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チャリ通

 太陽が眩しいこの夏の季節になると、高校時代の自転車通学を思い出す。
今はもう“眩しい”どころでは無く、地球丸ごとサウナになってしまいそうな程だけれども。

 とは言っても、毎日自転車で通っていたわけでは無い。

高2,3の夏、気分を変えるために週に2回程、家から学校の数キロの道のりを往復していた。
これが意外とリフレッシュになる。

そのときの相方として片耳イヤホンでよく聴いていたのが、神聖かまってちゃんの『フロントメモリー』という曲。

個人的夏の定番曲である。

 この曲は2014年にリリースされたもので、2018年には映画『恋は雨上がりのように』の主題歌にも起用され、歌手の鈴木瑛美子さんがカバーしたことで話題になった作品。

夏のクソ暑い陽射しの中、日焼け止めも塗っていたかどうか定かでは無い高校時代の私はこの曲をBGMにしてチャリ通をしていた。

 フロントメモリーは、個人的な意見であるが特に歌詞やフレーズが刺さるというわけでもなく、メロディーもアップテンポで爽やかな印象だが1度聴いただけで覚えられるほどキャッチーとも言えない。

なのになぜ夏の曲といえば、なのか。

それは、夏に溶け込んでいるからだ。

 海、祭り、合宿、花火やスイカなどといった夏の風物詩のように、この曲は「夏」の時期にふと触れたくなる。

“風物詩”は、季節によって移り変わるもので、1年を通して触れるというものでは無い。
その絶妙なバランスがこの曲にはある。

 歌詞のフレーズをいくつか紹介すると、

急にアイスが食べたい真夏日
外はテカテカしてまぢあっちーし
僕はこの恐怖症みたいなやつを時々感じちゃうから

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 序盤のこのフレーズは、暑すぎる夏の気怠さのような感情を的確に言語化されていて、頷きが止まらなかった。
まさに学生が会話してそうな雰囲気も感じられる。

ガンバレないよ ガンバレないよ
Yo, そんなんじゃいけないよ

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 “真夏日”の感想って本当にこれに尽きる。
暑い気温の中で似たような日々を繰り返す「ガンバレなさ」に葛藤するけれども、別に立ち上がれないことも無くて毎日歩けてしまう。
周囲には余裕を持てているように見えているらしいけれどもそういうことでも無い。
ただぼーっとしてるだけ、という自分のスタンスに少し共通した部分を感じた。

 上記以外にも、歌詞に“8月”、“夏”、“扇風機”、“カエル”、“田んぼ”などの季節を感じさせる言葉がストレートに使われているため、シンプルな“夏感”を感じさせるのだろう。
また、颯爽としたメロディーが夏の空や海のような開放感を感じさせてくれる。
意味の無いこと、というものもまた心を広くするために必要なのかもしれない。

次の休みは久々にこの曲を聴きながらサイクリングしよっかな〜。


あ、

イヤホンが無かった。(だいぶ前に失くした)

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