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車椅子で駅のホームから落ちた話

車椅子=脚が不自由なだけでは無い

車椅子に乗ってて、急に立ち上がって少し歩いたりするととてもビックリされる。

「え!歩けるのに車椅子乗ってるの?」
聞こえるように言ってくる人もいる。

私はね、体調によるけど、15分くらいなら歩ける。という所から今は30分位大丈夫になってきている。

脳の病気だから、いつ、どんな風にどこに不調が出るかわからない。
体幹が弱いしずっと子泣きじじいを何人も背負ってるように体が重くて辛いから、長く立っていられないし、座ってる姿勢でも疲れて長くは無理。
最近なんとか数時間座っていられるようになり、車椅子があれば長距離も移動出来るようになった。

だから、車椅子無くても歩ける時もあれば、車椅子があっても座るのも無理で水平な場所に寝ないとダメな時もある。

だから、15~30分以内に用事が終わらない時には車椅子を使ってる。
短時間で済む時は杖を使う時もあるし、杖も要らない時もある。

色んなタイプの車椅子

①いわゆる病院や施設に常備されてるような簡易車タイプ。
手押しで軽くて簡単に畳めるタイプのもの。

②①より背中が高かったりヘッドレスト(頭を支える部分)がついていたり、リクライニング出来るタイプの手押しの車椅子。タイヤは小さい。、

③形が①に近い電動車椅子。①に電動のバッテリーとリモコンを付けたタイプのもの。タイヤが大きい。手動にもなるので手押しして貰える。

④手動に出来ない電動車椅子。タイヤは小さい。
手押しが出来ないのでブレーキレバーは付いていない。
自動ブレーキなので坂道で転がり落ちることは無い。

⑤全身を支えるような電動車椅子。リクライニングも出来る。とにかく重くて畳めたり分解は出来ず、車に載せるにはスロープを使うか、福祉車両で引き上げるベルトがあるようなタイプの車でないと載せるのは困難。タイヤは小さい。

細かく丁寧に書けばもっと分かれているけれど、とりあえずこんな感じでわかれたとして、
タイヤが大きいものと小さいものでは場面によって良い面も悪い面もあるのですけど。

私は今、⑤タイプに近い電動車椅子が壊れかけてて④に当たるWHILLという近未来的なカッコイイ電動車椅子をレンタルしています。
1ヶ月15000円で介護保険がなくても誰でもレンタル出来ます。
買ったら50万円位。

これね、とても便利なんですよ。
コンパクトで小回りがきくんです。
エレベーターの中で方向転換出来るし、バスや電車に乗った時もあちこちぶつけたり大回りしないで移動出来る。
脚が出すぎてないので前の人にぶつかったりしなくて済む。
バッテリーの残量が大体のブロックではなく数字で分かるので、わかりやすい。
3つに分解できるので、スロープがなくても車に載せられる。(1人で。自分で)
段差は5cmまで越えられる。
足元に20リットル入るカゴがついていて荷物を入れられる、他に車椅子の背にリュックも掛けられる。
持ち手の長い紙袋も掛けられる。


電動車椅子の小さいタイヤは点字ブロックで滑る

さて本題です。
あなたの地域の最寄り駅のホームの点字ブロックの周りはどうなっているか、ご存知でしょうか?

そもそも、一般道路での点字ブロックって見慣れてると思うのですが、電動車椅子の小さいタイヤのタイプのものは、黄色の点字ブロックの上で滑るのです。
左右に振られて操作不能になるので、少しまたぐ位ならガタガタいって終わりですが、長距離そこを走らされると思い通りに進めないものですから、近くにいた歩行者さんの方に突っ込んでしまってぶつかってしまったり、思わぬ事が起こります。

