独善利己

この感情、忘れないように集めて閉じ込めた。 https://llxyo.github.io/post

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    最近の記事

    「すずめの戸締まり」─人生という旅、道標─ 感想と考察

    旅の道標、至るべき運命 扉の中の世界で幼いすずめが見た人が未来のすずめで、そのすずめがすずめに椅子を渡していたということに不思議な納得感が強く残った。それを最初は上手く言葉にできなかったけど、でも自分の人生の実感と重ねて振り返ってみると「そうだよなぁ…」と、すとんと腑に落ちるものがあった。 こうなりたい、こうしたいって将来の夢とか望みの姿を目掛けて人は人生を歩んでいける。そして、寄る処々に出会いがあって、そこには愛もある。そして、その愛が背中を押して応援してくれて、自分の

      • ─アスナとミト、別れと新たな道─ ソードアート・オンライン プログレッシブ 冥き夕闇のスケルツォ 感想と考察

        燻る彼女への想い 第二章が始まって早々にアスナさんがレイピアをモンスター、そしてプレイヤーキラーに奪われる展開にSAOにトラブルは付きものだなぁと改めて思うばかりだったけれど、この「冥き夕闇のスケルツォ」を一度見た後にこの顛末を思い出すと、また違った印象を感じる。 このレイピアは元はミトから貰ったフルーレを改造したもので、レイピアを奪われるということはアスナのミトへの気持ちを表しているようにも思える。第一章「星なき夜のアリア」のラストで、アスナを守れなかったことに責任を感

        • 『秒速5センチメートル』をハッピーエンドに見る方法 感想と考察

          初恋から覗く世界 初恋の記憶、それが「秒速5センチメートル」なんだと思う。 小さな手の届く範囲を世界の全てだと思っていた頃の初恋の記憶。それは巨大な世界、長く大きな人生の中で守り続けることは難しい。その想いを抱えた孤独な時の流れは怖くて苦しくて、ある時耐えきれなくなって、ふっと手放してしまう。そして、いつしかその苦しみもろとも初恋の記憶を忘れてしまうのだ。 「彼女を守る力が欲しい」と遠野が栃木からの帰りに願った。それはきっと孤独の恐怖に負けて彼女への想いを手放さないよう

          • ─歌で、世界も想いも繋ぐ─ ルミナスウィッチーズ 感想

            「人と人との繋がりこそが力をくれる」ということを深く深く感じた。そして、1話から12話までのエピソードが一繋ぎに繋がった時、ルミナスウィッチーズたちの成長と旅路がいっそう輝きを放っていた。 同じ空の下、どこまでも越えて繋がる想い この物語は常に「遠い距離を越えて繋がる想い」を描いていた。特にセンチメンタルだった第7話「太陽の理由」。たとえ遠く離れていても、同じ空の下で一緒なことに変わりはなくて、思いだってきっと届くと教えてくれた。 ストライクウィッチーズ第6話をなぞるよ

            ─この世界からキミを守るもの─ 天気の子 感想と考察

            何かが欠けた街、東京 東京の街は、この世界は人の手によってあまりに人のものからかけ離れた姿になってしまった。 建物も、インフラも、そこに生きる人々も全てが効率と利益のために整然とならされてしまった都市という空間は、人に優しくない。人の生活のために目まぐるしく変貌を遂げ続ける街は、そうなればなるほどに人が生きづらくなっている。 東京の至る所に張り巡らされた鉄道網は人家すれすれを通り、歓楽街は誰かの快楽と犠牲が表裏一体であることの縮図ですらある。弱者を救うための社会のセキュ

            ─運命を紡ぐ結び《ムスビ》の意味─ 君の名は。感想と考察

            二人の運命 誰と繋がっているのか、どこと繋がっているのか、本当は夢や幻なんかじゃないかと思ってしまうくらいに覚束ない記憶。だけど、確かに繋がっていることを感じさせる「結び」がある。 ある日、三葉と瀧は遠く離れた世界を越えて、出会った。あり得ないほど遠い遠い世界を跨いで、溶け合うように交じ合った。 200年前の大火で何のための儀式だったかという記憶が欠け落ちた宮水神社の伝統。母を失って、父との軋轢の末に断たれてしまった三葉と親子の繋がり。そして彗星に散った糸守町と、その夜

            ─刹那的で一度きりの甘い夢─ 秒速5センチメートル 感想と考察

            認めたくない後味 見終わった直後、呆然あるいはショックを受けてる。二人はまた出会えるんじゃないかって思ってた。 でも、この感情こそが答えなのだと思う。人生は複雑で大きすぎて、その中でただ波のままに揺られて、流されることしかできない。いくらあの島へと願ったところで、海はそんなもの意に介せずに僕を運んでいく。でも同じ海の上を浮かんでいる限りは、いつかまた君と出会えるんじゃないかって思わずにはいられない。地球の7割を覆う海の上でたった一粒同士の雨の滴が重なり合うような確率を、も

            ─僕/君がどこにいても想い続ける─ 僕愛・君愛 感想と考察

            ハヤカワ文庫原作らしく本格的なSFという印象が強く残ったロマンスだった。 特に「君愛」はSF世界の上で繰り広げられるロマンスで、「僕愛」はロマンスの描写も含めてSF世界を表現しているという印象だった。それぞれをSFとロマンスどちらなのかと言い切ってしまえば、「君愛」はロマンスで「僕愛」はSFだった。 君を愛する想いが君を生かしている:「君愛」 パラレルシフトの上で繰り広げられる二人のロマンスと、暦が栞のために捧げる一途な想いが切なかった… 「私のために、それだけのため

