『切に願うことは、必ず遂ぐるなり。』社長ヒストリー連載 第5回
こんにちは。芝園開発株式会社と申します。
駐輪場・駐車場の運営や自治体コンサルティングをしている会社です。
今年で創立36年目を迎え、代表取締役の交代や新ブランド「LIXTA」の創設といったビッグイベントもあり、社内はてんやわんやしつつも、前へ前へと進んでいます。
「これから」に向かいつつ、わたしたちの「これまで」にも目を向けよう。
創業からこれまでの歴史を知らない社員と芝園開発のルーツを共有しよう。
そんな目的をもって社内報で連載が始まったのが「社長ヒストリー」です。
noteには、その内容を一部加筆・修正しつつ、お届けしていこうとおもいます。
この記事の続きです
期待を超えるための挑戦
私たちが総合自転車対策業務に挑戦を始めて16年が経とうとしています。思えば、新たな事業への挑戦も鉄道事業者との仕事がきっかけでした。
平成15年(2003年)に、当社は東京都・北区とJR東日本都市開発様と一緒に「JR赤羽駅高架下駐輪場」をオープンしました。官民協働の放置自転車対策のモデル事業となった当施設を、当時の江戸川区役所土木部施設管理課の課長と職員の方々が視察にいらっしゃいました。これが、江戸川区とのご縁を結ぶきっかけとなったのです。
視察後の懇談の場で、私は課長に「放置自転車対策の業務を一社が一括で受託できれば、目に見える効果が挙げられます」と伝えました。当時、駐輪場や街頭指導・撤去、保管所の3つの業務はそれぞれ別の事業者が受託している状況でした。その時はそれ以上の話にはならなかったと記憶しています。
平成17年(2005年)、当時江戸川区の多田区長は「江戸川区は放置自転車をゼロにします」という公約を掲げました。それを踏まえて、事業者募集は、駐輪場や街頭指導・撤去、保管所の3つの業務を一括で一社に委託する「総合自転車対策業務」のスタイルで行われました。さらに、事業者の選定方法は入札方式ではなく、プロポーザル方式(事業者の独自提案)に変更されたのです。
私は感銘を受けました。多田区長の宣言はもちろんのこと、自治体が業務発注を価格の競争から価値の競争に切り替えてくれたからです。これは私が兼ねてより願っていた変化でした。
当社は「一之江駅総合自転車対策業務」に応募し、時間貸し駐輪場のノウハウを生かした提案内容が評価され、事業受託者として選定されました。
決まったからには、もう後には引けません。
2月の選定から業務開始の4月まで立ち上げ期間はわずか2か月。駐輪場をシステム化して運営するノウハウには自信を持っていましたが、多くの人手を必要とする放置自転車の街頭指導・撤去活動・保管返還業務は初めての経験です。
初めてとはいえ「成果を出してくれる」と信じていただいた以上、失敗は許されない。
社員2名を本社から一之江に呼び寄せ、一之江の自転車事情を知るシルバー人材センターの会員さんたちの知恵をお借りしながら、私自ら現場で陣頭指揮を執ることにしました。未知の世界への挑戦の始まりです。
成果が官公需事業の道を開く
担当区域の放置自転車を一挙にゼロにすることは、人材的にも予算的にも現実的ではありませんでした。
そこで私は作戦を立てることにしたのです。
まず中心部をキレイにし、きれいなエリアを外側に広げていこう。
その最初の場所を一番放置自転車の多かった一之江駅南口駅前広場周辺に決めました。
今でこそ総合自転車対策システム「Capture」で放置自転車の見える化が可能になりましたが、当時はまだスマートフォンもタブレット端末もありません。
そこで「放置自転車の泥よけにシールを貼る」というアナログな手法で放置自転車の実態調査を行ったのです。10時に停まっていた自転車には黄色、11時には赤色、次は青、緑とシールを貼り付けていき、前の時間帯のシールをつけた自転車が何台停まっているか、従事者が地道に数えていってくれました。
あわせて、4月を啓発強化月間として「放置禁止区域」であることを徹底的に呼びかけ、チラシや看板で駐輪場の利用を勧めました。
そうして駅前に生まれたキレイなスペースを中心にじわじわと外側に向かって街頭指導・撤去活動を広げていったのです。
この作戦が功を奏し、6か月後には駅周辺にあった約600台の放置自転車がほぼ一掃されると同時に、駐輪場の一時利用も大幅に利用率を向上させました。
受託初年度は「何とか業務としての形を作らなければ」「成果を出さなければ」という大きなプレッシャーもありましたが、目的を達成し責任を果たしたことで企業評価が高まり、当社の信頼度が向上したことは、その後の官公需事業の受託に道を開いてくれました。
一之江総合自転車対策業務で編み出した手法は、現在の当社の総合自転車対策業務の原型となっています。アナログなシールは総合自転車対策システム「Capture」へと飛躍的な進化を遂げましたが、業務の肝要はまだまだ社員や従事者のマンパワーです。
本事業でともに汗を流す従事者は、私にとって事業の目的に向かい力を合わせて進む、いわば同志。年末に行われる忘年会(※)には毎年私も参加していますが、苦楽を共にする同志と逢える忘年会は、私にとって感慨深い時間となっています。
※記事掲載前年の2020年12月の忘年会は、新型コロナウィルスの流行を受けて中止となり、1年の感謝のしるしとして従事者にマスクの配布を行いました。
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出典:社内報『きゃぷちゃー』22号_2021年3月号
writting:芝園開発㈱ 管理部 広報デザイングループ
芝園開発のホームページ
https://www.sibazono.co.jp/
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