うみ

プールのイルカ

競泳用の水着はイルカのような色をしている。プールに入って、水かきをする直前に水面を下からながめる。さかさまに水の波紋がずうっと広がる。

そこをつき破って、水面から顔をあげて息をすって、また水中にもぐる。水がひたひたに詰まった世界をかきわけて進む。水深、推進。

水面の光を見る。

光をめがけて飛び出し、息を吸い、またもぐる。両手いっぱいに水を抱えようとして、それを後ろに放り投げて、その勢いで前へ。水の流れの隙間をかきわけて前へ。

いつのまにか、反対側の25メートル先に移動した、イルカ色の私がいる。

ぱしゃぱしゃと尾ひれは水面をたたき、プールの空のない天井に響く。

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