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IBMは気候変動に適応した強靭な都市づくりに関する公募を開始

case | 事例

IBM サステナビリティ・アクセラレーター(IBM Sustainability Accelerator)は、IBM watsonxのプラットフォームやAIアシスタントを含むIBMの技術を応用し、世界中の環境の脅威への対応を支援するプログラムで、毎年新しい持続可能な社会に向けた公募テーマが発表される。今般の新しい公募は、国連の持続可能な開発目標11「都市を安全で強靭かつ持続可能なものにする」をテーマにしたもので、政府機関や非営利団体からの提案を求めている。IBMは社会的インパクト・プログラムへの投資を50%増やし、今後5年間で最大4,500万ドルの現金及びテクノロジーとサービスの現物寄付を行うことも発表した。また、今年は、アーンスト・アンド・ヤング(EY)との新たな戦略的協力関係によって、選考プロセスにおけるサポート、組織開発コーチング、プログラム参加者へのリーダーシップ開発や専門家メンタリングなど能力開発ワークショップがEYから提供される予定。

国連ハビタットは、今後30年間で世界の都市化が進み、都市部に住む人の割合は2021年の56%から2050年には68%に増加すると予測している。世界中の都市で気候変動リスクへの対処や環境正義などの優先課題に取り組んでいる中、気候変動による世界への不均衡なインパクトは、持続可能な都市開発や都市計画を困難にする可能性がある。今般の公募の評価・選考基準では、特に都市環境の脅威に対して脆弱なコミュニティに対する支援レベル、気候変動緩和のための技術ソリューション案の実現可能性と持続可能性、モニタリングと報告に関する申請者の透明性などが考慮されるとのこと。公募期間は2024年3月6日から2024年4月30日まで。年内に選考結果が発表される予定。

2022年に開始されたIBM Sustainability Acceleratorは、世界中の脆弱なコミュニティに影響を与える環境上の脅威に対処する社会的インパクト・プログラムで、毎年新しいサステナビリティのトピック分野でテクノロジーとAIのソリューションを拡大するプロジェクトを5つほど選んでいる。これまでに持続可能な農業、クリーン・エネルギー、水資源管理に焦点を当てた世界15のプロジェクトを支援してきた。

insight | 知見

  • 公募は政府機関と非営利組織が対象になるようですが、日本の自治体からの応募は過去にあったのか気になります。プログラムのサイトでは、NASAがAIによる衛星画像分析で地球の状態を把握したり、メルボルンの上下水道公社がIoTを使って洪水対策をしたり、アトランタ市が市の資産管理をシステマチックに行うようにしたりした事例が紹介されていますが、特に発展途上国都市を対象にしたプログラムではなさそうです。

  • 近年九州では毎年のように豪雨災害が発生していますが、山間部に洪水や土砂災害に脆弱な集落が分布している一方で、コンクリートに覆われている都市部でも地下への浸水や内水氾濫が起こったりします。災害後の復旧・復興対応だけでなく、ICT技術で事前に災害に対応できるようなアイデアが実証されると役に立つのではないでしょうか。