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月を飲む
「どうして月は歩いてもついてくるの?」
うちの娘にそんな質問をされて懐かしい気持になりました。
たしかに、月を見ながら歩いていると、どこまでもついてくるように見えます。これは、月が遠くにあるためにおこる錯覚で、本当についてくるわけではないのですが、「今月の目標はここまでだから、がんばりましょう!」って大人になってからも月に追いかけられるので、「月はついてくるものである」といっても良いのではないでしょうか?
もしくはこれも錯覚なのでしょうか?あっそうかも?錯覚かも?と思って立ち止まってみると、「入稿締め切り過ぎてます。」ってメールをいただくので、こちらは錯覚ではないようです。(いつもにらめっこ編集部様申し訳ございません。)
と言うわけで今月号は中秋の名月も近いので月にちなんだお話をしたいと思います。
平安時代の貴族たちは水面に映る月を船の上から眺めるために庭に池をつくったり、銀閣寺でもプリンのような月見台(向月台)をお庭の砂利を固めてつくったりと、昔からいろいろと工夫をしてお月見を楽しんできました。
そんな昔の人たちのお月見方法の中でも僕が最も好きなのは、お庭に手水鉢を置いてそのなかに映りこんだ月を眺めるという方法です。眺めるばかりではなくて、映りこんだ月を柄杓ですくってお茶を点て、体の中にも月を取り込みます。さらに反射した月影を障子や室内の天井に映して楽しむなんてなんとも風流です。
お庭に手水鉢を置かないまでも、水を張ることのできる大きめの器をお庭に置いてみれば現代でも同じような体験が手軽に楽しめそうです。中秋の名月には、ぜひ試してみてはいかがでしょうか?
ちなみに今年(2013年)は9月19日が十五夜だということです。お団子とススキはもちろんですが、秋の収穫を祝う催しですので、美味しい秋のご馳走をたくさん用意して我が家も楽しみたいと思います!
*「にらめっこ」 2013年 9月10月号 掲載 に加筆修正
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