ヨットでお出かけ③:3泊4日でサンパブロ湾をクルージング後編
最初の夜を過ごしたバレイホ(Vallejo)でぴかぴかのお天気な朝を迎え2日目の目的地であるピッツバーク(Pittsburg)へ向けて出発しました。ナパリバー(Napa River) の河口からいったんサンパブロ湾(San Pablo Bay)にでて、サクラメントリバー(Sacramento River) の河口に向かいます。サクラメントリバーにはたくさんのマリーナがあり、バレイホからは3-4時間で到着する予定でした。
マルティネスマリーナの浅瀬で立ち往生
サクラメントリバーの河口入口にあるカーキネスブリッジ(Carquinez Bridge)を通過したところで夫がマルティネス(Martinez)に寄っていこうと言い出しました。マルティネスは河口に入って最初の大きなマリーナです。確かにこのまま進んだらかなり早くピッツバーグに到着しそうだったので、マルティネスに寄っていくことになりました。
ところが、マルティネスマリーナに入ろうとしたところで、なんと船底にあるキール(Keel)が浅瀬に乗り上げてスタックしてしまいました。うちのヨットはキールボートと呼ばれるタイプで船底の真ん中に長いキールがあります。キールがあるおかげて風が強いときに船が傾いても転覆しません。(あまりの強風で傾きすぎるとひっくり返ることもあります)でもこのキールがあるために水深の浅いところを通過するときは浅瀬にひっかからないように注意が必要なのです。
船には水深計が付いているので浅瀬に入ると警告音が鳴るはずなのですが、この時はなぜか鳴らなかったのです。浅瀬から抜け出せるように通りがかりのパワーボートが何度か引っ張ってくれましたが、効果はなく、あきらめて潮が満ちてくるまで待つことになりました。
結局マルティネスマリーナの入口に7時間近く立ち往生してしまいました。日が暮れてからようやく潮が満ちてきて海面が上昇したところで浅瀬から脱出することができました。
スタックしている間一番心配だったのはワンコたちのおトイレでした。特にくまは船の上では絶対におトイレしない子だったので下船しない限りはぎりぎりまで我慢してしまいます。一刻も早く下船するのは必須でしたが、マルティネスマリーナは私たちにとって運の悪いマリーナ。(セイラ―は縁起を担ぐことが多いのです。)そのため対岸にあるベニシア(Benicia)のマリーナに移動してワンコたちのおトイレを済ませました。
この時点でこれからピッツバークに向かうと到着はかなり遅くなってしまう上に1日中船にスタックしたワンコたちにも負担がかかりすぎます。ピッツバークの訪問は断念してベニシアのマリーナで1泊することになりました。ピッツバークマリーナはダウンダウンの近くにあって街の散策をすることを楽しみにしていただけにとても残念でした。
サンラファエル(Sam Rafael)へ向かって出発
翌朝はあたりが明るくなってきたところでベニシアを出発してサンラファエルに向かいました。サクラメント川の河口をサンパブロ湾に向かって戻っていくとカーキネスブリッジが見えてきます。前日の朝バレイホからピッツバーグに向けてルンルン気分で通過した橋です。あの時はまさか7時間もマルティネスでスタックするとは思いませんでした。ほんとに何が起こるかわからないものです。
カーキネスブリッジを通過してから朝日が昇ってきました。早朝のセーリングは空気がキリっと冷たくて気持ちいいものです。朝早いのでセーリングしている船も少なくて海上はガラガラでした。
相変わらず風はゆるゆるととても穏やかな朝。通常だとセーリング中に船内に入るとすぐに船酔いするのですが、あまりにも穏やかだったのでセーリング中だったのにもかかわらず船内で朝ごはんを作ることができました。朝ごはんといっても、オーブンでパンを焼いてコーヒーを淹れるだけなんですけどね。自分としてはセーリング中に船酔いせずに船内で活動できたのはかなりの快挙でした。
今回は順調に進み、午後にはサンラファエルにあるロークロモンドヨットハーバー(Loch Lomond Harbor)に到着しました。サンフランシスコベイエリアのランドマークでもあるマウントタム(Mt Tamalpais、通称はMt Tam) がまっすぐに見えるハーバーです。
ハーバーにビーチがあるのでワンコたちを思い切り遊ばせて、夜はヨットクラブのラウンジでメンバーの方たちとお酒を飲みながら楽しい時間を過ごしました。バレイホでも歓迎してもらえたし、このハーバーのクラブもフレンドリーでよい人たちばかりでした。セーリング旅行の楽しみのひとつはこうやってローカルのセーラーたちと交流できることだと思います。
濃霧の中、バークレーへ向けて出発
翌朝は前日の美しい夕暮れが嘘のような濃霧でした。サンフランシスコベイエリアは夜の間にもこもこと霧が発生してあっという間に湾全体が霧に包まれます。でも秋や冬は霧があまり発生しないので、11月の朝にもかかわらずの濃霧には驚きました。
本当は霧が晴れてから出発したかったのですが、ここのマリーナもマルティネスと同様にかなり水深が浅いところがり、満ち潮で水位の高い時に出発しないとまたスタックしてしまう可能性があります。早朝の満ち潮を逃したら12時間後の満ち潮まで出発できないので濃霧の中で出発することになりました。
レーダーで近くに船がいるか確認することができるので濃霧でも安全に走行することはできます。でも濃霧の中のセーリングは幽霊船が現れそうでちょっと不気味な経験でした。霧によって風は止まってしまうのでサンラファエルからバークレーまでは100%エンジン走行になりましたが、なんとかお昼過ぎには無事バークレーに戻ることができました。
私たちの初めての泊りがけの旅は浅瀬に乗り上げてスタックするというハプニングもありましたが、とてもよい経験になりました。その後私たちはトラブル発生時に助けてくれるけん引サービスに加盟することなりましたが、今のことろサービスを利用する事態は起きずに済んでいます。
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