遺すこと。止めること
正直ドンピシャ世代ではないですが、『西部警察』や『太陽にほえろ!』の再放送はよく観ていました。渡哲也、神田正輝、舘ひろし以降、事務所を代表するスターが出てこなかったのも原因なのかなと思います。
代表を務めていた故・石原裕次郎は生前、自分が死んだら会社(石原プロ)は畳んでほしい、と後進に言い遺していたようです。部下たちへの愛情はもちろんあったと思いますが、自分以上の俳優はいないという矜持。そしていつまでも自分の名前を冠した団体が残り続けていることへの違和感もあったのかと思います。
よく耳にする格言で、
「財を残すは3流、名を残すは2流、人を残すが1流」というのがあります。
まさしくその通りで、僕の場合子どもがいないこともあり、人(子孫)を残せなないことへの申し訳なさも人一倍強いのかもしれません。ただし、石原軍団のように、思うように人材を残せないのだったら、あえてそこで物事を終わらせてしまうというのもやむを得ない選択肢だと思いました。
いま仕事で水産関係の業者(魚の仲卸業者)の方々と親しくさせていただいているのですが、後継者がいない所では、今回の石原プロと同じように、自身の引退後、店を畳むことを明言している経営者が多くいます。実際に築地市場から豊洲市場へ移転が決まった際に、多くの仲卸業者が廃業しています。
きちんとした後継者を見つけて、店を残していくことが、各得意先に対する責任とも言えます。ただ、中途半端なものを残すくらいなら、そこですべてを片付けてしまおうというのも、なんとも魚河岸で生きる男たちの潔い選択だなあと、最近になって思えるようになりました。
でも自分は財すら残せないから3流以下かぁ… と思うと切なくなります(笑)。そんな人は世の中にゴマンといるでしょうが、自分に与えられた仕事を愚直にこなしていくだけ。人に認められるということは、こんな小さなことをコツコツ繰り返していくだけなんだと身に染みて思う今日この頃です。
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