1982年4月に、わたしは東京のある会社に入社しました。いよいよ社会人となった年なんです。1972年、中学1年生の年から続けてきたこの記事シリーズなんですが、実は81年で終わろうと思ってたんです。というのも、社会人になってからは、仕事して酒飲むばかりで、あんまり洋楽ヒットチャートとか気にしてた記憶がないんですよね。ですから、もう81年で終わりで良いだろうと思ったんです。
ところが、82年の洋楽ヒットソングざっと眺めたら、やっぱり知ってる曲ばっかりなんですよね。ということで、いつまで続くかわからないのですが、もう少し続けてみようかと思います。やっぱり、年ごとのヒット曲をこうして整理すると、その頃自分が何やってたかなども思い出して、ちょっと楽しいんですよね。ただ、これまで同様「わたしがよく聴いた」という観点でピックアップしてますので、「なんでこの曲はいってないの?」というのもあると思いますが、それはご容赦ください。ということで、もうしばらくお付き合いください。1982年です。
1982年(昭和57年)の出来事 2月 ホテルニュージャパン火災 死者33人の大惨事
4月 フォークランド紛争勃発(6月にイギリスの勝利で収束)
6月 イスラエルがレバノン侵攻
6月 IBM産業スパイ事件 日立と三菱電機の社員6人がアメリカで逮捕
9月 三越の岡田茂社長が解任 「なぜだ!」が流行語に
9月 モナコ王妃グレース・ケリーが自動車事故で死亡
10月 ソニーが世界初のCDプレーヤーを発売
10月 NECがPC-9801を発売
11月 ソ連ブレジネフ書記長死去 後任はユーリー・アンドロポフ
11月 中曽根康弘が自民党総裁選で圧勝 第一次中曽根内閣発足
1982年の洋楽ヒットソング Eye Of The Tiger / Survivor
この曲は映画「ロッキー3」のテーマソングとして大ヒットしたわけですが、このバンド、サバイバーが、70年代に飛行機事故でメンバーほとんどが亡くなったチェイスというバンドの生き残りのメンバーが作ったバンドであるというのは、かなり後になるまで知らなかったんです。だって、チェイス を思い出すような音はどこにもないわけですし…。
I Love Rock 'n' Roll / Joan Jett & The Blackhearts
70年代にThe Runnaways のギタリストだったジョーン・ジェット久々の大ヒット。彼女は70年代からずっとロックンロールやってきて、そのまま80年代に入った感じではあるのですが、こういう曲もまだヒットしていたわけです。
Ebony and Ivory / Paul McCartney & Stevie Wonder
この頃、以前よりヒットが小粒になってきていたポール・マッカートニーがデュエット路線で一発当てた感じなんですが、この組み合わせでヒットしない方がおかしいという、ちょっと反則気味の曲ですよね(^^;)
Centerfold(邦題:墜ちた天使) / J. Geils Band
この人たちは、60年代から活動するキャリアの長いブルースバンドだったのですが、80年代にかなり音楽性を変えて、この曲はめちゃくちゃ流行りました。売れたおかげで批判されたというバンドのひとつですね。
Who Can It Be Now?(邦題:ノックは夜中に) / Men At Work
突然オーストラリアからワールドワイドにヒットした彼ら。これが全米デビューソングで、いきなりNo.1を獲得しました。
Don't You Want Me(邦題:愛の残り火) / The Human League
いわゆる80年代のヒットソングの典型的なパターンというのでしょうか。何が80年代なんだと、わたしはあまりくわしく言えないのですけど、この音は80年代ですよね。
Abracadabra / Steve Miller Band
この人たちも60年代にはボズ・スキャッグスが在籍したこともあるような歴史のあるブルースバンドだったのですが、この年にこんなに80年代っぽい音で大ヒットを飛ばしているんですよね。
Hard to Say I'm Sorry(邦題:素直になれなくて) / Chicago
一方、AOR路線で大ブレイクしたのが、シカゴでしたね。これも爆発的に売れました。ここから数年がシカゴの2回目の黄金時代だったと思います。
Chariots of Fire(邦題:炎のランナー) / Vangelis
プログレマニアには、そもそもアフロディティース・チャイルドという濃いプログレバンドのキーボーディスト、後にリック・ウェイクマンの後釜としてイエス加入を噂された(結局パトリック・モラーツが加入した)人として、名前は知ってたわけですが、こういう形でヒットするとは意外でした。ブレードランナーのサウンドトラックのときは、まだかなりプログレイメージが強かったんですけどね。
Harden My Heart(邦題:ミスティ・ハート) / Quarterflash
サックス&ボーカルというちょっと珍しい女性ヴォーカルを擁するグループですが、この曲はよく聴きましたね。ちなみに、バンドのギタリストが彼女の旦那だそうで、夫婦バンドだったのですね(知らなかった…!)。
Rosanna / TOTO
この年リリースされた4thアルバムTOTO IV(邦題:TOTO IV ~聖なる剣)からのシングルカットで、大ヒットしましたね。当時「ボズ・スキャッグスのバックバンドとして来日したときに、日本のどのトイレに入ってもTOTOと書いてあったので、それをバンド名にした」と雑誌記事に載ったのでずっとそれを信じていたのですが、どうもそれは来日時のメンバーのジョークだったらしいですね。
