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世界の都市・地域の最新事例を紹介するマガジンです(平日毎日更新)。 「case」では海外記事を抄訳して海外の都市計画関連の最新事例を紹介しています。「insight」では海外の最…
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#ウォーカブル

ロンドン市長がオックスフォードストリートの歩行者専用化計画を発表

case|事例 ロンドンのサディク・カーン市長がオックスフォードストリートの歩行者専用化の計画の提案を行った。ロンドンの目抜き通りを世界で有数の商業の目的地とすることを目的としている。オックスフォードストリートは、オンラインショッピングの台頭や主要デパートの閉店、長引くCOVID-19の影響などから沿道の商業が苦境に立たされており再生の必要性を市長も訴えている。 オックスフォードストリートの苦境は、APPLEなどが立地するリージェントストリートとの比較でより浮き彫りになる

フィラデルフィアのオープン・ストリート ― 都市の移動手段の再考

case | 事例 フィラデルフィアは欧州やアジアでの取り組みを参考に、中心市街地を歩行者にとってより快適に過ごせる「オープン・ストリート:ウェスト・ウォルナット」プログラムを9月に実施する。このプログラムでは9月の日曜日の午前8時から午後6時まで中心市街地の一部を車両通行止めにして、道路を歩行者天国に変え、ショッピングや食事、あらゆる年齢層向けのアクティビティに適したスペースとして提供する。住民や観光客が車の往来の喧騒から解放されて、そのエリアを楽しむことができるようにな

歩行者専用ゾーンを導入して変革を目指す都市

case | 事例 シカゴ市は歩行者専用ゾーンを増やす計画の実施に先立って、歩行者と自転車の利用状況に関するデータを収集するために、市街地の一部での週末の自動車乗り入れ禁止の実験を今年の年初から実施している。シカゴ市長は、環境の持続可能性を推進し、地域のビジネスを活性化させるという利点を強調し、都市空間を地域コミュニティにより良く役立つように変革させる必要性を訴えている。また、アイルランドのダブリン市は、ダブリン市都心交通計画により、バス、自転車、歩行者を優先し、特にピーク

ロンドンは新たに30ヶ所以上のLTNの導入を予定

case|事例 ロンドン市交通局(Transport for London:TfL)は交通静穏化のための財源を獲得し、ロンドン市内に新たに30ヶ所以上のLTN(Low Traffic Neighborhood)を導入する予定であることを明らかにした。 LTNは、パでミック初期に公共交通の密な移動環境を避けることを促し、徒歩や自転車での移動をより安全で魅力的にすることを目的に整備され始め、すでに市内の120ヶ所に導入されている。しかし、LTN内から通過交通を排除するために導

安全性に配慮した道路デザインは沿道の経済活動を阻害しない

case|事例 ワシントン大学によるシアトルを対象にした研究で、安全性に配慮したデザインを施された道路は、沿道の売上を減少させるというよりもむしろ売り上げを増加させる可能性が高いことを示している。研究では、車線を減らし歩道を拡幅した道路、自転車レーンが整備された道路、ボンエルフへ再整備された道路などの7路線を対象に実証的に分析を行っている。結果として、少なくとも整備後7年間、安全性に配慮したデザインが施された道路では、近隣の道路沿道と比較して、課税対象売上高が5%増加したこ

オリンピックに向け大気汚染を40%削減したパリのシンプルなトリック

case|事例 2024年夏のオリンピックの開催に向け、パリ市は着実に都市の改造を進め、大気汚染を40%削減した。その方法は実にシンプルで、自動車を都市から追い出すとともに代替の移動手段を整備し自動車依存を減らしただけだ。ではいったいどのようにして自動車依存を減らしたのか?それは大きく3つの取り組みに集約される。 1つめは、自動車の通行の禁止で、都心部の多くで実施された。これは世界のいくつもの都市と共通したアプローチで、自動車の通行を禁止し、歩行者専用の道路を創出すること

釜山市の15分都市形成に向けた取り組み

case | 記事 韓国釜山市は、2010年にスマートシティのコンセプトが誕生したときからスマートシティの形成に取り組んできていたが、2021年の市長選挙でパク・ヒョンジュン候補(後の新市長)は、「幸せな近さ」というアプローチで15分都市をつくることを選挙公約に、釜山市における住民サービスの近接性を大幅に改善することを訴えた。その後の市政では、日常生活に不可欠なアメニティを、全ての市民が簡単にアクセスできる範囲に都市空間に充実させる計画を策定し、単にスマートシティ技術を導入