でも、今どき歩きスマホが多くて、前から人が来るけど見てくれてないから、こちらが点字ブロックを跨いで避けないといけない事も多いです。

想像してみてほしいのです。
自分が台車に壊れ物の貴重品を乗せて運んでいる時、自転車に子供を乗せて走っている時、
点字ブロックや凸凹がある道を選びますか?
避けますよね?
なぜならガタガタいって危ないからですよね?
それは、車椅子のタイヤでも同じですよね。
そういう事が起こるのです。
そして台車を通して手にガタガタの感触、来ますよね?力を込めないとふらつきますよね?
自転車はおしりが痛くなったりしますよね?
車椅子も同じく、体に痛みや不調がある病気で車椅子に乗ってる患者はあの凸凹の響きがダメージ大きいのです。

それがね、駅のホームでは黄色の点字ブロックの傍に黒い滑り止めがついてる所が多いのです。
私が利用している駅はそれなんです。

これね、黄色の点字ブロックでタイヤが上下に揺れて、黒い滑り止めで横に滑るのです。
なので、どっちに行くかわからないとても怖くて、慎重に運転してても、自分では操作不能になるんです。

そして、駅によってはこんなね

エレベーターや階段の下はもう、ほぼ、全部滑る幅しかないので、ここを走らないと行けないのです。

それで、黒い服の女性が写ってる壁に近い部分の僅かな平らな部分が空いてあれば、そちらに左側のタイヤを、右側のタイヤはどうやっても凸凹の上を走るしかないけど、片方だけ安定してるだけでも全く違うんです。

それが、そこに並んでる人が立っている時。
大抵の人は車椅子って車椅子の幅があれば通れるでしょ?と思ってる。

だから線路側の、この操作不能でしかない凸凹の道の幅だけ空いてれば通れるから自分は避ける必要ないでしょ?と思ってて1ミリも動いて貰えないのです。

駅員さんが「通ります」と声をかけながら前を開けてくれようとしても、「幅空いてるから…」と動いて貰えないのがほとんどです。
動いても半歩。
中には身体を少し後ろにのけぞってみるとかw

あと、男性の駅員さんの声掛けには避けるけど、女性の駅員さんの声掛けには動かない人、とっても多いんです。

私も「すみません、車椅子通ります。譲ってください。ありがとうございます!」と言いながら通れれば良いのですが、今はマスクをしているし、昼間の駅って雑音が多くて、座ってる位置から相手の耳に届くには怒鳴らないと届かないのです。
しかし、私は脳の病気で歌を歌うのも疲れるので出来ません。
大声を出せません。
外で相手に伝わるように大きな声で話す事も疲れてダメージを受けます。

避けていただいた時には「ありがとうございます」と会釈をしながら通るけれども、声は届いてはいないのだろうな、と。マスクをしているから口元が動いてるのも伝わらないだろうなと思いながら感謝をして通り過ぎています。

ですが、昨年末、
事件や事故というのはいつもとは違うことが重なった時に起きますね。

私の利用する駅は、車椅子の車両まで、エレベーターからとても遠くてかなり移動します。

その日も長い距離を線路に並行して走ってました。
女性の若い駅員さんが丁寧に案内してくれていたけれど、あまり避けてもらえなかった。
階段下の狭い所に団体(御家族)の乗客が待っていた。
お子さんもいて2人でじゃれていて飛び出してくる可能性もあった。
あらゆるものに注意して、ゆっくり走ろうと思っていると、一瞬目の前が暗転した。
気がついたらホームから右側の前後のタイヤが脱輪して落ちて、始発なので停まっていた電車とホームの間に挟まりました。

近くにいた方達が引きあげてくださり、全くの無傷で、電車にも車椅子にも傷を付けたり壊したりせずに大丈夫でした。

助けて下さった方々、ありがとうございました。


車椅子ユーザーはプロもアマもいる


車椅子ユーザーは何年も乗ってて慣れてる人もいれば、
骨折などで一時期だけ乗ってる人、脚が不自由な方、脚が不自由なわけではない病気や障害で乗ってる方、車椅子を変えたばかりで乗りなれていない方、最近車椅子に乗り始めたばかりの方、
見た目では全く見分けがつきませんが、そのようにバラバラです。