I Can't Go for That (No Can Do) / Daryl Hall & John Oates
この人たちも売れまくってましたね。この曲のベースラインは、後にマイケル・ジャクソンが参考 にして(笑)、ビリージーンができたのだとか…(^^;)。
I Know There's Something Going On(邦題:予感) / Frida
離婚したばかりのアバのフリーダが、ソロとして放ったヒット。英語で歌った最初のソロアルバムからのシングルカットで、アルバムはフィル・コリンズの初プロデュース作品でした。フィル・コリンズも少し前に離婚していて、離婚したばかりどうしが、このアルバムでものすごく息のあったデュエット してたりして、「ひょっとしてデキてる?」という噂がたったということもありましたね。
More Than This / Roxy Music
ロキシー・ミュージックのラストアルバム、アヴァロンからのシングルカット。ロキシー・ミュージックは、それまでちょっと玄人好みのクセの強いロックバンド(プログレとしては認識されてなかったと思う)みたいな感じだったのですが、この曲の大ヒットで、一躍大スターとなった伊達男ブライアン・フェリーは、この後も80年代ソロで大活躍しましたね。
Heat of the Moment / Asia
前年にキング・クリムゾンが再結成するも、セールス的にはコケてしまったわけですが、この年、元キング・クリムゾンのジョン・ウェットンと、元イエスのスティーブ・ハウが組んだ、プログレ系スーパーグループ、エイジアが、まさかの大ヒット。前年のフィル・コリンズもそうでしたが、元プログレ勢もポップなセンスを上手く表現すると、結構大ヒット行けるというのが分かったという感じでしょうか。
Eye in the Sky / The Alan Persons Project
このアラン・パーソンズという人は、アビイロードスタジオのエンジニアだった人で、ピンク・フロイドの「狂気」のレコーディングにも参加したという人です。(あのマネーのレジスター音のリズムは彼の作品だと言われてます)その後ミュージシャンとしても活動し、割とプログレっぽい感じでやってきた人だったはずですが、ここにきて、こういうポップセンスを発揮したわけなんです。プログレ系は人材豊富ですね。
You Can't Hurry Love(邦題:恋はあせらず) / Phil Collins
そしてまたまた、元プログレミュージシャン(笑)、フィル・コリンズのヒットです。これはスプリームスの1966年のヒット曲のカバーなんですよね。アルバムを聴けば彼がまだプログレっぽいセンスを残しているのはわかるのですが、この曲はかなりオリジナルに忠実で、もうどこにもプログレの香りがないポップソングです。この辺から一般的にはジェネシスとフィル・コリンズの知名度が逆転するのですよね。
Truly / Lionel Richie
ライオネル・リッチーのソロデビューシングルですが、全米No.1にもなった大ヒットソングです。ここから数年間、80年代を代表するシンガーとして活躍しましたね。
Open Arms / Journey
90年代になると、MTVのビーバス・アンド・バットヘッドというコーナーで、MVがダサいというネタでさんざんおちょくられた彼らですが、この頃はイケてたんですよね(笑)わたしも、彼らは結構好きでした。
The Girl Is Mine / Michael Jackson feat.Paul McCartney
マイケル・ジャクソンとポール・マッカートニーのデュエット曲ですが、マイケル・ジャクソンのアルバム、スリラーからの先行シングルとして発売された曲なんですね。全米2位のヒットとなるのですが、この後、マイケル・ジャクソンがあれほど売れるとは全く想像してなかったと思います。
こうして並べてみて、あれ?っと思ったのは、いわゆるディスコっぽい曲がほとんど入っていないことなんですよね。目立つのは、やはり80年代の音だなあと感じる曲ばかりです。ただ、この年の12月にマイケル・ジャクソンのスリラーがリリースされるので、ディスコソングが無くなったわけでは無いんですが、スリラーはそれまでのディスコソングともちょっと違う次元の曲ですよね。つまり、1978年のサタデーナイトフィーバーの頃からずっと続いてたディスコブームも、このころかなり沈静化したと見てよいのではないでしょうか。
邦楽では、この年一番売れたのは、あみんの「待つわ」ですね。細川たかしの「北酒場」が第5位にランクインしましたが、それ以外ベスト10の曲はすべてアイドル、ニューミュージック系で占められてます。前年からのアイドルブームは続いてまして、近藤真彦、松田聖子、郷ひろみ、田原俊彦あたりが引き続き売れてます。あと、薬師丸ひろ子、中森明菜、三原じゅん子が売れ始めたのもこの頃ですね。ニューミュージック系では、中島みゆきが「悪女」「誘惑」「横恋慕」とヒットを飛ばし、サザンオールスターズは「チャコの海岸物語」「艶色THE NIGHT CLUB」、その他、忌野清志郎+坂本龍一の「い・け・な・いルージュマジック」や大橋純子の「シルエットロマンス」もこの年でした。
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