安曇野いろ「光の地図」
友人から絵をもらった。
展覧会で見て、好きだと言った絵を覚えてくれていて
「たんぽぽ」と名前がついた絵が、わたしのそばにやって来た。
光を含んだ蒼い色が、いらだつ心、かなしむ心を包んでくれる。
一日の終わりに、この絵はわたしと静かな語らいをしてくれる。
画家である彼女は、3・11の被災地の瓦礫にも
絵を描いている。
暗く重い瓦礫の上に、金や銀の色彩を施して。
瓦礫の絵をひとつ、わたしも受け取った。
小さくて重い瓦礫を手にしたとき
自然に言葉が生まれた。
できたての詩を彼女に送ったら
彼女の友人が共鳴してくれ、
そしてまたその友人が、詩を歌にしてくれた。
こんなふうに、離れた場所の点がつながって
光の地図ができていく。きっと今もまだ、広がっていることだろう。
被災地まで、外国までも。夜空の星のように小さく強く光りながら。
星と星とをつなぐ星座のように
光の地図は、暗闇の中をどこまでも広がっていくだろう。
youtubeでどうぞ。
聴いてください。そして
光の地図のもうひとつの点になってくださいますように。
「光の地図」wハピさんの曲はこちらにて。
https://youtu.be/zZf7XSlhY_8
「光の地図」 曲 Wハピ 歌詞 あずみ
光の道筋のような金と銀で
再生をとげた
チョコレート色の瓦礫の欠片。
握りしめると
瓦礫は、無言でわたしのてのひらを押し返す。
耳に押しあてると
その冷たさ硬さが、わたしの心にこつんと触れる。
生きてあることは、
稀なること。
しみじみと愛おしむべきこと。
こつん。
瓦礫の欠片が、
こつん。
わたしの心を打つ。
――忘れていいんだよ。
でも、
けっして忘れてはならないんだ。
ひとだけではない
たくさんの草や木や虫や鳥や
いきものたちが
ふいに
思いもよらない力で奪われていったこと。
生きていくことは、
なくなった記憶のうえに
あたらしい記憶を積みあげていくこと。
瓦礫のうえに描かれた光の地図をなぞりながら
わたしは誓う。
――けっして、けっして忘れないよ。
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