私も今まで介護業者さんの福祉車両でドアtoドアで県外の病院にも通院させて貰えてました。

コロナの影響で県をまたぐ移動に介護業者さんが利用できなくなりました。

自力で移動する為に、故障気味だったこともあり、小回りのきく便利なWHILLをレンタルしていましたが、レンタルして出かけるのは2回目でした。

そんなことが全部重なって、ホームから脱輪してしまったわけなんですが、

まさかこんな簡単に持っていかれて落ちるとは思わなかったのです。

そこで、車椅子ユーザーの皆さんにも注意喚起をしようと思いました。

そして、どんなに注意しても操作不能なわけですから、これはもう、皆さんにお願いしよう!と思いました。

だって、電車が停まっていなかったら線路におちて「人身事故」です。
私が…というより、乗客の皆さんも予定が狂いますし、JRにも迷惑かけますし、駅員さんにも、そこで怪我や命に関わることまでになってると、救急車や搬送先の病院にまで迷惑をかけます。

ホームドアが全駅につくのは何十年後かわかりませんし、そもそもオリンピックが終わった今、バリアフリーがこれ以上進むのかも謎です。

であるならば、簡単に今出来ることは
車椅子って点字ブロックと滑り止めでめっちゃ滑って危ないんです。
どうか、車椅子が通り過ぎる数十秒の間だけ、並んでる乗客の皆様は更に内側の安全な所へ一歩二歩さがってもらうか、、左右に避けてもらえないでしょうか?お願いします。

とお願いするのが1番良いかな、と。

車椅子ユーザーの皆さんは本当に気をつけてね。
も。

当事者になってわかったこと

私も車椅子になるまで知らなかったこと、沢山ありました。
自分も今まで出来ていなかったし、やれていなかったことをお願いします!と言うのはワガママだろうか?無責任だろうか?
そう思っていた時期もありましたが、私は外向きを辞めると共に、ウィンウィンを目指すようになりました。
私だけじゃなくて、結局皆に優しい結果は「事故をなくす」ではないでしょうか?
だったらグズグズ言ってないで、それに伴う言動をすればいい。

車椅子のことなんて、乗らなきゃわからない。
幅があれば通れるでしょ?とか、思ってる人もわざと意地悪でそう思ってるんじゃない。
知らないだけなのです。
だから、もし知っていれば
「え?そうなの?滑るの?じゃ、危ないからこっち通りなよ」と言う人の方が断然多いと思うのです。

だから、知って欲しいのです。

私がそんな風に思えたのは、ある視覚障害の友人が教えてくれた事がきっかけでした。

絵文字は好きですか?

メールに簡単に絵文字が使えるようになって、SNSでも使えますね。
見た目がかわいくて、感情も表現出来るような気になり、嬉しいですね。

しかし、

その絵文字で困ってる方たちもいらっしゃいます。

視覚障害のある方が読み上げ機能と呼ばれる「文字をスマホが音声で読み上げてくれる機能」を使っている事はご存知でしょうか?

とても便利なようで、まだ漢字の読み方が違っていたりして意味が伝わりづらい時もありますね。
私はたまに読み上げでどう読まれるのか試してみたりします。

その読み上げ機能で、地球マークの絵文字を読む時、
「アフリカ大陸が中央にある地球」「アジアが中央にある地球」というように、ただの「地球」ではなく、その絵文字の種類があればあるほどその説明が入るのです。

絵文字を乱用して書く人の文章がどう読み上げられるのかは想像がつきますよね。
とっても意味不明です。

そんな事を教えて貰った時に
「えーー!!!ごめんなさい。これからは使わないようにする」って、その方へのやり取りに絵文字を使うのをやめたんです。
すると「すごい助かる~ありがとう」と、そんな事で感謝をされたんです。

