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日本がこの30年で失われたものを取り返すには

日本がこの30年で失ったものは、経済的な隆盛だと考えています。かつて、GDPが世界2位で、一人当たり国民所得もトップクラスでした。2023年の一人当たり名目GDP(IMF)は34位まで下落しました。一人当たり名目GNI(世界銀行)では24位です。下を見ればまだ多くの国があるとはいえ、順位が下落し続けているのは残念なことです。これでは国民は自信を失いますし、将来への不安も募ります。

日本にはまだ良いところがある、この30年で獲得したものもあるはずだ、と思って以下の記事を書きました。

文化的な豊かさや自然環境の良さは重要ですが、それでも、やはり日本は経済成長してほしい。IMFのランキングによると、日本は34位ですが、33位はバハマ、29位にプエルトリコ、28位イタリアなどとなっています。いつの間にプエルトリコに負けたのでしょうか。イタリアに負けて、日本はG7で最下位となりました。もはや過去のことを言っても仕方ありません。これから挽回していけば良いのです。ではどうすれば挽回できるのか。

日本国内には、外国から認められた優れた財産があるので、それらを活用して、もっと儲けて欲しいと思います。うまく利用すればお宝になる、そのような物を発掘し、価値を生み出すことができるはずだ、と考えています。価値に見合う価格を設定し、正当な利益を得るようにすれば、今より高い経済成長を遂げられるのではないでしょうか。

優れた財産として私が思いつくのは、日本の食文化、マンガやアニメ、伝統工芸品、豊かな森林や水資源といった物です。他にもたくさんあるはずです。

日本がこれまで生み出してきた伝統的な食文化や現在も開発している新製品、どれも質が高く、世界に誇れる物だと思いますが、海外に向けたPR不足のせいか、内向き志向のせいか、十分な利益を生み出せていないと感じます。

日本の食文化の中で成長のポテンシャルが高いものは多くあるはずです。例えば日本酒です。米と麹菌と水から作る日本酒は各地方で様々な銘柄があり、どれも独自の歴史と文化があり、ワインやウィスキーに負けない、世界に誇れるお酒のはず。一部の銘柄が中国の富裕層で人気になっているという話を読んだことがありますが、日本酒の銘柄は未だほとんど海外に知られていません。やり方次第で拡販は十分に可能だと思われます。

お酒以外でも、味噌、醤油、みりん、納豆などの発酵食品は大きなポテンシャルがあるのではないでしょうか。日本の発酵食品は米で作る麹菌を使う点が他国とは異なる特徴だそうです。先人が試行錯誤により麹菌を培養して様々な発酵食品を作り上げてきたとのこと、それだけに外国が簡単に真似できない独自性があると思います。

伝統的な食品ではありませんが、日本が世界に誇れる物として、コンビニのスィーツなども挙げられると思います。テレビで、コンビニの各種デザートを一流の菓子職人が評価するという番組を見ました。世界に認められた菓子職人が、コンビニのデザートを高く評価しています。安いのに、とても質が高くて美味しいとのこと。消費者としては、美味しいものを安く買えて有り難いのですが、製品が持つ価値はもっと高いのではないかと思います。海外マーケットで売上を伸ばすポテンシャルがあると感じます。

日本のアニメやマンガは世界中の若者の間で人気を博しています。これら知的財産をうまく活用すれば、ビジネスチャンスはまだまだ広がるのではないでしょうか。米国金融会社TitleMaxが世界で人気のメディアミックスランキング(the top 25 highest grossing media franchises of all time worldwide)を発表しており、それによると、ベスト10に5つもの日本生まれキャラクターが入っています。
1位 ポケモン 2位 ハローキティ 3位 くまのプーさん 4位 ミッキーマウスと仲間たち 5位 スターウォーズ 6位 アンパンマン 7位 ディズニープリンセス 8位 マリオ 9位 少年ジャンプ 10位 ハリーポッター
これ以外にも、13位ガンダム 17位 北斗の拳 20位 ワンピース 23位 遊戯王が入っています。
このように、日本のアニメや漫画は収益に貢献していますが、まだ拡大の余地は十分にあると考えられます。

伝統工芸品に関しては、作品の制作が大量生産には向かないので、販売量の増加には限界があるでしょうが、質の高いものを、海外の価値のわかる富裕層向けに高い価格で販売することは可能だと考えます。それによって、伝統の衰退に歯止めをかけ、地域活性化にもつながるのではないでしょうか。

日本は雨の多い国なので水が豊富だし、森林が豊かで多様性に富んでいます。様々な種類の植物が繁茂しています。その中には、あまり注目されないけれども有用な植物が数多く存在しています。日本草木研究所を創業した古谷氏によると、日本の里山には(ハーブやスパイスのように)食べられる草木が豊富にあるが使われていないとのことです。杉や檜のような建材は利用されていますが、草木を販売するという発想がなかったのでしょう。古谷氏は、今後、食品に限らず、ソープやフレグランスなど草木の用途を広げていきたいとのことです。このように、従来は経済的な価値がほとんど付与されていなかった物を拾い上げて、うまく付加価値を付ければ、収益を増大することができるはずです。

戦後、日本は急速に工業化を推し進め、奇跡的な経済成長を遂げました。その過程で環境汚染を引き起こし、その反省から経済発展と環境保全をバランスさせることの重要性に気づきました。環境を破壊してまで経済成長を追い求めることは望ましくないと学びました。しかし、経済成長無しの現状維持のみでは将来に希望が持てません。自然環境と共生しつつ経済を発展させる方法があるはずです。SDGsとか、脱炭素というのも同様の概念だと思います。現在、多くの日本企業がSDGsや温室効果ガス削減のために工夫、努力されています。各企業の統合報告書などを閲覧していると、その成果が現れつつあると感じます。

これからの30年、日本の人口は減少していきますが、付加価値を上げて経済を発展させ、一人当たりのGDPやGNIを増やすことは十分に可能だと思います。少子高齢化が進んでも経済成長できる国になって欲しいし、きっとできると信じています。


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