時計を捨てる
<時計を捨てる>
時計を捨てる
60年前に父が買った柱時計
20年前にもらった腕時計
不燃物の山の中に放り込む
日焼けした柱も腕もそこにはない
真新しい時計がまた時を刻む
これまでの時報や針の音はどこに行った
蓄積は古くさく
振り返るのはのろまのすること
前を見るのが好ましい
止まって静かに立っていること
進まないことに平気でいること
振り返らずに耐えること
変転の速さが時代の武器になるなら
立ち止まって動かないことにも価値はある
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