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イタリア運輸相、市街地の速度制限引き下げを牽制

case | 事例

イタリアのマッテオ・サルビーニ運輸大臣は、今月ボローニャ市が市街地の最高速度を30km/hに引き下げたことを受け、他都市の地方議会に対し、時速制限をボローニャに併せて一律に引き下げないよう牽制した。(ボローニャ・チッタ30:過去の紹介記事はこちら

イタリアのほとんどの都市部の時速制限は50km/hであるが、中道左派の議会が運営するボローニャ市はイタリアの主要都市で初めて制限速度を引き下げた都市となった。一方、サルビーニ運輸相は極右政党同盟党の党首で、ボローニャ市長は時速制限によって労働者や地元企業の生活を複雑にしている、と非難している。他都市がボローニャに追随することを思いとどまらせるべく、運輸相は、制限速度を引き下げることができるのは学校の近くなどの脆弱なエリアのみであるという国の規則を強調する指令を出し、同指令で、ルールに反する場合、運輸省が速度規制を覆すことができると警告している。

ボローニャ市長は、制限速度を50km/hに戻すつもりはないと述べており、制限速度の引き下げはより安全で持続可能な都市にし、高齢者や子どもたちを守るもので、市民の納得を得られるものだと返している。統計では、イタリアはEUで最も自動車保有率が高く、人口1,000人当たりの乗用車保有台数はEU平均の560台に対して684台であることから、イタリア人は道路のルールの変更や制限に敏感に反応するので、政争の具になりやすいと考えられる。

insight | 知見

  • イタリアの地方自治の状況はよく知りませんが、国が直接都市のルール変更まで手を出すことは記事を読む限りなさそうですが、事前に警告するとはなかなか踏み込んでいますよね。そんなことをして票が集まるのでしょうか。

  • 知らなかったのですが、イタリアはアメリカに次いで人口あたりの自動車保有台数が多く世界2位(JAMAのデータ集)で、人口1,000人あたりの自動車保有は日本よりも100台以上多いようです。人口あたりの交通死亡事故も日本より多い(交通安全白書のデータ)ので、制限速度引き下げをやめさせるのであれば、より安全な交通にする考え方がセットで提示されるべきだと思います。