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リヴァプール大不振~補強で解決できる事とできない事~

 リヴァプールがまさかのアンフィールドで5連敗となりました。また、その5試合の中での得点はPKでの1点のみ。「まさか」と書きましたが、リヴァプールファンは数シーズン前から得点が選手の質頼りで、いつか得点が取れないようになる可能性に気づいていたはず。では実際は、どのような得点パターンが減少し、どのようにすればこの状況を打破できるのか自分なりにまとめてみました。

1.ある得点パターンの減少している?

絶対値比較

 リヴァプールの昨季と今季の全ゴールを見返し、自分なりに分類してみました。また、参考までに昨季のシティのゴールも分類しました。私の目による判断なのでかなり大雑把ですが勘弁してください。(笑)

 CBが不在している割にはセットプレーでの得点は意外にも減少していません。ちなみにセットプレー7得点のうちCBの得点はダイク1点、マティプ1点です。一方、カウンターなどの裏のスペースを利用する得点が圧倒的に減少しています。ここ数試合は特にブロックを敷いて守られることが多いですし、下位チーム相手にもそのように守られ勝ち点を落とすことが多いです。ブロックを敷いて裏への警戒を怠らなければリヴァプールは得点できないということがバレてるのでしょう。カウンターが少ないことに関しては過密日程でプレスが緩くなっている、CB不在により前にプレスをかけづらい、CB不在により相手はカウンターがよりチャンスになるため無理に人数をかけて攻めない、中盤の人員が昨季までと変わっているなどの理由が考えられます。ただ1番の問題点は昨季も含め、相手ブロックを攻略しての得点の少なさです。ここを解消できるかが今後のリヴァプールの命運を握るでしょう。

 続いてシティとの得点傾向を比較してみましょう。

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 一応20-21シーズンのリヴァプールの得点分類の円グラフも載せましたが、20-21シーズンはそもそも得点が少なく割合にすると誤差が大きくなるため、また極端に裏のスペースを利用した得点が減少しているため、今回は19-20シーズン同士で比較してみましょう。

 シティの円グラフはとてもバランスが良く、いろいろな形から得点していることがわかります。つまり、ただ引いて守ってもパスで崩されたり、ミドルシュートを決められ、反対にラインを上げてプレスに行くと裏のスペースへ抜け出されたりクロスを上げられるのです。

 一方リヴァプールの得点の約半分が裏のスペースの利用とクロスでの得点です。また、シティもリヴァプールもただ競り合わせるクロスではなく、キーパーとディフェンスラインの間のスペース(ディフェンスラインの裏)に入れるクロスを用います。したがって相手ディフェンスの裏にスペースがなければリヴァプールの得点は半減するのです。このことから考えると相手が引いて守るのは必然でしょう。ですがリヴァプールはシティと違い、そのひかれた相手を崩す手段がない。相手のラインを少しでもあげるためにはバイタルエリアで上手くパスをつないで相手ブロックを攻略したり、脅威になるミドルシュートを打つ必要があるでしょう。

 もう一つの違いとしてドリブルからのゴール数があげられると思いますが、これについては後ほど。

 ちなみにですが、昨季のゴール数はゴール期待値を超えており、今季のゴール数はゴール期待値を超えていないみたいです。単純な決定力不足、また得点を取ることが得意でない人がシュートを打っている(後述します)ことも今の得点力不足の原因でしょう。

2.補強で解決できないこと

 このひかれた相手を崩せず得点が減っている現状は、ただいい選手を集めても解決しないでしょう。実際CBの離脱があるとはいえ、夏にワールドクラスでクリエイティブなチアゴを獲得してこの問題は解決できる事が期待されたにも関わらず今の大不振が起こっています。もちろん、カーティス含め随所で素晴らしいプレーは見せてくれてはいますがチームの問題解決にはつながっていません。ではどのようにすればよいのか。それはポジショニングの整理だと私は考えます。今のリヴァプールのポジショニングは正直に言って狙いが全くわかりません。誰が幅を取り、誰が裏を取る動きをするのかが決まってないように思えます。また、得意とするプレーを発揮できないポジショニングをせざるを得ない選手も多々います。例えば、得点を取ることが得意なサラーがサイドに張る、アーノルドが中に入って他の選手とポジションが被る、中盤が片方のサイドに偏る、マネが落ちすぎて裏を狙う選手がいない、右サイドで攻めてる時にロバートソンが少し内側に入ってきてサイドチェンジ出来なくなるなどなど。チェルシー戦ではこのような問題が詰まったシーンがありました。それが前半12分30秒ほどです。よかったら見返してみてください。

