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モントリオール市の、より環境に優しく、より包括的な都市を目指す2050年計画案

case | 事例

モントリオール市のヴァレリー・プランテ市長は、モントリオールの将来ビジョン案(2050土地利用及び交通計画)を発表した。同計画は3つの主要分野から構成されている。持続可能なモビリティネットワークを展開し土地利用を最適化すること、都市の変貌を促す中でアフォーダブル住居を増やし地域の活力を向上させること、モントリオール市民と自然を都市の中心に据えること。

交通ネットワークに関しては、地下鉄の延伸、市内に複数のトラムの新設、通年利用可能な自転車とバスのネットワークを構想している。現在は全長80kmにとどまる公共交通網を360kmに構造化された形で整備し、全移動の70%近くを公共交通機関またはアクティブな交通機関で移動することを目指している。住居や都市環境に関しては、15分都市を目指す他、20万戸の新しい住宅を建設(うち、2割は低所得者向け住宅)し、125kmに及ぶ緑の回廊を整備し、市域の4割を緑地にすることや、「スポンジ・インフラ」を増やすことが計画されている。

計画案に対して野党からは何年も前から計画されているプロジェクトを完成させることをユートピア構想として描いているに過ぎないといった評価や、市の財政以外からの資金がない限り公共交通やアクティブ交通インフラ整備が難しいこと、自転車専用レーンの建設計画が、本来は補完しあうべき交通手段を対立させている、といった批判も上がっている。

insight | 知見

  • 計画のタイムラインのページに計画の解説を含むいくつかの動画がありますが、全部フランス語なので全くわかりません(笑)。ただ、こういったアニメーションを使って都市や交通の計画を伝えるのは分かりやすいと思います。日本のあらゆる自治体で総合計画や都市計画マスタープランが作られていますが、動画などを使ってわかりやすく市民に伝える工夫をしている自治体は皆無ではないでしょうか。

  • 10数年前に2050年を目標にした構想づくりに携わった時は、遠すぎて現実味が全く湧きませんでしたが、今では2050年目標の計画は、実現に向けたステップが具体的に描けそうですね。