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立秋 -りっしゅう- 動きながら豊穣の熱を育てる

2020年8月7日〜8月22日まで、二十四節気では立秋の時期となります。

いよいよ夏の土用が明け、暦の上では今日から秋です。みなさまいかがお過ごしでしょうか?暑さの表現も暑中から残暑へとフェーズが切り替わります。
とはいえ、体感としてはまだまだ夏真っ盛り。これからが本格的な酷暑です。


外を歩き、木をよく見てみるとセミの抜け殻がたくさんくっついていました。
小麦色の肌の男の子達がビニール袋いっぱいにセミの抜け殻を集めている姿をみると、あぁ夏だなぁと感じます。
しかし同時に、日中はシーシーと元気よく鳴く蝉の声に夕方になるとカナカナとひぐらしの声が混じり、かすかに夏の終わりを感じさせます。

梅雨が明けてカラッと晴れた空ですが、雲の形も少しずつ変わってきています。
夕方になると時折涼やかな風がどこからともなく吹いてくることも。


目には見えないけれど、秋はたしかにやってきています。


五行論的に、秋は「収」・金の時期にあたります。

・春 =木・生 中から外へ出る
・夏 =火・長 下から上へ昇る
・土用=土・化 安定させる
・秋 =金・収 上から下へ降る
・冬 =水・蔵 外から中へ入る

夏から秋への切り替えというのは、下から上へ昇る力が、上から下へ降る力へと大きな変化が起こります。

秋が意味する金というのは、土の中に育まれる鉱石のこと。

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でも残念ながら、ただ掘り起こしたところで金は手に入りません。埋蔵金はあちこちにあるわけではないのですね(笑)。

私は、ずっと秋の意味する金がなんのことかよくわからなかったのですが、最近ミネラルなど土壌を豊かにする栄養素なのだと気づきました。
豊かな土壌は、豊かな実りへとつながり、金の意味するのはそのことなのだと。

その土を作るのは、火です。
火は有機物を燃やして土の元となる灰を作ります。
ただ、灰を作るだけでは豊かな土にならず、そこにミネラルだったり微生物だったり土を作ってくれるものたちが生きられる状態に育てて初めて土になるのだと思います。
それが、夏の土用。火の季節と金の季節の間の土用の意味。


熱は上へ上へと行きたがる性質があります。

身体も、上では熱を感じやすいけど下では熱を感じにくいもの。
だから、顔周りで暑いなぁと感じていても、案外お尻やくるぶしなど下の方は冷えていることが結構あります。
喉が冷たいものを欲してその欲求のままにガブ飲みしてしまうと、お腹や足など下の方が冷えきて体調を崩すということがあります。
それは身体から「熱の偏りが出ています。熱をかき回してください」というメッセージなのかもしれません。


熱を運搬するのは血液。

血液を巡らせるには動くこと。


動くことで熱を下へ下げてあげることを日々心がけてみています。
私は運動が大の苦手なので、家事など日常生活の中でできるだけこまめに動くように心がけています。
もちろん、熱中症に気をつけながら、水分はよく摂って、部屋の温度管理にも気をつけながら。


ただ、「暑い!」と思った時に直感的に冷房のスイッチをピッ!と入れるのをやめました。まず水分を取る。そして動いてみて、身体の熱を感じてみてから入れるようにしています。
動いているうちに、頭がスッキリして熱がひいてきて、「冷房じゃなくて外の風を入れるだけでもいいか」ということもあります。


下から突き上げてくる熱には反応しやすい。
でも、上から下へ降りてくる熱には気が付きにくい。


上からの熱も下からの熱も、動いていくことで循環させることができるのが動物だとしたら、意思によってそれを行うのが人間なのかもしれません。


さて、今年は大々的にはできないけれど、世間的にはこの時期、「火」のイベントが続きますね。8月15日の月遅れのお盆、終戦記念日の灯籠流しに、8月16日の京都の大文字焼、各地の花火大会。
先祖や戦火で散った命への供養だったり、祈りだったり、家への道案内だったり。火には昔から死者との絆を深める重要な役割があるようです。

また、秋口に入ると、流れ星が綺麗に降り注いできます。


上から、下から、地に、空に。
いろんな火を楽しむとともに、よき秋の入り口をお過ごしください。


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