Vol.28 フェーブを当てたのは?
遅ればせながらBonne année !
クリスマスから1ヶ月バカンスをとって休刊していましたが、これを書かないと週末が来ない・・と思えるほど、気がついたらわたしの生活の一部になっているフランス滞在記。
今日からまた毎週金曜日に配信してきますので、どうぞよろしくお願いいたします!🇫🇷新年第一号は、フランスの新年を祝うお菓子、ガレット・デ・ロワについて。
ガレット・デ・ロワとはパイ生地の中にアーモンドクリームがたっぷり入っている贅沢なケーキ。その中にはフェーブという小さな陶器が隠されていて、フェーブを当てた人は王冠を被り、この一年を幸せに過ごせると言われています。
ロシアンルーレットの当たって欲しい版、といったところでしょうか(笑)。
パティシエの友人がお正月に作ることがあって、日本でも何度か食べたことはあったけれど。フランスで年を越した新年、いつも行くブーランジェリーに並んでいるガレット・デ・ロワを発見して、「おぉ、これが本場のガレット・デ・ロワか・・」と嬉しくなり、さっそく買って帰ったのでした。
2020年1月、フェーブを当てたのはパパ。
思えば、2020年の1月は、少しフランス生活にも慣れてきて、長引くストライキ生活にも慣れてきて、のーんびりと過ごせていたっけ・・。その後あの、のーんびりは一体どこへ?というほど、ロックダウンだ、帰国後の自宅待機だ、大断捨離+引越し(=すてっこし)だ、自宅オンライン仕事だ、娘の保育園探しだ、と怒涛のタイムライン続きで目が回るような年だったけれど。
2020年の最後。パパにはとってもいいことがあったのです。
嬉しそうに紙でできた王冠を被り、当てたフェーブを娘に見せていた、あのときの彼の姿がありありと思い出されます。
よかったね。パパ。
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2021年。
今年も買ってみました。ガレット・デ・ロワ。
今年、フェーブを当てたのは・・
わたし!
フェーブの代わりにアーモンドが入っていました。別途ついてきたフェーブは大事にとってあります。
・・いいことがありますように。
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一ヶ月の時を寝かせたからでしょうか。
それとも、冬が終わり、春が来るからでしょうか。
少し前まであんなに近くに感じていたフランスでの愛おしい生活が、少しだけ遠くへ行ってしまった気がして、ちょっと切ない気持ちに浸っています。
でもきっとそうだ。
わたしは滞在記を書くことで、「わたしがあの時フランスに行った意味」みたいなものを探していたのだけれど、その答えがいま、見え始めている。
終わりが見えているから、きっと切ないのだ。
まるで、ついにタイムカプセルをあける時みたいに。
これだけ変化の激しい日常を生きていると、その答えというのはいとも簡単に消え去っていってしまう。だから、薄れていく記憶を辿って、追憶の彼方にある意味を求め、綴り続ける営みは、わたしにとってとても贅沢で、なんて豊かな時間なんだろうと思うのです。
今年もフランス滞在記をよろしくお願いいたします。
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