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『切に願うことは、必ず遂ぐるなり』社長ヒストリー 第6回

こんにちは。芝園開発株式会社と申します。
駐輪場・駐車場の運営や自治体コンサルティングをしている会社です。
昨年の創立36年目には、代表取締役の交代や新ブランド「LIXTA」の創立といったビッグイベントがありました。
社内はてんやわんやしつつも、前へ前へと進んでいます。
「これから」に向かいつつ、わたしたちの「これまで」にも目を向けよう。
創業からこれまでの歴史を知らない社員と芝園開発のルーツを共有しよう。そんな目的を持って始まったのが「社長ヒストリー」。
社内報で7カ月にわたり連載をしていました
noteでは、その内容を一部加筆・修正しつつ、お届けします。

話者プロフィール
海老沼 孝二(えびぬま こうじ)
芝園開発株式会社 取締役会長 ※連載時は、代表取締役社長
座右の銘:「切に願うことは、必ず遂ぐるなり」

社内を分断する壁

 IT化やシステム開発を推し進める中、私は社長という立場で時に大きな決断を迫られます。
 今でも忘れられない失敗は、2006年にはじめて導入した会計システムでした。1750万円もの投資をしたそのシステムは、結局、一度も正しく稼働することなくドブに捨てる羽目になってしまったのです。
 その原因は、営業部と経理部の間にあった「見えない壁」でした。
 2006年当時、会社を取り巻くビジネス環境は荒れに荒れていました。道路交通法の改正で違法駐車の取締りが強化され、駐車場需要に応えるように新規参入企業が増えました。駐車場が供給過多となり、損益分岐点を下回る施設がたくさん出てきてしまいました。
 それまでは全施設が黒字で、高めの損益分岐点を上回っていれば「会社が成長している」とわかりましたが、赤字施設が出てきたことで、会社全体として本当に収支が赤字なのか、黒字なのか、わからなくなってしまったのです。しかも、売り上げ規模は10億円を超えていたため、その管理は一筋縄ではいかないと判断しました。
 そこで私は経理部門を強化しようと考え、経理部長と経理職員2名を迎え入れ、経理部長が導入を主導した会計システムに1750万円の投資をする決断をしたのです。後にドブに捨てる羽目になろうとは思ってもみませんでした。
 経理部門が立ち上がると、徐々に「見えない壁」が現れたのです。システム稼働の障壁となったそれは、営業と経理の間にあった「他人ゴト感」です。
 営業部は「自分たちは現場を作り、稼ぎをつくるのが仕事だ」と責任を持って働いていたものの、どこか売上以外の数字には他人ゴト。経理部も最初のうちは「ほかの数字にも注意を払ってくれ」と言っていましたが、伝わらないと見るや黙り込んでしまったのです。協力体制がなければ収支の情況を正しくつかめません。
 そのうち土地オーナー様にお支払いする地代の振り込み忘れなど、あってはならないミスが経理部側に発生し、営業部のメンバーが土地オーナー様に頭を下げ、「自分たちのミスじゃないのに」とうっぷんを募らせるという悪循環に陥ってしまったのです。
 結局、経理部長は去り、経理職員2名も退社。経理部には使われないままの会計システムだけが取り残されました。

正しくとらえ、正しく処理する

 さて、大ピンチです。会計処理なくして会社は立ち行きません。
 しかし、今が組織を立て直すチャンスだと私は思いました。
 幸いにも私は商学部会計課を卒業していたため「私が経理部長を兼任して、一人で経理事務もするよ」と社員に伝えました。これにはひとつの狙いがありました。
 「ただでさえ忙しくしている社長に経理を丸投げしたら、体調を崩すかもしれない。会社はどうなるんだ。協力しなければ」と思ってほしかったのです。導入した会計システムは一度も使わずにドブに捨て、営業メンバーの協力する意思をうまく受け止めてくれる、やさしい会計システムを採用しました。営業メンバーが自分の経費精算をし、次は請求書の入力をし、と段階を踏んで会計マインドに慣れてもらうことを目的としたシステムでした。
 「正しい数字をとらえ、それを正しく処理する」という会計処理の最低限度のルールが営業メンバーにもたらされました。彼らは一円単位で正しい入力をしなければならなくなり、これまでのように自分たちに都合のよい、見たい数字だけを見ているわけにはいかなくなってきました。
 わたしたちも「お腹周りが90センチを超えたらメタボだ」「血圧が140を超えたらまずい」と理解して初めて食生活や運動を見直します。会社も同じです。正しい数字を見える化することで、初めて体質改善の一手を打つことができるのです。
 部署やグループの隔てなく、一人ひとりが会社の数字を正しく扱う。そのマインドが2019年の「足立区優良申告法人」という足立税務署からの評価にまでつながりました。
 そして、「もっと自分たちの手で見える化を推し進めていこう」と、わたしたちは自社でのシステム開発に舵を切ることにしたのです。 


出典:社内報『きゃぷちゃー』23号_2021年4月号
writting:芝園開発㈱ 管理部 広報デザイングループ
芝園開発のホームページ
https://www.sibazono.co.jp/



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