見出し画像

「サードスペース」の再定義―現代都市のインフォーマルな集いの場

case | 事例

「第3の場所(サード・プレイス)」とは、社会学者レイ・オルデンバーグが著書『グレート・グッド・プレイス』で提唱した造語で、自宅やオフィスとは別に、社交の場や公共の憩いの場を指す。一般的なサードプレイスの定義では、喫茶店、図書館、公民館、書店、ジム、劇場など、人々が社交的に交流する場所を指すことが多い。ただ、一昔前までは、美術館は美術品を鑑賞するためだけの場所、図書館は本を読んだり借りたりするための場所、オフィスは仕事をするための場所だったのが、現在は場所とその目的の境界は曖昧になっているため、建築家、都市計画家、デベロッパーはこれに注目し、意図的に思いがけない場所に「第3のスペース(サードスペース)」をデザインしている

ニューヨークの非営利団体Project for Public Space(PPS)のプロジェクトディレクターに」よると、図書館で人々がアートやクラフトのプロジェクトに取り組んだり、授業を受けたり、講義を聞いたり、パフォーマンスを見たりできる「メーカー・スペース」が追加されたり、図書館にレンタル・カヤックサービスが追加されたり、ホームセンターで使う道具を借りたりできる道具図書館もできている。このような多目的な用途のために建物を設計することで、典型的な社会構造を超えた形で、人々がインフォーマルに集まるようになるとされている。書店を兼ねたコーヒーショップ、ヨガスタジオ、コインランドリーなど、クリエイティブなコンセプトや多目的の場が増えている。

新しいビルでは、オフィススペースの3~4割が選択的な仕事空間になっている傾向も見られる。一定床面積以上の広めのオフィスでは、テナントが共有のサードスペース(ギャザリングラウンジ、パントリー付きのランチラウンジ、会議室、小規模なワークスペースなど)を最初から望んでいたりもする。オフィスビルのリノベーションで新たにテナントやゲスト用のワインバーを設置したり、ロビーがテナント専用のカフェになる事例も見られる。複合施設のデベロッパーも、ロビーから直接出入りできるカフェや小売店を作るアイデアも取り入れてきている。他にもオフィスや工房と住居を組み合わせた開発に多用途の公共空間を設置する事例も見られる。

insight | 知見

  • 原文記事はサードプレイスとサードスペースが入り交じって難解でしたが、結局はタイトルのような明確な再定義をしているわけではありませんでした。決まった場所を自身のサードプレイスにしていた流れから、開発側がサードプレイスとなるサードスペースを多用途複合的に作ることが潮流になっている、という話だと思います(わかりにくい)。結論はサードプレイスはとても重要。

  • 色んな公共空間で人々が交わることはイノベーションのプロセスとも言われているので、新しい価値がそこで生まれるのは良いことだと思いますが、至るところで仕事ができてしまうのは大変な時代になったなと思いますね。