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英バースで排出量ベースの駐車料金体系の導入が決定

case|事例

バース&イーストサマセット議会は、大気汚染の改善を目的として、議会が所有する公共駐車場を対象に9月8日から排出量ベースの料金体系へ変更することを決定した。新たな料金体系は、すべての自動車が平等に値上げされるわけではなく、都心への排出性能の悪い自動車の流入を抑制するために、排出量が大きい自動車ほど高い駐車料金が設定される。またCO2排出量が131g/kmに満たない環境性能の高い非ディーゼル自動車は値上げの対象外となる。

この排出量ベースの駐車料金体系は、排出量の大きい自動車への課金額を大きくすることで、より環境に優しい移動手段への転換を期待している。特に、バスへの乗り換え利用者に対してはP&R駐車場を無料にするなど、公共交通や徒歩・自転車の利用促進も併せて進める

今回の新たな料金体系の導入には、市民からの意見が大きな後押しとなっている。市民との公開協議の場で1,692件もの意見が寄せられたが、その半数以上は大気汚染への懸念を示しており、議会に対し実質的な大気汚染改善の施策を求めていた。英国内では大気汚染が原因と考えられる死者数が年間36,000人にものぼっており、より健康的な市民生活を実現するためにも大気汚染の改善が不可欠と考えられている

insight|事例

  • 外部不経済の大きさから言えば、環境負荷の高い自動車の駐車料金を高くすることは理屈にかなった手段だと言えますが、仮に所得水準の低い層が高環境性能車に買い替えれてないのだとすれば、負担の不公平さが問題になりそうな気がします。たぶん買い替えへの補助金やP&Rの無料化などでより公平になるように考えられていると思いますが。

  • 日本で排出量ベースの駐車料金体系を導入することを考えると、現状ではほとんどが民間駐車場なので、民間事業者に経営的なメリットがないし、仮に導入への合意ができても価格カルテルなどの障壁がありそうで、なかなか難しそうです。

  • 英国で公共政策として駐車料金の設定が可能になるのは、公共駐車場の割合が日本よりも高いからではないかと思います(調べたけど数字が見つからなかった)が、日本で公共政策としてどのような駐車政策が考えられるのかというのはもう少し考えてみたいなと思いました。