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絆きらめく恋いろは

怪文書

●感想(ネタバレ無し)

刃道というスポーツに力を入れている学園で生徒同士が年に1回夏に開催される大会で優勝するために切磋琢磨していく感じのスポーツものだが、話の中心となるスポーツの起源がちょっとオカルトなためジャンルとしては和風怪奇譚にもなりそう。

ヒロインは自称親友を名乗る編入生、自称姉を名乗る幼馴染の学園最強さん、ステータスがチートレベルの後輩、謎の社長令嬢とそれぞれキャラが立っていて、サブキャラも5人と少ないがそれぞれ掘り下げられてたのでよかった。強いて言えばサブキャラに男子が一人もいなかったので寂しかった。

TIPSがあるくらい単語が出てきて始めは忌避感を覚えたが、いちいち覚えてなくても特に問題無く読めるため、特に気にならなくなった。加えて、シナリオが冗長でないので読みやすい。

bgmは良く、山場で挿入歌が流れるのがとても良い。UIはシーンジャンプが欲しいぐらいで特に不便は感じなかった。



───以下ネタバレ注意───



●感想(ネタバレ有り)

椿さんがもうありえないくらいガン刺さりしたので、椿さんについて書くために執筆しているみたいなところがあるため、まずそれ以外について簡潔にまとめる。

○全体を通して
攻略順、フリージア→しおん→椿→桜夜
しおん・桜夜ルートで、刃道というスポーツが主題のはずなのに、結局シナリオがキャラ掘り下げの和風怪奇に重きを置かれていて、演武祭がついでで処理されて霞みまくっててなんだかよく分からなかった。両ルートとも最後を演武祭で終わればよかったのに、と思う。

○フリージア・G
名前がすごい。本当に扱いづらそうな立ち位置のヒロインなため、シナリオ展開の努力をとても感じた。サブヒロインなんだろうなと思ってたら予想以上にシナリオがあまりにも短くてびっくりした。実家についての掘り下げが全くなかったので、残念だった。

○藍原しおん
典型的な後輩ヒロイン。最初は真剣も握る覚悟がなかった普通の女の子が、最後は主人公の尊厳を守るために殺してでも止めようと刃を振るう覚悟ができるように精神面の成長が描かれていて、シナリオだとこのルートが一番すき。
 桜夜ルートで桜夜が霊刀を持った状態の精神感応力が800程度だったのに、"しおん"のオーラ状態の精神感応力が800もあるの本当に化け物では。
 あと、シーンでずっとめちゃくちゃ喋ってて、???ってなった。砂浜がある屋内プールも意味わからん。

○上和泉桜夜
多分グランドルート。伏線全回収するためとはいえ、予想しうる最悪の展開が起こるというルート。ラスボスが出てくるキャラの中で一番強い設定の人だったので絶望感がすごかった。
 ラスボスが自分以外に身を委ねて第2形態になったら弱くなって、藍染かよと思ってしまった。主人公がずっと後方支援だからどこかで刀握るんやろうなぁとニヤニヤしながら全ルートやってたが、このルートで戦うことになった時に納得しまくってた。主人公の血筋がサラブレッドすぎて最強すぎる。エピローグで唯一、未来が描かれてた。

○朱雀院椿

・シナリオ

本ゲームは学園スポーツものがメインテーマだと思われるが、その点においてはグランドルートでも相違ないと思った。
 1敗も許されないという常勝不敗の絶対的勝者としての視点が書かれていて、素晴らしい点が才能・気質ともに向いてはいない1人の女の子が人生をかけて、血の滲む努力を繰り返し、いつ切れてもおかしくないほどの余裕のない緊張状態の内面を隠し、外面は名門である朱雀院家の末っ子として圧倒的実力を持つ"天才"として振る舞っているというこの乖離から生じる歪さが細やかに描かれているところに尽きる。
 こういったスポーツものではほとんどが挑戦者としての視点しかない(王者視点だと話の膨らませ方が難しいため仕方がないが)ため、目新しく斬新なシナリオだと思う。

・キャラクター

まず、唯一の心の拠り所であった主人公の父親が亡くなった時に、自ら精神的に支えに行っているのが既に性格の良さが滲み出ている。その後話が進むと、朱雀院家が息苦しかったため主人公の家で修行していた3ヶ月が彼女にとって精神的な支柱であったことが窺えるが、それを差し引いても余裕のない毎日を過ごしているのに気遣いに行っているという事実が性格を表している。

幼少期から厳しい教えを叩き込まれ、自らを縛りつけていた朱雀院家から精神的にだけでも解放されて本当によかった。

イラストの絵柄から察するに、桜夜・しおんと担当の人が違うのだろうか?お顔が本当にかわいい。CGが良すぎる。声もかわいい。立ち絵の手がマジで天才。これ↓

なぜか桜夜ルートで明らかになるが、自分が末っ子であることを気にしていて、姉に憧れがあったため、年下である主人公に対して"お姉さん"っぽく振る舞っていることが発覚した。かわいすぎかよ。

キャラ設定としてまず椿が妹キャラとして作られていて、そこから年下である主人公に対して姉として振る舞いたがる上に、実際姉っぽい行動があるため、年上の妹キャラという矛盾のある存在を絶妙に表現している。この精神年齢の幼さすなわち子供っぽさとのギャップが本当に素晴らしい。

何事にも動じない感じがあるのに、過剰に反応するくらいむっつりで恥ずかしがるのがかわいい。

作中では貧乳扱いされているが、これぐらいが一番すきなので最高だった。普段着ている服に羽織があったり大きかったりとそれも素晴らしいが、シーンで服が無い時に分かる華奢さで、やっぱり女の子なんだと実感できるのがとても良い。

髪型が右側のサイドテールだが、髪を集めて結んでる感が前髪の下から覗いてとても良すぎるし、左側のお下げに髪飾りつけてるのかわいい。刃道の衣装のデザインが本当に良い。白と水色を基調とした配色が素晴らしすぎるし、ノースリーブで左腕だけアンダーつけてるの神。本当にありがとうございます。。。

作中で出てくる刀の中でヒノトリが一番好き。青みがかった黒を基調として、刀身が紅から黄色のグラデーションになってて反りもやや弱めと自分が好みの刀のデザインそのまんますぎて怖い。モンハンの天上天下無双刀みたいな感じの刀が好きなので大好物だった。しかも2対の双刀というダメ押し設定ね。

桜夜ルートで姉を止めるために本気で殺し合ってたけど、椿がぎりぎり死なない程度の重傷に調整できるくらい、姉と椿にかなり力量差があったのが状況の描写から見てとれて、表現として本当にすごいと思った。
 血まみれのCG出た時に、悲しいとか死ぬのか!?!?とかそういう感情が、姉と椿に力量差があって姉が手加減してるんやろうなぁと考えていたので全くなくて、椿さんを看取りたい衝動と逆に椿さんに看取られたい衝動が湧いてきた。どうしてくれるんだ。

シーンEXで名前呼び捨てを入れたライターさんは本当に"わかってる"と思う。天才。


●おわり


なんか椿ルートの続きがあるらしいですね。わくわくしてきました。

では

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