葉山．

お前、なんも知らねェだろ。

お前、こいつのニワカだろ。

お淑やか気取ってホントはバスケが好きなこと。

寝付きが悪くて寝起きが悪くてアラームを三つ買ったこと。

どうしても片付けが出来なくて、怒った顔して俺ん家の呼び鈴鳴らすこと。

不器用なクセに料理だけは美味くて、自慢げに振る舞うクリームパスタが絶品でたまんねェこと。

お前、なんも知らねェだろ。

な〜んも知らねェで、好きだとか言ってやがんだ。

な〜んも知らねェで、私もとか言われてやがんだ。

俺だけが知ってる。俺だから知ってる。

お前、なんも分かんねェんだろ？

笑うフリして泣きたい顔も

「おい！」の突っ込み待ちの目配せも

「つまんない」「ヤだ」って可愛い仕草も

俺は絶対分かってやれる。

いいか？俺はあいつの古参なんだよ。

俺の方が、全部先だ。

先に出会った。先に話した。先に喧嘩して仲直りした。先に笑わせた。先に抱きしめた。

先に好きになって先に振られた。

お前、どうせ当て馬だろ？

そうだろ？
そうなんだよ。
そうだって言えよ。

幼馴染み設定は、ラブコメの王道なんだ。

そんで君も君だぞ。

惚れっぽくて依存しやすい。

そのクセ振られりゃすぐに切り替えて

気づけば別の奴を好きになってる。

だったらもう、　俺で良いじゃん。

俺の方がかっこいいだろ

顔も良いだろ

身長高ェよ

スペック高ェよ

なんで俺を選んでくんねェの？

お前が好きなあの漫画だろ？
何度も勧めてきたアレと一緒だろ？

幼馴染み設定は、ラブコメの王道なんじゃねェの…？

家が隣でさえなけりゃ

もっともっと遅く会えりゃ

君のことを知らないで

君のことを分からないで

これから知っていけたら良いね

とか。

爽やかボイスで笑えたら

君は俺を"そう"見てくれたか？

間違っても聞かなくてすんだか？

『ズル言ってごめん　ずっと友達でいたい』

とかよ。