日ごろから自転車や徒歩で移動でする人は共通善への関心が高い
case|事例
ドイツのハーゲン通信大学の研究者らは、最近発表した研究論文で、自転車や徒歩で日ごろ移動している人は、共通善への関心が高い傾向にあることを明らかにした。共通善は、社会全体の共通の利益を指し、今回の論文では、「社会への参加」、「組織における社会活動への参加」、「地域との連帯」、「近隣との助けあい」の4つの指標で計測している。
徒歩や自転車での移動を日ごろから行っている人が共通善への関心が高くなる理由として、著者らは、自転車や徒歩での移動は、周辺に人がいる場合が多く、他者との接触機会が高まりやすく、それによって居住環境をより良く理解させ感情的な結びつきを高めるのではないかと考察している。一方で、自動車では対照的に、孤立した空間で移動するため、近隣地域や周辺の人々との交流の機会を失わせ、結果的に個人的な行動を助長させ社会的な相互関係を持つ機会を減らしてしまうと分析されている。
insight|知見
あくまでもこの研究で示されているのは相関関係だとおもうので、自転車の利用を促進すれば共通善の関心が高まるとは必ずしも言えないという点には注意が必要かと思います。
ただ一般に政策への意向などを調査する際には、年齢階層でばらつきが出ないようにサンプルサイズを調整しますが、今回の研究から日ごろの移動手段によって公共投資の考え方などに有意な差があることが示唆されます。単純な年齢階層での分析だけでなく、移動やライフスタイルでの分析で見えてくる傾向もありそうですね。