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そのシーンがこちらです。ボールを奪った直後ではありますが、明らかに片方のサイドに人数が偏っています。ボールを奪うために選手間の距離を狭めて囲い込むため片方のサイドに偏るのはもちろん分かっていますが、問題は奪った瞬間にすぐポジションを整えるのではなく、ほぼすべての選手が止まっていることです。実際このポジショニングになったのは奪い返した8秒も後でした。このアンバランスなポジショニングのまま攻撃ができるはずもなく詰まって左CBのカバクまで下げますが、左サイドに味方は全然いないのでプレスをはめられアリソンまで下げることになり、結局ロングボールをけらざるを得なくなってしまい、またボールを取られてしまいました。ボールを奪い返した後すぐにポジションを取る意識と攻撃時に取るポジションの決まりごとが無いということが伝わるシーンでした。

 ではどのようにすればよいのでしょうか。それは前述したとおりポジションを整える、さらには各々が自分の得意なことが発揮できるような配置にする必要があるでしょう。素人ではありますが私なりにも考えてみました。可変4-2-3-1です。

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 サラーをFWにして得点と相手ディフェンスとの駆け引き(裏抜けとポストプレー)に専念させ、フィルミーノをバイタルエリアでの崩しと2列目からスペースへの飛び出しに専念させます。幅を取るのはマネとロバートソンにし、アーノルドは相手のプレスに応じて3バックの右のようなポジショニングを取ります。そしてアーノルドはインナーラップでポケットの攻略を狙い(右サイド黄線)、ロバートソンはカーティスとのコンビネーションでサイドの攻略を狙います(左サイド黄線)。また、状況に応じてマネが内にポジションを取り、アーノルドがオーバーラップをしたり(黒線)、自慢の質の高いボールをアーリークロスで上げるのも効果的でしょう(青線)。マネには基本的にはサイドでのドリブル突破を期待します(赤線)。さらに本職のアンカーがいない、またはアンカーで使えない今、2ボランチにすることでお互いを補完し合います。加えて2ボランチのほうがバランスをとるのは容易でしょう。守備に関しては、最近は無理に前からプレスに行って剝がされることや高すぎるライン設定の反動で簡単に裏を取られるケースも多いのでその改善も必要です。取られた直後はボールを追いかけまわすのは賛成ですが、ボールを持たれる展開になったらしっかりセットして4-4-1-1のブロックを作り、ある程度引き込んでからボールを奪ってカウンターを試みます。また、選手に関してはカーティスのところはジョタが担っても面白いでしょう。

 ここ最近はサラーが幅を取り、フィルミーノがフィニッシュという構図になっていますが、このフォーメーションはこの構図を反対にし、各々の得意なことを生かすものになっています。実際サラーのドリブル成功率は48%と決して高くありません。一方マネは60%と高い数字を残しています。(SofaScoreから引用)

 先ほどドリブルのことを後述すると書いたのでここで書こうと思います。シティの攻撃でよく見られる形の1つは、右サイドで張っていたマフレズが相手と1対1になり仕掛けて得点するというものです。ですがリヴァプールではシティのようなサイドで1対1を仕掛けられるような場面はほとんど見かけません。その理由は中盤のバランスが悪いためにパスが潤滑に回っていないからだと考えられます。右サイドから左サイド、左サイドから右サイドを繰り返すことで相手はサイドチェンジに対応できなくなったり中央にスペースを与えたりするでしょう。ましてリヴァプールはパスを潤滑に回して片方のサイドに相手を集めればアーノルドなどが超高精度サイドチェンジを見せてくれるはずです。ショートパスをつなぐからロングパスが有効になり、ロングパスが脅威になればショートパスが有効なのです。

3.補強で解決できる事

 これまで補強で解決できないことを書きましたが、では補強で解決できることは何でしょうか。ズバリそれは右ウィング、中盤、CBでしょう。CBは言うまでもありませんね。右ウィングはサイドに張ってドリブルを仕掛けられる選手で左利きでカットインも縦にも行ける選手が好ましいでしょう。中盤はインサイドハーフ、アンカー、2ボランチ全てをこなせる最低限ボールを回せて守備がうまい選手がいいでしょう。スカウティングは専門外なので噂を楽しもうと思います。

4.まとめ

 今まで様々なことを書きましたが、私はリヴァプールがボールを取られないチームになってほしいわけでもなく、シティと同じサッカーをしてほしいわけでもありません。昨シーズン勝利したシティ戦の得点シーンのようなダイナミックな攻撃が大好きです。そのダイナミックな攻撃をこれからも成功させるためにショートパスでの攻撃も必要不可欠になっているのです。

 またクロップに関してはCL権を逃したとしても解任には反対です。クロップの人心掌握がなければ去っていく選手がいるかもしれません。そのほかの戦術家の部分などを見直すことが最優先のように感じます。

 最後にカバクに関してです。今のところ物足りなさはとても感じますが徐々にパフォーマンスも上がっているようにも感じます。裏の対応やビルドアップなど課題は山積みですが半年の間に大活躍してくれることを願って厳しすぎず寛容に見ていこうと思います。

 

 

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