公共交通の成功における歩きやすさの重要性を示す政策レポート

case | 事例 歩く権利の確保を目的とする国際NPO「ウォーク21(Walk21)」がこのほど発表したポリシー・ブリーフでは、自動車交通量の削減と都市の居住性の向上には、徒歩と公共交通機関の統合が不可欠であることが強調されている。レポートでは、公共交通機関の成功は、歩きやすさに大きく依存していることが示されている。 レポートでは、公共交通機関は乗客が目指す目的地にピンポイントに到達できないため、本質的には歩きやすい都市環境が必要であるという事実を強調している。歩行イン

シアトル市の増税案に対して市民グループが持続可能な交通と住宅への投資を要求

case | 事例 シアトル市は、同市史上最高額の8年間で13億5000万ドルに及ぶ、戸建住宅所有者への固定資産税増税案を提案している。「交通賦課金案(Transportation Levy Proposal)」と題されたこの法案では、税収を幹線道路の改善と舗装、特定橋梁の補修、歩道の整備と補修、自転車専用レーンの拡充、新規交通信号の設置に充てることとしている。これに対し、市民団体は税収の用途として、徒歩や自転車での移動も含め、公共交通機関の利用機会の拡大と、住宅への投資を

住宅の路外駐車場の附置義務を撤廃したピッツバーグは縁石の切込み制限も検討

case|事例 昨年、新築のタウンハウスの路外駐車場の設置義務を撤廃したピッツバーグ市は、縁石の切込みに新たに制限をかけることを検討している。ピッツバーグ市は、歩行者と自動車の錯綜を減らし安全性を高めるために、縁石の切込みに制限をかけ新たなタウンハウスの開発に伴う駐車場アクセスのための私道の整備を減らしたいと考えている。 併せて、火曜に承認されたローカルゾーニング法の改正では、路外に駐車場を設置するタウン開発には駐車場を裏庭に設置するかわき道からアクセスさせることを義務付

チューリッヒは公共交通中心の都市として進化しようとしている

case|事例 スイスのチューリッヒはもともと公共交通が発達した都市として知られているが、チューリッヒ市は、その優れた公共交通に自転車等の交通手段を統合することが必要だと考えている。 2年ごとに実施される調査によると、チューリッヒの市民の公共交通の満足度は高い。一方で、自動車での移動に対する満足度は低く、自転車はさらにそれを下回る。現状、自転車の分担率は10%から12%程度で必ずしも高くない。これは道路の狭さに起因する通行のしにくさや必ずしも安全とは言えない利用環境が原因

市民はカーフリーな環境に住むまでその考えを嫌悪する

case|事例 2016年のロンドンは大気汚染が深刻だった。当時200万人以上が大気汚染レベルの基準値を超える環境で生活しており、500校もの学校がその範囲に含まれ、年間36,000人もの早期死亡が大気汚染によって引き起こされていた。200万人はロンドンの総人口のほぼ25%にあたる。またロンドンの大気汚染の原因の多くは運輸部門にあると指摘されていた。ロンドン市は自動車の利用に制限をかけ、数年かけて状況を劇的に改善し、基準を超えた環境に住む人を94%も減らすことに成功した。こ

エジンバラは20分都市の実現に着実に近づいている

case|事例 エジンバラ市とSustransが、2年に1回、協働で実施している調査で、エジンバラ市民のアクティブトラベルでの移動割合が着実に増えており、20分都市を目指す施策も大半の市民から支持されていていることが明らかとなった。調査はエジンバラ市民1,200人を対象に実施されている。 回答者のうち、週に5回以上、徒歩での移動を行う人が全体の3分の2を占めており、2021年から引き続き高水準を維持している。自転車の年間利用回数は、2021年の2,440万トリップから3,

アクティブトラベルがアイルランドに変革的な影響を与える

case|事例 アイルランドの国家運輸局(NTA)は、アクティブトラベル(徒歩や自転車での移動)の促進がもたらす変革の可能性を探ることを目的に、徒歩・自転車の移動に関する包括的な調査を行った。今回の調査は、前回の調査から対象が拡大され、ダブリンに加えて、コーク、ゴールウェイ、リムリック・シャノン、ウォーターフォードの都市圏に拡大された。調査は、地方自治体と交通系NPOのSustransと協働で実施された。 調査結果は、アクティブトラベルが渋滞緩和や温室効果ガスの削減に効果