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ダブリン都心部への自動車流入抑制計画

case|事例

ダブリン市議会は、都心部への自動車の流入を抑制するための「Dublin City Centre Transport Plan」を承認し、2024年8月から施行することを決定した。

Dublin City Centre Transport Planは、都心に流入する通過交通を迂回させることで交通量を削減し、道路空間の再配分によって歩行者や自転車、公共交通の空間を増やすことを目的にしている。都心部へ用のある自動車のアクセスは今後も許容される。現状、ダブリン都心部に流入する自動車の60%は通過交通であるため、都心部の経済や賑わいへの影響は極めて小さいと市は考えている。

計画案の策定にあたっては、3,592件のパブリックコメントが寄せられ、寄せられた意
見の8割は自動車流入の抑制に対して好意的なものだった。一方で、効率的かつ持続可能な集荷・配達の方法が明記されておらず、都心の経済や生活を支えている物流への配慮が必要だという指摘や、都心のビジネスへの影響は施策が具体化されなければ判断できないため都心の事業者とは継続的な対話が必要だという指摘など、方針は支持しつつも今後実施される施策への懸念が寄せられている。

Dublin City Centre Transport Planは、200kmの自転車道や230kmのバス専用レーンを整備し、バスサービスの抜本的な改善を目指すBus Connectsをはじめとする全市的な交通政策とも連動している。

insight|知見

  • 具体的な施策では課題を残すようですが、大胆な方針転換ですね。ダブリンもウォーカブルな街へと着々と歩みを進めているようです。Dublin City Centre Transport Planでは、タクシーや公共交通、歩行者など各交通手段の施策方針も記載されていますが、社会的な平等を確保するための都心のあり方や、居住者や観光客、ビジネスに対しての都心のあり方も法しhんが示されていて面白いなと思いました。

  • 福岡市も都市交通基本計画の改訂を進めています。全市的な交通の議論だと担い手不足などが議論の中心になりがちだとおもいますが、都心をウォーカブルにするような方針についても議論を尽くしてほしいです。また、再開発で福岡都心部はオフィスワーカーが増えることが見込まれています。買い物や観光、ビジネスなど都心で行われる様々な活動を支える移動という観点でもいろいろな議論が出来そうです。