見出し画像

岐阜、三重、愛知が交わる三県境を訪れて - 歴史と自然の交差点

日本の地理には、特定の場所で複数の県が交わる「県境」が点在しています。その中でも「三県境」は、3つの県が一点で交わる、地図上でも珍しいスポットです。今回私が訪れたのは、岐阜県、三重県、愛知県が交わる三県境。豊かな自然と深い歴史が交錯するこの場所は、訪れる価値が十分にある場所でした。このブログでは、三県境の魅力とその周辺スポットについて詳しくご紹介します。


1. 宝暦治水碑とその歴史

三県境からほど近い場所にある「宝暦治水碑」は、江戸時代中期に行われた大規模な治水事業、いわゆる「宝暦治水」を記念して建てられた碑です。この治水事業は、江戸幕府が主導して木曽三川(木曽川・長良川・揖斐川)の洪水被害を防ぐために行われたもので、特に宝暦4年(1754年)から宝暦5年(1755年)にかけての2年間にわたって行われました。

この治水工事は、濃尾平野における洪水対策のために3つの川を分流させるもので、後に「三川分流治水」とも呼ばれます。しかし、この工事は多くの犠牲を伴うものでした。実際の工事には、幕府から命じられた薩摩藩が御手伝普請として人員と資金を負担しましたが、厳しい作業条件と過酷な労働により、薩摩藩士51名が自害し、33名が病死しました。さらに、工事完了後には薩摩藩総指揮の家老・平田靱負も自害しています。この一連の出来事は「宝暦治水事件」として知られています。

明治時代中期から、これらの薩摩藩士たちは「薩摩義士」として顕彰されるようになり、その後も治水事業における彼らの犠牲が高く評価され続けています。しかし、近年では、宝暦治水の全体像や、藩士たちの自害の経緯について再検討する研究も行われており、歴史的な評価も変化しつつあります。

碑の周囲は、静寂に包まれた環境であり、訪れる人々はこの場所で、過去の出来事に思いを馳せることができます。宝暦治水の歴史と、それに関わった人々の物語を知ることで、この地域の自然景観がさらに深く感じられることでしょう。

2. 三県境の位置と見どころ

岐阜県、三重県、愛知県の三県境は、木曽川、長良川、揖斐川の「木曽三川」が交わる場所に位置しています。この場所は非常にユニークで、三県の境界が川の上にあるため、実際に訪れるには泳ぐか、船を使う必要があります。そのため、一般的には到達が難しい場所ですが、地元では非常に珍しいスポットとして知られています。

三県境の目印は、長良川にかかる橋の上にあるプレートで確認できます。訪れる際には、周辺の景色や自然も楽しむことができます。特に、木曽三川公園の近くにある「宝暦治水碑」や、川沿いの風景が広がるこの地域は、歴史的な背景と美しい自然が共存する魅力的な場所です。

車で訪れる場合は、海津市の木曽三川公園から南へ車を走らせると、長良川の中にある鉄塔や三県境のモニュメントに近づくことができます。川沿いをドライブしながら、ゆったりとした時間を楽しんでみてください。

3. 木曽三川の魅力

三県境のすぐそばを流れる木曽三川(木曽川、長良川、揖斐川)は、日本の四大河川の一つであり、その流域はかつて度重なる洪水に見舞われた場所です。しかし、治水工事の成功により、現在では豊かな自然環境が広がり、多くの動植物が生息するエリアとなっています。

木曽三川周辺では、四季折々の風景を楽しむことができます。春には川沿いに咲く桜が美しく、夏には緑豊かな木々が青々と茂ります。秋には紅葉が見事で、冬には雪景色が広がることもあります。特に、木曽川の広大な流れと、それを取り囲む自然の調和は、訪れる者に深い感動を与えてくれます。

また、木曽三川公園では、川沿いを散策しながらピクニックやバードウォッチングを楽しむことができ、自然愛好者にとっては絶好のスポットです。治水事業の遺構を見学するだけでなく、自然の中でリラックスした時間を過ごすのも良いでしょう。

4. 訪れる際のポイント

三県境へは公共交通機関や車でのアクセスが可能です。最寄りの駅はJR「桑名駅」で、そこからバスやタクシーを利用して訪れることができます。桑名駅からは定期的にバスが運行しており、アクセスも比較的良好です。また、車で訪れる場合は、国営木曽三川公園内に広い駐車場が整備されているため、駐車に困ることはありません。

訪れるのにおすすめの季節は春から秋にかけてです。特に春は川沿いの桜が美しく、秋は紅葉が楽しめます。訪問時には、散策を楽しむための歩きやすい靴と、季節に応じた服装を用意しておくと良いでしょう。さらに、日差しが強い夏場には帽子や日焼け止めも忘れずに持参してください。

5. まとめと感想

岐阜、三重、愛知の三県境は、地理的な面白さだけでなく、深い歴史と豊かな自然が融合した特別な場所です。宝暦治水の歴史に触れ、木曽三川の美しい自然を楽しむことで、訪れるたびに新しい発見と感動を得ることができるでしょう。

この三県境は、単なる地理的なスポット以上に、過去の治水事業の偉業を称え、未来に残すべき遺産としての意味も持っています。次回は、他の三県境スポットや、木曽三川公園周辺の観光スポットも訪れてみたいと思います。自然と歴史が織りなすこの地での新たな冒険を、皆さんもぜひ楽しんでください。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?