まさにレジェンド スティーブ・ハケットの来日公演にて
いやいや、この感動をどう表現すれば良いのか!って、noteを書くことくらいしかできないのですよね。行ってきました。2022年7月10日、川崎CLUB CITTA'でのスティーブ・ハケットの来日公演。
会場はSold Out。聞くところによると、3日連続の公演がすべてSold Outしたらしいですね。今回の演目は、ジェネシスのライブ盤、Seconds OutとSelling England By The Poundを完全再現するという趣向で、ジェネシスの曲しかやらないというものだったのですが、2022年にもなって、そういうコンサートに日本でこれだけの人が集まるというのは、永年のジェネシスファンとしてはちょっと涙モノですよね。
そうはいっても、加齢臭ただよう会場は、自分もその一人だからいいとしても、隣のオヤジがニンニク臭くて、「ライブの前に餃子食ってんじゃねーよ」と思いましたが、まあそこはジェネシスラバーということで特別許してあげましょう(笑)
ハケット先生の来日公演は、仕事でどうしても行けなかったジョン・ウェットンと一緒にやってきた初回以外はだいたい全部見ているのですが、その中でも今回が一番良かったのではないかと思える内容でした。今回は、何と言ってもわたしがジェネシスにのめり込むきっかけとなったSelling England By The Poundと、フィル・コリンズがボーカルをとるようになってからのライブで衝撃を受けたSeconds Outですから。もう考え得る最高のセットリストになったわけなんです。
ライブはSeconds Outの収録曲からスタート。もちろんオープニングはSquonkです。そして2曲目がThe Carpet Crawl。ここでもうハケット先生のあのギターが全開になります。やっぱりこの曲のギターは、オリジナルであるハケット先生の右に出る人はいないということを改めて納得させられる展開。アルバム通りRobbery, Assault and Battery、Afterglowとたたみかけられて、このへんでもうノックアウトなのです。本来Seconds Outでは、ここからFirth of Fifth、 I Know What I Likeと続くのですが、今回これらのSelling England By The Pound収録曲は飛ばして、ライブはThe Lamb Lies Down on BroadwayとThe Musical Box (Closing Section)と続きます。Seconds Outでは、この2曲はメドレーのような感じでつながっていましたが、今回のライブでは別々の曲として演奏されました。この辺は何かハケット先生のこだわりなのでしょうか? そして、いよいよSupper's Readyです。さすがハケット先生のバンドの演奏で、エンディングのギターソロがかなり長い。でも本当に素晴らしい演奏でココロが洗われました。
ジェネシスは、再結成ライブでもSuppers Readyはやってませんでしたので、かなり以前からこの曲をライブで聴けるのは、ハケット先生のバンドだけという状態になっていましたが、あらためてジェネシスが正式に活動停止した後に聴くこの曲は、涙を誘います。
ここで約30分の休憩を挟みます。加齢によりトイレが近くなった観客にとっても、この休憩は意味あるものなのです(笑) そして、第2部はいよいよSelling England By The Poundの全曲再現です。Dancing With the Moonlit Knight、I Know What I Likeと続きます。I Know What I Likeは、ハケット先生のギターリフがきっかけとなってできた曲なのですが、間奏部分でちょっとジャズっぽいアレンジを入れたりするのは、やはりジェネシスの中でも自分の貢献度の高い曲なのだという表れでしょうか(考えすぎ?w) そして、いよいよFirth Of Fifthで先生のギターソロを堪能します。確かにダリル・スターマーは凄腕ギタリストですが、やっぱりこの曲のソロはハケット先生の情感溢れるロングトーンがオリジナルですからね。ソロを聴きながら、ジェネシスの再結成コンサートは2回もやったんだから、どこかで1回くらいゲストにハケット先生呼んで、この曲だけでもやれば良かったのになあ….とか思ったら、やっぱり涙が出てきました。
そして、アルバムではフィル・コリンズが歌ってるMore Fool Meなのですが、ナッド・シルヴィアンの歌がいいです。この方、かなり以前からハケットバンドのボーカルを担当しています。ピーター・ガブリエルもフィル・コリンズも両方歌わなければいけないというかなり大変な役割なのですが、いつもながらこれをきっちりこなしているのは見事だと思います。そして、 The Battle Of Epping Forest、After The Ordealに続きます。これらの曲は、ハケット先生在籍時代のジェネシスのライブでもほとんど演奏してなかった曲のはずです。なので、こんなレアなナンバーが2022年になって聴けたというのも、忘れられない思い出になりました。そしてThe Cinema ShowからのエンディングAisle Of Plentyまできっちり演奏して、まさに完全再現だったのでした。アンコールはSeconds Outにもどって、Dance On A Volcano〜LosEndosと、いつもの感じで決めてライブは終了したわけです。
それにしても、ハケット先生すでに70歳を超えているはずなのですが、見た目にほとんど変化がありません。ちょっと太ったかなくらいな感じはありましたが、ギターを弾く立ち姿は以前のまんまです。確かに演奏休みの時にステージのイスに座ってる時間があるとか、途中で休憩が入るとか(前回の来日時には途中休憩は無かったと思う)、年齢を感じさせる部分もありましたが、驚くほどわたしたちのイメージそのまんまのスティーブ・ハケットでありまして、これが嬉しかったわけです。
今になっても精力的に世界中をライブツアーしている元ジェネシスメンバーは彼だけですしね。もちろん新譜の噂が聞こえてきたピーター・ガブリエルは来年(2023年)にツアーするらしいですが、ライブの本数においてはスティーブ・ハケットを超えることは無いと思います。また、ピーター・ガブリエルにしても、再結成ツアーのジェネシスにしても、結局は海外と日本での人気に差がありすぎて、欧米と同様のキャパの会場が日本でブッキングできないのですよね。なので、いくらツアーがあっても日本には来ないよねえ〜、というのが現状です。ところが、ハケット先生は欧米でも今回のCLUB CITTA'くらいの会場でのツアーを続けているのですね。それだと十分日本でもコンサートできることになるのです。実は、最近のキング・クリムゾンも同じような状態になっていたようで、こういうツアーをバカにする奴らは、許さないぞ!(クリムゾンの来日公演には行かなかったけどね)
というわけで、ハケット先生。この調子なら、あと2回くらいは来日できるのではないか、生きてるうちにまだ何回かあのギターを聴くことができるのではないかという夢と希望をジジイに持たせてくれるという、まさに希有なレジェンドなのです。ぜひ今度は、The Lamb Lies Down On Broadwayの完全再現をやっていただけないでしょうか。それを聴くことができれば、わたしも成仏できると思うのです(笑)
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