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大河ドラマ「麒麟がくる」に正直期待しかしていない理由


やっとくる。麒麟が。

私は大河ドラマオタク(ちなみに朝ドラも)を自負している。「麒麟がくる」も、制作が確定してからこっち、ずっと楽しみにしていた。

大河ドラマはほとんど見ているが、私は特に日の当たらなかった人たちの物語が好きで、武田信玄ではなくその軍師に光を当てた「風林火山」や、戊辰戦争の敗軍の物語を描いた「八重の桜」、直近の誰も知らないオリンピックの物語「いだてん」は、唸るほど好きだった。(でも、ここに書ききれないくらい他にも好きなものがたくさんあるのだけど)

そんな私がやっとくる「麒麟」に期待している理由をまとめてみた。


日本史で最も有名な「敵役」を主人公にした物語

明智光秀といえば、日本史でとにかく最初に覚える敵役ではないだろうか。
昔塾講師をしていた時、小中学生に歴史上の好きな人物と嫌いな人物を聞いてみたら、8割以上が好きなのは信長で嫌いなのは光秀だった。それほどこの2人の本能寺の変は有名で、わかりやすい。大河ドラマで織田信長が登場した回数は数えきれなくて、実は明智光秀もその数だけ登場してるはずなのだが、これまで光秀を主人公にした作品はなかった。

その光秀がついに大河の主役になる。日本人で名前を知らない人はいないのでは、というほどの敵役なのに、実は生まれ年すらも諸説あるという。どの国でもそうなのだと思うが、敗者、敵役の歴史は語られない。その光秀をどこで生まれて、どのような背景から、どのような意志で本能寺の変に向かうのか、見どころだと思う。高視聴率を叩き出すからといって、単純明快な勧善懲悪の物語にはして欲しくない。これまでのヒーロー信長も、これまでの悪役光秀も、どちらが敵役になるなんてことなく、1人の人間として描いて欲しい。


染谷将太の演じる信長

今回の配役で私が最も興味を持ったのが染谷将太の演じる信長である。これまで信長といえばカリスマ性の塊で覇王感の強いキャラクターが多く、そういうイメージの強い役者が当てられてきた。私がすぐに思い出せるのも、反町隆史、吉川晃司、江口洋介、渡辺謙、と...もう言わずもがなである。しかし、染谷将太は(失礼かもしれないが)カリスマ性や覇王感のイメージはない。一方でアーティスティックで天才肌な役が多く、狂気じみた演技ができて、しかもまだ20代なのに10代の頃から年齢不詳の雰囲気を醸し出す、変幻自在の若手演技派役者である。今回のドラマでの、いつもの悲劇のヒーローではない、本当に若い頃からの信長をどう表現するのか、楽しみで仕方ない。


彼女のこれまでの功績が消されるべきではない

最後に。年末にかけ、いろいろあって開始が2週間遅れた。
毎年年末は必ず翌年の大河ドラマのガイドブックを買うのだが、この発売も差し替えやなんやで発売されたのは年が明けてからだった。
放送前から全て差し替えられた沢尻エリカの痕跡。悲しいかな、彼女が参加する予定だった痕跡は記録から綺麗に消され、一切残っていない。(この作品については仕方がないこともあるので制作の方を責めてるわけじゃありません。)
でも、なんだか歴史の敗者や敵役たちみたいだなと思ってしまう私がいる。こうして一時的な都合によって消されることで、1940年にあるはずだった東京五輪や明智光秀の生まれ年のように、そのうち忘れ去られていつか掘り起こされるまでその事実は埋もれたままになるだろう。

私は沢尻エリカという女優が好きだし、彼女の濃姫も撮られている部分だけでもいいから見たかった。だからせめて、これまでのすでに公開されている彼女の作品だけでも、今後も触れたい人が触れられる状態であり続けることを願っているし、彼女のこれまでの功績が今回のことによって後世に伏せられるべきではないと思う。それは、ピエール瀧さんやその他犯罪がらみで伏せられた役者についても同じように思っている。電波に乗せなくてもいいので触れたい人が触れられるようにしておいて欲しい。

さて、そうは言ったものの、代役に大抜擢された川口春奈帰蝶も彼女の対応能力とガッツに期待しかしていない。時代劇の経験がない中、スケジュールに評判にと、逆風ばかりにも関わらず、引き受けた彼女の気概と気高さは帰蝶に匹敵するものがあると思う。早く彼女の帰蝶に会いたい。


さあ、今夜。遅ればせながら大河ドラマが始まる。やっと2020年が始まる気がする。

※Photo by  ”bigmouth” from PhotoAC


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