戦いはオムライス屋で起きてるんだ
私は外食するときに何を食べるかの基準に、「自分では作れないもの」というのが1つあります。作れるなら自分で作った方が安上がりなんですもん。自分の中でその代表はオムライスです。卵とライスと、、、。材料は身近なものばかりなんですが、とにかく調理の腕が試される。何度も挑戦したのですが、お店のようなオムライスを作れた試しがありません。ボソボソの炒り卵ができた際には虚しささえ覚えます。
いつものように行きつけのオムライス屋さんに行った時のことです。オムライスはいつものように素晴らしく、ふわふわの卵に包まれていました。そして、いつものように伝票を持ってレジへ向かうと、いつもの若い女性の店員さんがお会計をしてくれました。料金は1020円。私は1000円札と50円玉をトレイに置きました。
店員さんは手慣れた手つきでお釣りをトレイに置いて一言。
「30円のお返しです。お確かめください。」
言葉通り目で確かめると明らかにトレイに10円玉が4枚きれいに並んでいました。その時、私は思考を巡らせました。
(え?なにこれ?これは私がそのままお釣りをネコババするのかと試されてるのか?この店の客としてふさわしいのか見られているのか?)
その時のいつもの店員さんの可愛い笑顔が恐ろしく見えました。
(さあ、エサは撒いたわ。あとはチキンがカゴに入るのを待つだけ、、、)と言わんばかりの笑顔。
私は毅然とした態度で「店員さん、お釣り10円多いですよ。」(甘いですよ、お姉さん。そんなチープで見え見えの罠飛び越えて差し上げますわ。)
あの一瞬でお互いの笑顔の奥でジリジリ睨み合う冷戦が始まりました。
あれ以来、お店には行けていないのですが、あの女次はどんな手で私の牙城を崩そうとしてくるのか楽しみです。
あるオムライス屋で繰り広げられた冷戦でした。
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