英サンダーランド市のデジタルデバイド解消に向けた取り組み
case|事例
サンダーランド市は、デジタルデバイドを解消し社会包摂を進めるため、Wi-Fiやデジタルデバイスへのフリーアクセスを提供するコミュニティ拠点「デジタルヘルスハブ」の設置を進める。デジタルヘルスハブは、超ローカルなアプローチを採用し、デジタルアクセスが弱いコミュニティやデジタル疎外の影響を受けやすいコミュニティへ、基本的かつ初歩的なデジタルサービスを提供することで、市民がくまなくICT技術を取得できるよう支援を行う。デジタルヘルスラボでは、デジタルサポートをパッケージ化し、必要なスキルやデバイスの提供、相談相手の提供、インターネットを安全に利用することのメリットを含むIT教育の提供などを行う。
最近の調査で、サンダーランド市民の3人に1人がインターネットを利用したことがない、または基本的なデジタルリテラシーが欠如している状況であることが指摘されており、スマートシティやDXを進めるうえで、デジタルデバイドが深刻な課題となっている。
今回の取り組みは、ホストプロバイダーの「ボルディンネットワーク社」、英国eスポーツ協会、22のコミュニティパートナーと協力して進められる。また英国政府から英国繁栄共有基金(UK Shared Prosperity Fund)を通じて58万ポンド(約1.1億円)の投資を受けている。サンダーランドのスマートシティの責任者は「スマートシティの最初期からコミュニティと協力して、誰ひとり取り残さない未来を描いてきており、年齢や社会的状況によらずすべての市民がデジタルのメリットと機会を享受できるようにしたい。」とコメントしている。
insight|知見
以前、トロントへ視察に出掛けた際に、コミュニティごとにある公共図書館がデジタル教育の拠点となっていることを知り、驚いたことを思い出しました。
サンダーランドも同様ですが、単にデジタル化で手続きなどを効率化するのではなく、社会政策としてもデジタルに取り組んでいることが素晴らしいと思います。
日本では、UXやUIの観点でデジタルは良く議論されますが、市民のリテラシー向上についても議論がもっとあっていいように思います。