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ルール違反に伴いローマ市はマイクロモビリティサービスを一時的に停止

case|事例

ローマ市は、市内でマイクロモビリティのシェアリングサービスを手掛けるLime社とDott社が車両配備のガイドラインに違反したとして、市内のサービスを一時的に停止した。Lime社は電動キックボードと電動自転車の、Dott社は電動自転車のシェアリングサービスをそれぞれ提供していた。

ガイドラインはサービスの入札時に定められており、車両を郊外を含む市内全域に配備することを要求すると共に、車両配備台数の密度基準などがルールとして定められている。ローマ市は、各社の車両に装備された位置情報システムで、随時、基準を満たしているかモニタリングを行っている。

サービスの停止期間は7日間で、車両の撤去は求められていないが、それぞれレンタルを完全に停止する必要がある。今回の一時的なサービスの停止措置によって、Lime社の電動キックボードは6月1日~7日、電動自転車は6月8日~14日、Dott社の電動自転車は6月15日~21日の間で利用ができない。また罰金も課されており、Lime社は8万ユーロ(約1,350万円)、Dott社は1.5万ユーロ(約250万円)を支払う必要がある。次回、ルール違反によってサービス停止処分が課される場合は、停止期間が30日となり、車両の撤去も必要となる。

Lime社は、今回の停止処分にあたって、ローマ市の決定に従うことを声明で発表しているが、2020年のサービス導入以来、自動車の代替や公共交通の補完としてサービスが普及しているため、日常的な移動に支障をきたすことを懸念している。一方、Dott社は、今回の決定を受け入れているものの、電動キックボードと電動自転車の利用特性の違いを考慮したルール整備が必要だと見解を述べている。Dott社によると電動自転車の郊外での利用は、30%以上が2日に1回以下で、物流コストや車両の必要配備台数を考慮すると事業成立が難しく、利用率が高く事業の成立可能性が高い電動キックボードとは状況が異なる。

insight|知見

  • 地域のインフラとしてマイクロモビリティのサービスを考えるのであれば、ローマのように配備台数などの必要なサービス水準が定められていることが望ましいと思います。

  • 必要なサービス水準が定められていれば、中長期の都市計画や都市交通計画は実行性を確保できますし、サービス水準の見直しも計画に基づいて行えるように思います。交通サービスを都市の装置として位置付けるのであれば、仕様やサービス水準は定めてしかるべきな気がします。

  • もちろん単に密度高く配備すればいいというわけではなく、公共空間の秩序や空間配分の考え方も併せて設定される必要もあると思います。