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『切に願うことは、必ず遂ぐるなり』社長ヒストリー 第7回

こんにちは。芝園開発株式会社と申します。
駐輪場・駐車場の運営や自治体コンサルティングをしている会社です。
昨年の創立36年目には、代表取締役の交代や新ブランド「LIXTA」の創立といったビッグイベントがありました。
社内はてんやわんやしつつも、前へ前へと進んでいます。
「これから」に向かいつつ、わたしたちの「これまで」にも目を向けよう。
創業からこれまでの歴史を知らない社員と芝園開発のルーツを共有しよぅ。そんな目的を持って始まったのが「社長ヒストリー」。
社内報で7カ月にわたり連載をしていました
noteでは、その内容を一部加筆・修正しつつ、お届けします。

話者プロフィール
海老沼 孝二(えびぬま こうじ)
芝園開発株式会社 取締役会長 ※連載当時は代表取締役社長
座右の銘:「切に願うことは、必ず遂ぐるなり」

行動と結果の見える化

 前回の記事では、会計の見える化についてお話しました。
 当社が次に取り組んだのは、社員一人ひとりの行動結果の見える化です。
 2012年に自社開発した新システムには、「自分たちを正しく見て、間違いのない方向に連れていく舟」という意味を込め、「SHIP(※1)」と命名しました。
 SHIPは実にシンプルなシステムです。Googleマップ上に当社の施設をアイコンで表示し、アイコンが青色ならば施設や車室は正常に稼働しており、赤色に切り替わればなんらかの故障やクレームが発生していることが一目瞭然になりました。
 導入から2年経った2014年2月、アイコンを赤く表示させる条件に「修理未対応の車室がある施設」を追加すると、昨日まで青かったアイコンが一気に200個も赤くなったのです。社員たちはびっくりして、すぐさま修理対応を始めました。一時は赤一色だったマップは、社員たちの行動の結果を示すように青色に戻っていったのです。
 社員たちはSHIPを前にして「これはまごまごしていられないな」と話しているのを小耳にはさみ、私は「それこそがSHIP導入の狙いだよ」と一人うなずきました。
 なぜなら、人の心は易きに流れるからです。これは万人共通です。「壊れた車室が5台溜まってから修理発注すればいいや」と臭いものに蓋をしてしまうのです。ですが、赤いアイコンで全員に対応状況を見える化されていれば、いつまでも放ってはおけません。SHIPシステムのIT技術は、人の心の弱いところをカバーしてくれました。
 さて、会計システムやSHIPの導入によって会社全体の収益性も上がり、資金的な体力もついてきた頃、SHIP導入を主導した取締役の市川が、
「ここまで来たんだから、ITが売り上げを生む攻めのITをやりましょう」と提案してきました。
 私自身はIT技術に詳しくありません。しかし、それを導入した先に生まれる価値はわかります。市川はそうした価値を見る目や、目指すゴールが私とよく似ていました。なにより、IT技術に強い関心を持っています。SHIP開発の時も、ITの展示会へ足を運び、たくさんの事業者とご縁を結んできたのも市川でした。 
 「自転車を便利に使う人々がまちに来て、にぎわいを生み、まちが整備されていく」という共通のビジョンを実現させる攻めのITを作ろう。
 この「社会をとらえる」新たなシステムには「Capture(※2)」の名前が付けられました。

※1 駐輪場・駐車場統合管理システム「SHIP」
※2 総合自転車対策システム「Capture」

不確実に踏み出す勇気=「決断」

 Captureシステムの開発当初、私が徹底して意識したのは「なぜ、自分たちでシステムを作るのか」という点でした。
 総合自転車対策の現場では、私と同世代の従事者さんが働いています。年末の忘年会(※3)でいっしょに話をすれば、その人たちが「自分のまちのために」とがんばっているのがよくわかります。現場を良く知るこの人たちがCaptureを使ってくれれば、現場の視点やITツールになじみのない高齢者だからこそのつまづきを開発に反映できる。より正確に社会の実状をとらえるシステムになると考えました。
 そこでSHIPの開発でも採用した「アジャイル開発」という手法を採用し、Captureの機能が日々更新されていく開発体制をとり、開発を進めてきました。
 今では、市川と思い描いたように、Captureは営業での強力な武器になりました。しかし、最初から「思った通りに行く」と楽観していたわけではありません。サイクルコインパーキングを始めた時もこれほど社会に広がるとは思ってもみませんでした。その当時と同じで、実現したいゴールへ向かうためにCapture開発への大きな投資を決断しました。
 社長の仕事は、決断することです。決定と似ていますが、意味合いはまるで違います。
 「決定」は、条件や選択肢が見えている中でベストな選択をすること。
 「決断」は、少ない判断材料しかなく、社会の動きも定まらない中で将来を見通し、すべきことを決めること。これが二つの違いです。
 これまでに当社が取り組んできたさまざまな見える化によって、自分たちの使える資金や立ち位置、積み上げてきたノウハウが判断材料として使えるようになってきました。
 しかし、社会の動きは不確実で流動的です。足元をすくわれるかもしれません。そんな不確実な中でも一歩踏み出す勇気を持つには、同じゴールを見据える仲間が必要です。
 ゴール、つまり、私たちの目指すところ。
 新・経営理念の策定、中期経営計画、ブランディング活動、システム開発投資は「ゴール」に向けた第一歩なのです。

※3 新型コロナウィルスの流行を鑑み、令和2年度・令和3年度の忘年会は中止としています。
 発行当時、取材先では「海老沼さんは元気ですか。現場で一緒に働いてましたよ」「また忘年会が開催できる日まで、お互い頑張らないとね」という声がLクルー(従事者)から聞かれました。


出典:社内報『きゃぷちゃー』24号_2021年5月号
writting:芝園開発㈱ 管理部 広報デザイングループ

芝園開発のホームページ
https://www.sibazono.co.jp/


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