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はじめに みなさんへ

「先天性心疾患」とは、生まれつき(先天性)の心臓の病気(疾患)のことです。

先天性心疾患は50年ほど前までは「長く生きられない病気」でした。しかし、医学のめざましい進歩により、以前は助からないような重症な先天性心疾患もふくめて、約90%の人は大人になるようになりました※1。すでに大人になった先天性心疾患の人が日本に50万人以上いると言われています。
たくさんの先天性心疾患の人が大人になり、社会に出るようになりました。しかし、社会の中では先天性心疾患について、まだまだ知られていないのが現状です。

先天性心疾患の人がどんなことに悩んだり、困ったりするのか?そんな時にどう対処してきたのか?など、先天性心疾患の先輩患者さんたちから聞いた話を集めた「生きるヒント集」になれればと考えています。
  
先天性心疾患の人に限らず、誰にとっても人生に「絶対、こうすればうまくいく!」という正解はないと思っています。人それぞれの特徴や価値観、生まれ育った環境によって、人生の選択肢は全く違います。先天性心疾患の人が、人生のいろんな壁にぶつかった時に、この投稿のいろいろな人のエピソードを読んで「そうか、そうすればいいかも!」とか「そんな時はこういうふうに考えてみよう!」というように、「正解」ではなく「ヒント」にしてもらえれば、と思っています。
 
この投稿を読んでくださった方は、先天性心疾患のお子さんのご家族の方や、ご自身が先天性心疾患という人が多いかもしれませんが、先天性心疾患のお子さんのご家族の方やご自身が先天性心疾患という人だけでなく、医療関係者をはじめ、学校の先生、社会福祉関係や会社の人事担当の方など、先天性心疾患の人に関わる方にもぜひ読んでいただきたいです。先天性心疾患は見た目ではわかりません。どんなことに悩んだり、困ったりするのか、どんなサポートが必要なのかを知っていただきたいと思っています。

加えて皆さんに是非お伝えしたいことがあります。

世の中にはいろいろな特徴を持っている人がいます。運動が得意な人・苦手な人、勉強が得意な人・苦手な人、歌が上手な人・音痴な人などに加えて、目の見えない人、手や足が無い人、食物アレルギーがある人、友だちと話をすることが苦手な人、お金の計算ができない人、男性の体で生まれたけど心は女の人、人工呼吸器を付けながら生活している人、そして先天性心疾患の人など、人間は一人として同じ人はおらず、バラエティが豊かです。これらはその人その人の特徴であって、悪いものであるとか、治すべきものであるわけではありません。あらゆる人が自分の特徴を周囲の人とシェアすることによって、能力の補い合い・助け合いができるようになります。それが「自分らしく生きる」ことにつながると信じています。

福祉モデルでは、世間一般に言われている「障害者」はその人に障害があるのではなく「いろいろな特徴をもっている人がいるということに対応できていない社会や人から、障害を受けている人々」と考えます。先天性心疾患を持って生まれたことを、バラエティ豊かな人間の特徴のひとつと考えて、周囲に自分の特徴をシェアしていただきたいと思います。自分の特徴を周囲とシェアすることによって、自然と助け合いが生まれます。そして、いろいろな特徴の人がすごしやすいように社会が変わっていきます。

この投稿を読んでくれたあなたや私たちが、自分らしく生きていけるよう、今できることをしていきたいと考えています。

注1:今回の投稿以降、先天性心疾患と共に生きる人たちのコメントを掲載していますが、コメントを頂いた時の年代、生れた時の疾患名を仮名で載せております。

注2:私たちは、人々がお互いの特徴を尊重し支え合い、環境を変えたり選択肢を増やしていけば、障害を受けることが少なくなるので、あえて「障がい」ではなく「障害」を使っていきます。

                     立石実・猪又竜・落合亮太

このnoteへの投稿は、私たちが運営しているYouTubeチャンネル「Living With Heart ~みんなの生き方~」から派生したものです。

参考リンク
※1 https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2017/08/JCS2017_ichida_h.pdf


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