のおうちの車でお出かけしようね」といった家族ぐるみの付き合いにも入れない我が家。
親同士の付き合いからはいつの間にか外れ、私はそれをなんとなく肌で感じとっていました。

周りの子のように、

どこかへ出かけてみたい。

遠くへ行って、

思い切り新鮮な体験をしたい。

そんな思いを捨てきれず、だけど、誰かに連れて行ってもらうことを待っている自分のことをどんどん嫌いになりました。

「私がひとりで行けないから」
「行きたいと思うこと自体、迷惑をかけている」

そうした思いに苛まれながら中学生になると、フィルタリング設定のないガラケーを持たせてもらった私は真っ先に免許について調べました。

普通自動二輪免許は16歳から。
費用は所持免許なしで○○万円程度〜。
新車のバイクは中型、250ccクラスで○○万円が相場〜など。


当時の細かな金額を忘れてしまいましたが、検索結果に絶望したことだけは覚えています。

ざっと計算して、乗り始めるまでに60万円くらい必要だ、と思ったことも。


中学生が、60万円。

16歳まで3年、
当時のお小遣いは月に5000円。

中学生でできるバイトを探し、早朝の新聞配達なども考えました。
しかし当時は勉強熱心だった私。
睡眠時間は3時間程度しかなく、これ以上眠ることを削るのは不可能でした。
さらにバイクを持つためにアルバイトなんて、親が許すはずもありません。

多分、私が親でも許さないと思います。
許さないというか、13歳の子供が、バイクを買いたいから学校に行く前に新聞配達をする! とか言い出したらかなり困惑すると思うのです。

そこまで考えたところで中学生の私は、誰にも何も言い出せないまま終わってしまいました。


そのまま受験を終えて高校にあがると、そこそこ偏差値の良い高校に進学したこともあり、大学受験のために免許どころではなくなってしまったのです。

気がつくと学生生活が終わり、仕事をしながら普通自動車の免許を取得していました。

そこでふと、思い出す気持ち。

バイクが好き。

バイクに乗りたい。

強い女の子になって、もう泣かないで、
笑いたい。

誰にも気を使わずに、どこかに出かけたい。

ーーーーーついに私は昨年秋、借り物のヘルメットひとつ持って、四輪免許を取得して卒業したばかりの教習所で手続きを済ませていたのでした。


【⠀つづく 】