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Vol16. 会いたい人がいる海へ-San Diegoへ母娘トリップ

フランス滞在記。

Los Angelesへ到着した私たち。

次の日、夫が仕事へ行っている間、私は娘と一緒にLos Angelesからアメリカ縦断鉄道・Amtrakに乗って、友人の暮らすSan Diegoへ出かけてみることにしました。

以前、San Diegoに行った際、海沿いを走るAmtrakがかっこよくて、いつか乗ってみたい!と思っていたのでした。

しかし、いつものことながらビビリかつ方向音痴な私。

お出かけの前夜。夕食を食べた後、夫にお願いしてダウンタウンにあるUNION STATIONというAmtrakの発着駅まで一緒に歩いてもらい道順を確認した。UNION STATIONに着くと、明日乗るAmtrakの切符を買って(正確には夫に買ってもらい汗)せっかくなので駅構内を散策した。

UNION STATIONは歴史建造物に指定され、映画の撮影にも使われているということもあり、ノスタルジックで雰囲気のある素敵な駅でした。
駅の構内では楽器隊が演奏をしていて、なんだか一昔前にタイムスリップしたような感覚でした。

しかし、色々調べてみると、なんだか複雑そうなUNION STATION。


前夜の偵察でも乗り場が分からなくておろおろしている人がいて、明日は我が身だ・・なんて思って気を引き締めました。


しかも、子連れはただでさえバッファーを食われるので、当日は朝早々に出発することにしました。


事前にネットで調べたところ、どうやらAmtrakの乗り方は特殊で、待ち合わせ場所が電光掲示板に表示されて出発15分前ほどになると係員が点呼に来て到着ホームを教えてくれるのだとか。

しかし、電光掲示板を見ても集合場所がよくわからない。

窓口へ行って係員に切符を見せると「あそこで待っていれば大丈夫」と直接ホームの番号を教えてもらえた。うーん、これはローカルルールなのか、それとも私の読解力がないのか・・。

悩ましいところだが、電光掲示板を確認すると、確かに私が乗るAmtrakと到着ホームが表示されていた。

そうこうしていると娘が「お腹が空いた」とぐずりだす。Amtrakの発車予定時刻よりは随分早めについたことだし、と混み合っているスタバの列に並んでコーヒーとドーナッツとフルーツジュースを買った。

手に熱々の本日のコーヒーを持ちながら、ホームまで行って、ベビーカーの中でドーナツを頬張る娘を眺めながら電車を待った。しかし、何かがおかしい。待てど暮らせど、電車らしきものがホームにくる様子はなく、他の乗客らしき人も見当たらない。

不審に思って、再びホームから下へ降りて電光掲示板を確認するも、ここのホームで良さそうである。

しかし電車は来ない。出発予定時刻まで後5分を切った。絶対これは何かを間違えていると確信する。

すると、同じホームのはるか遠くにうっすら、白とブルーのいかつい電車らしきものが見える。

「あれ?もしかして、あれが私たちの乗るAmtrakじゃないの?」

Amtrakから電気スクーターのような乗り物に乗った車掌さんらしき人がのんびりとこちらへやって来たので尋ねてみると「早く!急いで!君が乗ろうとしているのはあの電車だよ!」と言うではありませんか。

そうです。私は駅のホームの位置を間違えていたのです。なんて初歩的なミスでしょうか・・(泣)。

「ママ〜あむとっぷあったね〜」という娘の可愛らしい言い間違いを颯爽とスルーして(娘、ごめん)ここ最近一番のダッシュでホームを疾走。なんとか、予定していたAmtrakに乗車することができたのでした。

すると、発車予定時刻から少し遅れて、先程の車掌さんがはんなりと乗ってきて「あぁ、間に合ったの。よかったね」と笑いかけてくれた。小さな娘に塗り絵と色鉛筆、そしてAmtrakのバッジと紙で作る電車に帽子、大きな大きな鞄からたくさんの素敵なお土産を出してくれた。

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娘は、大興奮。

ドーナツでお腹がいっぱいになって、大好きな電車に乗車できた彼女はいたくご機嫌で、キャッキャと笑いながら窓の外を眺めては、海を見ること、友人に会えることが楽しみだとはしゃいでいる。

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母は、走りすぎて、喉から血の味がする。心臓がまだドキドキと鼓動している。

けれど、海沿いを風を切って走っていく電車に揺られると落ち着いてきて先ほどかいた嫌な汗がひいていくのがわかる。窓の外を見ながら車掌さんからもらったペーパークラフトをパチパチと作って帽子をぽんと娘の頭にのせ、小さなAmtrakを手に持たせた。娘はますますご満悦だ。

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先程の車掌さんが様子を見にくると、ちびっこ車掌さんに「楽しんでいるかい?」「お仕事ご苦労様」とご挨拶して行った。


ごとごとAmtrakにゆられ、海が見えた海が消えた海が・・とはしゃぐ娘とのんびりしながらも降り損ねないように、と停車駅の旅に駅の看板を凝視する母・私。

ようやくOcean sideというSan Diegoの最寄駅に到着すると、友人が車でお迎えに来てくれた。安堵・・である。久々の再会に喜びながら車に乗って、友人宅へ行ってお茶をご馳走になった。

それから今日は海へ。なんとホエールウォッチングへ連れて行ってくださるとのこと・・!

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お天気に恵まれて、海風がとても気持ちが良い。フランスで滞在していたグルノーブルは山の麓の都市なので、海は本当に久しぶりだった。

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船着場でホエールウォッチングの船を待つ。

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しばらくして船がきたので、乗船。今日はちょっと波が強くて船がよく揺れたけれど、ゆりかごのようでなんだか気持ちよかった。

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遠くから照らす太陽がやさしかった。残念ながら、この日はクジラに会えなかったけれど・・

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人懐っこイルカの群れが、ずっとずっと追いかけてきてくれた。
私たちのそばにはペアのイルカさん。イルカさんは遊ぶのが上手だ。

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下を見ると太陽が反射して虹を作っていた。

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太陽を背にして帰る。

帰りはぐったりした私たち親子を友人夫婦がLos Angelesまで送ってくれた。海を離れ、都会の高速道路をひた走る時間もなんだか夢のような時間でした。

急にお訪ねしたのに、快く迎えてくれて素晴らしい時間をささっとコーディネートできてしまう友人には感謝しかありません。海のようでお日様のような素敵な人。

いつも隣でくっついていた娘がちょっと私から離れて、船の先端部で友人と一緒に海やイルカさん達を眺める姿を見て、あぁ自分は自分一人で頑張ってサバイバルしているような感覚でいたけれどそれはとんだ勘違いなんだなと思った。

いつも助けてくれる人が必ずいるから、必死さを緩めて助けてもらっていることに気づけるスペースが欲しいなぁと思ったのでした。
・・とはいえ、小さな子供がいる気忙しい毎日ではなかなかそううまくはいかないわけで、たまにこうして振り返ってあの時の自分が感じきれなかったものを大切に回収して紡いでいくような時間を持てたらいいなと思って、旅行記を書いてみています。


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