シアトル市の増税案に対して市民グループが持続可能な交通と住宅への投資を要求
case | 事例
シアトル市は、同市史上最高額の8年間で13億5000万ドルに及ぶ、戸建住宅所有者への固定資産税増税案を提案している。「交通賦課金案(Transportation Levy Proposal)」と題されたこの法案では、税収を幹線道路の改善と舗装、特定橋梁の補修、歩道の整備と補修、自転車専用レーンの拡充、新規交通信号の設置に充てることとしている。これに対し、市民団体は税収の用途として、徒歩や自転車での移動も含め、公共交通機関の利用機会の拡大と、住宅への投資を拡大するようデモで求めた。市民団体は市の法案は、歩行者、自転車利用者、障害者など移動弱者を犠牲にして、自動車中心の交通に焦点を当てていると非難している。
デモ参加者たちは、交通賦課金収入の少なくとも50%を、歩行者、自転車利用者、交通機関利用者のためになる改善に充てるよう求め、このような追加改良のための新たな財源を検討する必要があると考えている。住宅面では、公共交通機関から徒歩圏内に建設される4階建てから8階建ての中層住宅の増加と、市内のすべての住宅地における住宅密度の向上を望んでいる。幹線道路沿いだけでなく、戸建住宅を保有できない市民も、木々や歩行空間、公園がある地域に住む資格があるとしている。
シアトル市は計画案を市の気候変動目標と結びつけていることから、今回アースデイ(4月22日)の集会でデモが行われ、市がよりウォーカブルでアフォーダブルなコミュニティを作るためのより良い戦略が求められた。法案は現在パブリックコメントを受け付けており、5月上旬に市議会にかけられ、今年後半に採択される予定。
insight | 知見
この交通賦課金法案に関する詳細記事を読むと、この法案は2015年に承認された「ムーブ・シアトル賦課金」が期限切れとなるための代わりの法案であって、ムーブ・シアトル賦課金の目的は市民間の格差を埋めるために制定されたもののようです。
戸建住宅を保有するような階層からの税収を引き上げ、それを道路や橋梁インフラの改善に充てようとしている現法案に対し、恐らく納税側ではない市民団体が道路インフラではなく歩行空間・公共交通や集合住宅に充てよ、という要求を提示している、という記事になります。
増税そのものへの反対ではなく、税収の用途に反対していることが興味深かったので記事を読み進めてみたのですが、このような文脈がありました。増税される側はどのように思っているのか気になりますね。