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大雪 -たいせつ- 走らない師走を過ごす

二十四節気通信。

2020年12月7日〜12月20日までは大雪です。

外気は冷たいですが、冬晴れの朝はまぁるくやさしいお日様が気持ちの良い季節となりました。平野部の地には、枯れ葉の絨毯がからりと敷かれ、遠くの山々は真っ白な雪の綿帽子をかぶっています。今年も終わりが見えてきて、新しい年に想いを馳せつつ一年を振り返り始める時です。


大雪とは

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江戸時代に発行された暦便覧(こよみべんらん)にはこのように述べられています。

〝雪いよいよ降り重ねる折からなれば也〟

大雪とは、「雪がいよいよ降り積もっていく」という意味。

一つ前の小雪では冷えが上から降ってくる「雪」という形になりましたが、大雪ではそれが降り積もっていきます。次に冬至を控え、いよいよ陰気強まり、冬が深まっていきます。


大きな節目を目前にしたインターバル

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二十四節気を理解する上では、180度反対側の季節が参考になります。性質としては真逆に見えますが、本質を共有する季節同士だからです。大雪の180度反対側に位置するのは「芒種」。現行の暦では6月上旬から中旬にかけてですね。

夏至を目前にした芒種も、冬至を目前にした大雪も、大きな変容を控えた大切なインターバルの時期。インターバルは「動と動の間をつなぐ静の瞬間」です。芒種では作物が育つ用意が整ったところで梅雨入りを迎え、台風到来のシーズンとなります。これは、これから夏の極まりを迎える前に雨降って地固める作用なのです。夏が極まる夏至は、陽から陰への大きな転換点。芒種の雨風は、変容を受け入れる器、土を作りあげるためにもたらされます。

さて、今回の大雪には雪が降ります。冬が極まり、陰から陽への変容を受け入れる器である土を固め作り上げる雪です。芒種も大雪も、自然は人間を一度内側に籠らせるように働きますが、それは大きな転換点・季節が大きく動くの瞬間を前に、身を静かにして地に足をつけ、最終調整を図るように促しているのです。


空気が乾燥してきたら体の水分状態をチェックを

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外気が冷たく乾燥してきて、部屋の中ではストーブに火が入るようになると、気が付かないうちに体の中の水分が不足してきます。五行でいうと冬は腎の季節。この時期体がだるくなったり重くなったりするのは水毒・腎の不調によって水の巡りがうまくいっていないことが考えられます。

野口晴哉は著書「風邪の効用」の中で、気候の変わり目には水を加減することが体の調節には大事であり、体の水分量の目安としてまず唇の周りの乾燥状態をみることをすすめています。

毎年のことですが、秋も半ばを過ぎると、汁とかスープとか温かい飲み物を多く摂ると体のバランスがとれてきます。つまり気候の変わり目にそういう処置をしておくと、体を調節することが非常にスムーズにできます。

 寒さに向かう季節には体が硬張っていると、なかなか調節がつかないのです。ところが、十分に飲み物を、特に温かいものを多く摂りますと、調整ができます。つまり人間の体は、五分の四は水なのですから、気候の変わり目には水を加減することが一番必要なのです。

どういう時期に硬張るのかと申しますと、唇の周りが乾いてくる時です。それは体の中の水分の欠乏を示すものです。
(野口晴哉 風邪の効用より引用)

まずは唇から体の水分量のチェックをしてみましょう。以下に、水分の欠乏状態の段階をまとめます。

・唇の乾燥→頻尿(少量頻回)
唇の周りは泌尿器とも関係していて、寒くなり空気が乾燥してくると泌尿器が弱くなり頻尿となりやすい。しかし、頻繁に尿が出るからといって水分が多いというとそれは逆で、体に水分が少なくなると溜まらないうちに尿意をもよおしやすくなります。

尿の色が赤っぽくなる
さらに水分不足が続くと、尿の色が透明な麦わら色から赤っぽくなってくる。これは食べ過ぎて腎臓に負担がかかっている時にも起こります。

・痰の粘度が強くなって痰が切れにくくなる
ここまでくると水分の欠乏はかなりの状態です。むせたり、吐いたり、百日咳、喘息のような泌尿器系の風邪症状に悩むことも出てきて、水分が足りないうちは続きます。しかし、「温かい水分の多い飲み物を一口ずつ頻回に取る」ことで解消していきます。私も最近、夜間の咳喘息用症状に悩みましたが、この方法でかなり改善しました。

・鼻水・唾液が増えて、胃袋の酸が強くなり、体が浮腫む
ここまでくると水分の欠乏は頂点に達しています。頂点に達すると体はむしろ水分を溜め込む方へ働きます。その結果、鼻水や唾液、涙の量が増えきて、もっとひどくなると体のあちこちが浮腫んできます。体が浮腫むと「水分のとりすぎだろうか?」と思ってしまいますが、この場合、逆に水分が足りないのです。そこで水分を与えると一斉に好転してくることが多いようです。