もっと早く知ってたら、やっていたよ。と思いました。

障害者は自分たちが普通じゃないのが悪いんだから相手に迷惑かけないように…と考えるふしがあります。
若しくは、健常者からそのような言葉をかけられて、そういう考えになることがあります。

私も車椅子でホームから落ちた事をSNSに書いた時、
階段の下の狭いところを通らなければいい。
(そこを通らないとエレベーターに乗れない事を知らないのでしょう)
自分でもどいて下さいと言う勇気をもて。
(私の病気を知らないのでしょう)
どいてくれるまで動かなければいい。
(降りる駅に連絡しているので、私が乗るまで電車は発車しませんので、遅延になったら全員が迷惑です。という事を知らないのでしょう)
車椅子のことなんて皆知らないんだから自分が気をつけなよ。
(車椅子に乗ったことが無いのでしょう)
等などのコメントを頂きました。

だけど、多くの方は「知らなかった!教えてくれてありがとう」と言ってくれました。

やっぱり知らないだけで、知っていたら協力するよ!という人の方が断然多いのです。

だったら、文句言う人に合わせるのではなく、協力してくれる人にむけて発信していこう!と思いました。
だって、1歩2歩動くだけの簡単なことです。
絵文字を使わないだけの、簡単なことです。

知っていたら簡単に出来ることです。

そして、その投稿をして数週間たってから、京都で電動車椅子の方がホームから転落して電車にはねられて他界とのニュースが…

それは点字ブロックに滑って…という内容かどうかはそこまで書いてないのでわからず、何が問題だったのかも不明なままなのだけれど、後ろ向きに落ちてきたという証言から、何かを避けようとしていたか、方向転換をする最中でブレーキをかけていない状態であったのだろうと推測しました。
どちらにせよ、安全な平らな場所をキープ出来なかった状態であったのだと思いました。

私が発信しても届かなければ間に合わない。
事故は本当に起きる。
本当に危ないのだと、この事故の後から
「聞いておいて良かった。本当に事故が起きた。皆が知るべき事だ」と連絡をくれた方が何人もいらっしゃった。
そして文句を言っていた人達は黙った。

もっと早く発信していれば…もっと広く周知されていれば…

やっぱり、文句を言う人がいても、発信すること、周知する事をする方が大切だと思えたニュースでした。

車椅子ユーザーに知って欲しいこと

そして、車椅子ユーザーの中にも声をかけられて「うるさい!放っておいてくれ!」などと怒鳴る方がいるのも聞いたことがあります。

1人がそうすることで、トラウマになった方は次に車椅子の方を見かけても声をかけなくなります。

それも車椅子ユーザーに知って欲しい。
貴方は良くても、あなた以外の車椅子ユーザーが困ってる時にお願いしたくても助けて貰えません。

車椅子に乗っていると「車椅子ユーザーの代表」になるから、私も気をつけようと思います。

私は声をかけて貰えたらとても嬉しい。
その時実際に困ってることはなくて「大丈夫です、ありがとうございます」としか返せない状態だったとしても、優しく声をかけてもらった事はとても嬉しくて、その人に良い事が100個あるようにと祈りながら見送らせて頂いております。

車椅子ユーザーだからといって卑下することもないけれど、こっちは車椅子なんだから周りは言うこときけよ!と思うのは違うと思います。

公共の場は誰もが気持ちよく利用出来たらいいなと思うし、
助けてもらうこと、手伝って貰うこと、周りに頼ることもしたいと思うし、
優しくして貰えた時の有り難さに感謝することを大切にしたいと思います。

そして貰った優しさは私もまた別の誰かに贈れたらいいなと思います。


そんなわけで、駅のホームで電動車椅子ユーザーを見かけたら、なるべく凸凹してない平らな場所を譲って頂けたら嬉しいです。
よろしくお願いします。

お譲りいただける時は、ご自身の安全を確保してから、譲ってください。
御協力、ありがとうございます。


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