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バルセロナの新しいクルーズ規制がクルーズ船を都心から遠ざける

case | 事例

  • バルセロナはオーバーツーリズムを抑制する取り組みの一環として、市内中心部にある2つのターミナルのうち1つのクルーズ船の停泊を禁止した。10月から年間約340隻のクルーズ船とフェリーが、ワールドトレードセンターの北ターミナルから、バルセロナ中心部から最も遠いアドサット埠頭へ寄港するようになる。同じく世界貿易センターにある南ターミナルは、2026年末までに閉鎖される。

  • バルセロナ港の会長は、同ターミナルの閉鎖は、2018年の市議会との合意で示されたクルーズ観光の「負の外部性の排除」につながるもので、この移転により、都市住民のために13,600平方メートル以上の公共スペースが創出されるという。

  • パンデミックを受け、バルセロナがより持続可能な観光に取り組む中、クルーズ船が規制の主要な対象となっている。前バルセロナ市長はクルーズ客の「ほとんどが数時間しか滞在せず、繁華街に集中している。彼らは崩壊感を生み出している」と評価していた。

insight | 知見

  • コロナ前のクルーズ船観光ブーム時に、世界の先進的と言われていたクルーズターミナルを調査したことがありますが、バルセロナのクルーズ港は、大手船社が個別に建設・運営するターミナルが複数あったり、地場のターミナル運営企業をグローバル最大手が買収したりするなど、クルーズ業界のダイナミックな動きが見られました。記事にある、都心に近いクルーズターミナルのアドサットふ頭側への移転・集約は、コロナ前の当時から計画されていましたが、都心に近い港湾地域は市民のためにより多くの空間が開放され、都心港湾地区を文化および教育活動地域に転換する方向にあります。

  • 日本でのクルーズ船観光・クルーズターミナル整備の勢いはコロナ禍を経てトーンダウンしていますが、今後の計画においても海外のオーバーツーリズムによる揺り戻しは参考になると思います。