お花に水をあげるように自分に水をあげてみる

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・喉の渇きセンサーを整える
私はもともと水をこまめにとる習慣がなかったので、体の渇きに関して鈍感になっていることに最近気が付きました。喉の渇きを訴える頃には喉がカピカピになっています・・。(休憩時間まで水を飲んではダメ、みたいな旧時代的な運動部所属だったからでしょうか・・)。そこで、180mlの小さな水筒に白湯を入れてまずはそれ一本を飲み切ることを目標に、喉が渇く前に何度も頻回に飲むことを習慣にしています。すっかり鈍感になった渇きセンサーが、ちょっとずつ整ってきています。

・水を飲む瞑想
野口先生は前述の風邪の効用の中で、水の飲み方に関して、喉の渇きを感じる時はいきなりごくごくと飲まずに、一度口の中に含んだのちにゆっくり飲み込むことを勧めていました。乾いてしまった粘膜はすっと水が通ったくらいでは水が浸透しないようです。そこで、私は以前マインドフルネスのリトリートでやった「食べる瞑想(※)」に着想を得て、「水を飲む瞑想」というものをやってみています。

【水を飲む瞑想】

・口の中に水を含みます
・その感触を口の中で確かながら、口の中を水分で満たします
・それを十分に味わったら、少しずつゆっくりと喉を通します
・喉や食道に水分を与え満たすのをイメージしながら、水が通っていく感覚を追えなくなるまでそれを味わいます
・胃のなかに水分が届く感覚が出てきたら、それが胃をそして体全体を満たすのをイメージします

上記を体の方から「もういいよ」と応答があるまで何度か繰り返します。

(※)食べる瞑想とは、口の中で食べ物の形状を確認し、ゆっくり噛み、その間の状態を感じ、最後喉元を通った食べ物の感覚が追えなくなるまで「食べる」という行為にひたすら意識を傾けるというもの。


調整をしたら、あとはこんこんと眠るだけ

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霜降以降、よく眠り準備をしてきました。体の水分の調節もしました。あとはこんこんと眠るだけ。眠りに委ねるのです。


11月下旬辺りから私はとにかく眠くて眠くて仕方がありません。でもやりたいことはたくさんあるのでちょっと無理をしたらしっかり風邪をひきました。身体は正直ですね。風邪については以前、台風と同様に偏りを正す作用がある、ということを書きましたが、まさしく、と思いました。

〝普段の生活で身体のどこかに負担が集中して歪みが生じると風邪が入ってきます。そして、入ってきた風邪は身体の歪みを正常へ戻すプロセスとして働きます。風邪は緊張した部分を緩ませ、栄養や水分、気の流れの不均衡を改善して弾力を取り戻すプロセスです。

風邪をひいたから体調を崩すのではなく、体調を崩しているから風邪をひくわけです。

私は思考に偏りやすい人間なので、考えすぎたり頭を使い過ぎたときにバランスをとるようによく風邪を引きます。
この時期は風邪が流行りますが、それは冬至という大きな転換点を前に、偏りを最終調節し、よく眠れるように身体を導く外からの力が働きやすいからなのでしょう。


走らない師走を過ごす

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昨年フランスで「走らない師走」を過ごしてみて、これはいいなと思いました。年末の大掃除も年賀状もお節作りもない、ただただ静かな年末年始。
最近、何事もバタバタと駆け込みで終えるよりは、終わったことの余韻をもうちょっと味わうゆとりが欲しいと思うようになりました。いいコンサートの後の帰り道のように。

クリスマスを終えたらちょっと長めにバカンスを取ります。そこまでバーっと頑張って「あぁ疲れた〜」とパタリと休みに入るのではなくて、少しずつ少しずつ減速して一年の終わりを迎えるように今年は設計してみようと思っています。

今日は、手始めに何も家事をしないNo家事Dayにしてみました。
今年はすでに大掃除は終わっていて、年賀状は数枚描くかどうか。親しい人にはご挨拶をして、お節は食べたいものをちょこっとだけ作ろうかな、という感じです。今年は本当に色とりどりな音楽を奏でてきたから、余韻に浸りながらお餅でも食べるのが今からとても楽しみ。ゆっくり絵も描きたいし、料理もしたいし、編み物したり、米ぬかホッカイロ作ったり、のんびりお家にこもって手仕事をする時間も欲しいです。音楽をゆっくり聴く時間だって欲しい。やりたいことがたくさん。

師走に入ると外側が賑やかになりますが、そこに振り回されることなく、できるだけ身を静かにして穏やかな年末年始を迎えたいと思います。
今年一年も、あともうちょっとですね。本当にお疲れ様でした。
みなさまにとって大雪が、よきインターバルとなりますように☃️❄️


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まつばらあや
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