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バンクーバーの高速公共交通の利用が北米でトップクラスの水準で回復

case|事例

Urban Instituteの最新のレポートで、バンクーバー都市圏の高速公共交通(rapid-transit)の利用者のパンデミックからの回復が北米の都市でトップクラスの水準にあることが明らかとなった。Urban Instituteはアメリカ公共交通協会のデータを用いて、高速公共交通が整備されている17都市の2023年と2019年の第1四半期の利用者数を比較している。バンクーバーはパンデミック前の80%程度まで回復しており17都市の中でトップ、次いで75%程度のニューヨーク、70%程度のモントリオールとマイアミが続いている。一方でボルティモアの利用回復がが最低でわずか20%程度にとどまっている。

バンクーバー都市圏の公共交通を運営するTrans Linkの副社長は、利用回復が好調な理由として、パンデミック中も雇用を守りサービスレベルを守り続けてきたことやバンクーバー都市圏で人口増加が続いていることなどを挙げている。また、オフィスの空室率もパンデミック以降、上昇しているが、サンフランシスコなどの都市ほど深刻化していないことも影響していると考えられる。

insight|知見

  • パンデミックなどで減少した公共交通利用を速やかに回復させるためにはサービスレベルを維持することが重要なようです。これは利用したくなるような魅力的なサービスを維持しておくということを意味すると思います。

  • 利用者が減少する中でサービスレベルを維持するためには雇用の維持が必要となりますが、それは長期的に社会インフラを維持するための投資とも考えられます。一方で、サービスレベルや雇用を維持するためには財源の議論も欠かせません。

  • 日本の公共交通の多くは民営事業なので、欧米とは経営形態が異なりますが、公的な補助が単なる赤字補填で終わるのか社会的な投資になるのかということを、官民の役割分担や財源なの確保などと一緒に考えてみたいですね。