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バルセロナは観光客が多い市街地に新しい管理モデルを導入

case | 事例

バルセロナ市は、市内の16の高流入エリア(EGA)を定義し、今夏からこれらのエリアでは33項目に及ぶ対策が適用される。これらの対策は、観光活動によって特定の時期に生み出されるマイナス面を最小限に抑えると同時に、観光がバルセロナ市の成功体験であり続け、観光によって収益と都市のダイナミズムが提供され続けることを目的に導入するものである。特定された16地区のうち半数は、観光客に人気のある場所で、 グエル公園、サグラダ・ファミリア、ボケリア・ガルドゥニャ、グラシア通り・カタルーニャ広場、ゴティック地区、ランブラス通りなどが指定されている。

主な管理対策には、EGA専門調整事務所の設置、EGAデータオフィスの設置、地域商業の支援プログラム、路上販売に関する取り締まり強化、清掃・警備活動の強化、メディアキャンペーンなどがある。EGA専門調整事務所は、市営企業と市の観光局が共同で創設し年間活動予算を充てるもので、諸活動の着実な実行を担保する役割を担う。EGAデータオフィスは各エリアの環境の影響を分析する役割を担う。これらのEGAの対策を開発するために、観光施設での滞在に対する税金(IEET)から年間100万ユーロ拠出されると見積もられている。

優先EGAであるサグラダ・ファミリア周辺では、地下鉄へのアクセス改善のためのプロジェクトが開始されているなど、取り組みはスタートしている。観光客に対して、バルセロナのまちに対する責任と敬意を持つ重要性を認識してもらうためのメディア・キャンペーンも開始されている

insight | 知見

  • これまでもバルセロナのオーバーツーリズムに関する記事は様々ありましたが、オーバーツーリズムへの対処方策が最も先に整う都市は、オーバーツーリズムが深刻な都市なのだろうなと記事を読んで感じました。

  • 日本国内でも観光客によるマイナス面の影響が顕著な都市がありますが、バルセロナで取り組んでいるような、観光客流入をコントロールすると同時に、税収の活用などで制度的に観光地としての快適性を担保することや、観光客への都市に対する敬意を啓発することは参考になりますね。