            -現実逃避の蜃気楼- 天気の子 感想と考察

            二つの顔を持つ東京 この物語の東京には二つの顔があったように思う。 一つは、陽菜の家を揺らす程に電車が至る所に張り巡らされ、また目先の利益に喰らいついて人も街並みも息苦しく、薄汚れ、様々な社会問題に溢れた大都市。 もう一つは、陽菜や須賀圭介のような無機質な都会でも帆高にあたたかい心で接してくれる人や陽菜の家や帆高や陽菜、夏美、圭介と娘の萌花の揃った芝公園のように緑に包まれた場所の残された一面。 大地の上、空の下でただ揺蕩わねばならない人類 そして、この物語は技術発展

            ─二人だけの未来─ 夏へのトンネル、さよならの出口 感想

            外と中で異なる時間の進み方をするウラシマトンネル。 これは過去に囚われた花城と塔野を永遠にその過去に閉じ込めるもののように見えていた。だけど、二人を結びつけもしたこのトンネルは、それぞれの捨てきれなかった過去と向き合わせ、そして未来へと送り出すための存在だったのかもしれない。 そして、その未来はただ待ち受けていた未来ではなくて、二人が一緒に巡り合って手にしたものだからこそ、鮮明に輝く未来になったのかもしれない。 二人のすれ違い、隔たれた想い 塔野くんはカレンちゃんを取り戻

            ─朽ちかけの思い出に焦がれる─ 雨を告げる漂流団地 感想

            団地というのはまさに文字通り、みんなが一緒に寄り添い合って共にある場所。 だけど、いつかは時の流れの中で朽ちていく。 航佑と夏芽がかつて一緒に暮らした団地もまたそんな風に過去の遺物となって取り壊されることになっていた。そんな団地に満ちていた古い部屋独特の落ち着く空気が、捨てられない思い出を抱えた夏芽と前に進まなきゃいけないという航佑の間に嵐を巻き起こす風となっていった。 夏の終わりを思う どこまでも広がる海に浮かんだ漂流団地は、自分の気持ちにどう整理をつけたらいいのか分

            ─孤独の自己犠牲と自己嫌悪─ エイティシックス 感想

            虐げられし者の倫理 満ち足りた者からの慈悲はエイティシックスの倫理観や信念には受け入れられないというジレンマに苛まされ続ける物語だった。 誰かの犠牲の上に立ちながら銃後でのうのうと生きて、最前線での無数の死に無自覚でいることを許せないエイティシックスたちの正義もわかる。わかるけれど、その信念に完全に共感できるのは同じエイティシックスたちにしかいないのだと思う。 シンたちに死んで欲しくない、置いていかれるくらいなら自分も一緒に…という、シンたちのそれと同じだけど噛み合わな

            ─魔法少女は正義になれない─ マギアレコード 浅き夢の暁 感想

            弱者は救えない、救われない 第1話で明かされた灯花とねむの過去、そして第2話で刻みつけられる魔法少女という存在の儚さ。 まどかみたいな奇跡の存在にはなれない灯花やねむには、自己犠牲だけでは全てを救うことなんてできやしなかった。いろはを救おうとした灯花とねむは、いろはを救えないどころかういをも失ってしまった。魔法少女といえど、本質はただの少女。そんな小さく脆い存在が誰かの災厄を背負うことなんて遠い憧れじみた幻にすぎなかった。 そしてみふゆやももこのように弱者同士が束になっ

            ─ユメのセカイからの覚醒─ 新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に 感想あるいは考察

            第25話「Air」は、 素直に良かった。最後の敵は同じ人類で、NERVは人類のために使徒を殺すことを知っていても人を殺すことは知らない。全て裏切られて、それでも抗うNERVや過去の呪縛から解き放たれたアスカの勇姿にアツくなった。ミサトがシンジを大人にして送り出す場面、そして事切れる場面には胸熱くさせられて涙さえ溢れた。 そして、 最終話「まごころを、君に」 強烈で過激さすら感じるメッセージ性にやっぱりと思いつつも面食らってしまった。 シンジに対してミサトもアスカもユイ

            ─自分を生きる責任─ PSYCHO-PASS サイコパス 感想あるいは考察

            平和で穏やかな日常や最適化された生活という普段の努力なしには手にできないものを当たり前の産物だと思い込んだ社会、それはシビュラシステムという神に与えられものであり、決して人類の社会ではない。 何が必要で、何が不要なのか。自分が何を成せばいいのか、誰が社会を害し得るのか。そんな煩わしいことを考えなくていい社会は確かに理想郷である。全てが最適化された功利主義を達成した社会。 愚かな人類の、偽りの理想郷 だけど、それは自分の意志や葛藤という生きる本質から逃げ出して、人間らしく

            ─贖罪と優しさのパフェ─ デリシャスパーティー♡プリキュア 18話 感想

            「わたし、パフェになりたい!輝け!キュアフィナーレ!」 みんなを笑顔にしたいと思ってきたのに、ジェントルーとしてみんなをキズつけてしまった。本当は優しいからこそ過去の自分を許すことができないあまねの葛藤は、きっと自分自身を直視できないような辛さがあって、見ているだけで痛切だった。 ウバウゾーから助けようとするみんなに「キズついて欲しくないから私のことは放っておいて」と言う姿には、やっぱり彼女は優しいんだってことが在々と伝わってきた。だけど、同時に自己犠牲を以ってでしか優し