ダリの時計

<ダリの時計>
ダリの時計が溶けたのは
廊下で散歩をしすぎたからだ
巡る回廊を抜けられなかった

大いなる時計が地平線に溶ける
歪んだ太陽が没するように

そのように見てしまった画家の目は
抜けられぬ回廊の中に
時計の掛け場所をみつけられなかった
せめて
と思ったのかもしれない
画布の上に時計を溶かし込んだ
溶かし込んで安心しようとした画家の目は
おでこの上についている

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